観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

Amazonベーシック 充電池 充電式ニッケル水素電池 単3形8個セット

 充電式乾電池。

日常生活の中で、思いのほか多くの乾電池を消費している。

テレビやエアコンのリモコンが主だが、子供がいるとあらゆるおもちゃには電池が必要で、それらが次から次へと消費され、動かなくなっていく。
また、キャンプで使っている照明にも使う。特にうちは中華の安物電球形ライトをテントに5つぶら下げて、LEDライトを二つ使っているので、一回キャンプにつき15本の単四電池と、6本の単三電池を使っている。特に単三の方は、本来は単二の電池が必要なところを、単三と単四の充電器が兼用で使えるのに対して単二は別の充電器が必要になるので買わず、単三に単二カバーを付けて単二として使い、充電は単三として行うという複雑な使い方をしており、消費が非常に速い。
そのため、充電池への転換は必然であったともいえる。

最初は評判の良いPanasonicエネループを使っていた。確かに良いのだが、えらく高い。
そして、1500回充電可能、と謳っている割には、引いた個体がたまたま悪かっただけかもしれないが、まだ数十回程度しか使っていないのに、何度セットしても充電器がエラー表示になって使えなくなってしまった電池が数本あり、あまりにもコスパが悪いので、最近はAmazonベーシックのニッケル水素充電池に切り替えつつある。
まだこちらはそれほど使っていないのでわからないが、今のところ普通に充電できるし、それなりなパワーの持続もあるので、問題なくキャンプで使用できている。

エネループAmazonベーシックそれぞれの充電池の元を取るには相当使い込まないといけないが、たぶんいける。

 

勇者ヨシヒコと魔王の城(2011)

 最近八面六臂の活躍を見せる福田雄一監督の、低予算な冒険活劇ドラマ。

お人好しでクソ真面目で頑なで融通の利かない、カポイ村の青年、ヨシヒコ。彼はいざないの剣を抜いたことで、ひょんなことから世界を救う勇者となり、旅に出る。
そこで剛剣の使い手・ダンジョー、魔法使い・メレブ、ヨシヒコを親の敵と勘違いしていた若い娘・ムラサキとパーティーを組み、冒険に出たのであった・・・

初めて観た時の衝撃は忘れられない。ヨシヒコを演じる山田孝之をはじめ、福田組のそうそうたるメンバーと豪華なゲスト陣に比べ、セットや衣装がものすごくしょぼい。
どの村に行っても村人は同じ服を着て同じ家に住んでおり、たまに現れるモンスターはほぼドラクエに出てきたモンスターのもろパクリで(クレジットにスクエアエニックスが協力として出てくるのでお墨付きらしいが)、もれなく張りぼてでほとんど動かず、演者の自演によってかろうじて戦闘シーンが成り立っていたり、後半の強い敵になればなるほど紙芝居で済まされたりと斬新すぎる演出。
確かに低予算ということもあるのだろうが、その舵を振り切った感じがやたらと面白くて声を出して笑ってしまう。
また、ヨシヒコを演じる山田孝之は役を演じ分ける怪演俳優として有名だが、ヨシヒコは何も意識せずに素でやっている感がものすごく出ていて、それがまたツボにはまる。
そしてキーパーソンとなるのが実はヨシヒコではなく、魔法使いと名乗っておきながら役に立たない魔法ばかりを覚えるメレブ演じるムロツヨシ
彼は、話を転がしていく狂言回しの役割を担っており、いかにストーリーを面白い方に降っていくかという手腕が試されるところでその実力をいかんなく発揮している、という演出。もちろん福田雄一がすごいのである。ほんとこの人の作品はどれも面白いわ・・・
たまに思い出したようにドラクエのエピソードをまんまぶっこんでくるところも面白い。一列に並んで知らない人の家に入り、先頭のヨシヒコが引き出しを開けて中のものを盗んだり、ツボを一つずつ割っていったりという。実写で本物の人がそれをやるとかなりシュールなのだが、小道具がみなチープなので逆にゲームっぽく感じてしまうのも演出の妙であろうか。

そして佐藤二朗演じる「ホトケ」。空に現れ4人に啓示を授ける神的な存在なのだが、佐藤二朗のキャラまんまで、早口でカミまくりで愚痴と悪口ばかり言っているいい加減なホトケで、いつも4人に逆切れしながらかろうじて次の行動の指針をちょっとだけ与えて消えていくのが、佐藤の円熟した芸の見せどころとなっている。ヨシヒコはなぜかウルトラセブンが変身に使っているウルトラアイっぽい眼鏡をかけないとホトケが見えない。正直余計な設定だが、こういうギミックがあちこちにちりばめられていてクスっとさせられるのもこの話の魅力。
正直ストーリーがクライマックスに近づいても何が変わるわけでもなく、終盤はそれなりに盛り上がるような映像を見せてはくれるのだが、このドラマの本質は阿呆なヨシヒコがパーティーのメンバーとすれ違いトークするのを見て笑い楽しむところにあるので、ストーリーの大団円はあまりだれも望んでいない感じであり、最後まで観ても「なんだよもう旅が終わっちゃうのかよ」という残念感しか残らないくらい、永遠に続いてほしい旅であった。
この後「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」「勇者ヨシヒコと導かれし7人」とシーズンを重ねていくので、近いうちにこれらについても触れたい。

あ~、また見たくなってしまったなぁ。アマプラが見放題対象なうちに観ておくか・・・

第壱話カボイの村

第壱話カボイの村

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

ユニフレーム ツインバーナーUS-1900

最初のうちはカセットコンロで調理することが多いキャンプ。しかし徐々に慣れてくると、コンロが二口あると便利だなぁと思うようになってくる。
一昔前だと、ホワイトガソリンを使ったコールマンのツーバーナーが主流で、キャンプ場のあちこちでプシュープシューとポンピングする音が聞こえるのが普通だったが、その後より簡単なコンロとしてOD缶(OutDoorの略。登山など高地・低温でも使用できるガスカートリッジ)を使ったツーバーナーが登場し、我が家でもコールマンのOD缶ツーバーナーを購入し、長らく使ってきた。
しかしながら、OD缶はキャンプの時しか使用用途がないことと、独特な形状をしているがために荷物の中でも容積を占有することから、使いづらいなあと内心思いながら使っていた。

そんな中、ユニフレームやSOTOからこのCB缶(Cassette Gas Bombeの略。いわゆる家庭使用のカセットコンロでよく使われている長細いボンベ)向けのツーバーナーが出たことで可能性が広がった。うちで行くキャンプは、いわゆるファミリーで楽しくキャンプできるようなキャンプ場にしか行かないので、高地でもなければ低温でもない。CB缶で十分である。

当時、ユニフレームとSOTOのどちらにしようか相当悩んだのだが、作りがしっかりしているのと見た目のカッコよさでユニフレームを選択。当時はまだゆるゆるだったふるさと納税で、モンベル直営店のポイント券を出している自治体があったので、そこで納税する代わりにポイントをゲットし、新宿のモンベル直営店で本品を入手したのだった。

実際に使ってみると、予想以上に使い勝手が良いのに驚いた。炎は十分強いし風にも強い構造。真下にCB缶を付けるのだが、その状態でも使えるように足がついているのでテーブルの上などでも使える。何よりCB缶は運ぶのが楽で、荷物としてパッキングしやすいし、ガスが残っても自宅で鍋をする時に十分消費できる。これは便利や~!

ファミキャンメインの人には自信を持ってお勧めしたい逸品。

 

仮面ライダーアマゾンズ(2016)

 子供の頃やっていた仮面ライダーシリーズの一つに「仮面ライダーアマゾン」があった。トカゲがモチーフになっている仮面ライダーで、変身するのはジャングルの奥地で野生児として育った若者。片言で日本語をしゃべる彼が「ア~マ~ゾ~ン!」と叫んで変身するのは当時としてもなかなかキャッチーで刺激的だった。

本作は仮面ライダーのデザインこそ元の作品にかなり寄せていて、そのリメイクと見せかけて、実際はストーリー上全く関係がない、ほぼほぼ新作。
かつ、シナリオは完全に大人向けに寄せており、かなりな残虐シーンが目白押しのえげつない感じに仕上がっている。
大手製薬会社・野座間製薬で極秘裏に進められていた「アマゾンプロジェクト」。それは人工的に作られた生命体を人型にするための研究だったが、その過程で生まれた、動物の遺伝子を持つ人型の人工生命「アマゾン」が流出してしまった。彼らは人肉に異常なほどの嗜好を示し、街で人を襲い始めたのだった。
野座間製薬では駆除班と呼ばれる火器を有した部隊に、街中に潜伏するアマゾンを殺すよう指示、一体ずつ駆除を行っていたが、流出したアマゾンは約四千、殲滅は難しかった。
その中で、アマゾンを狩るアマゾンとして、自らの体内にアマゾン因子を埋め込んだ男、鷹山仁がアマゾンアルファとして動き出す。そしてアマゾンオメガとして覚醒した水澤悠がその力を解き放とうとしていた・・・

平成ライダーの第一期と呼ばれる最初の10年は、ストーリーもデザインもだいぶ大人向きに仕上がっており、おっさんとしては非常に好みだった。しかし、第二期からおもちゃの売り上げが至上命題となっていったようで、よりおもちゃ性が高いデザインやギミックに寄せられていった。その結果、大人視点では物足りなくなっており、残念に思っていたのだが、この仮面ライダーはそういった大人たちの欲求不満を完全に解消する大人向けオンリーのストーリーになっており、「これだよこれ!」と心の中で叫んだものである。。
それでいながらライダーのデザインは昭和アマゾンをだいぶリスペクトして近しい感じなので、懐古的な趣味も満たされるという、一粒で二度おいしい構造になっている。
ただ、変身の仕方は昭和アマゾンと比較するとだいぶおとなしい。ぼそっと「アマゾン・・・」とつぶやいて、申し訳程度にライダーベルトをいじる程度である。まあでも、昭和初期の、例えば藤岡弘デスボイスのような変身コールと比較すると、平成ライダーの変身はだいぶスタイリッシュになったので、その流れを汲んでいるともいえる。

また、Amazon Original のドラマとしてプライムビデオ独占配信だったのも、なんだか冗談からほんとになった感じがしてよい。

それにしても格闘シーンは本当に残虐でえげつない。アマゾンズたちの血液は黒いという設定なので、黒い血しぶきが飛ぶのだが、それが赤い血よりも却って残酷さを増しているというか。
妥協していない感があって、思わず目を覆ってしまいそうになりながらも指の隙間からガン見してしまう良作である。

Episode1「AMAZONZ」

Episode1「AMAZONZ」

  • メディア: Prime Video
 

 

スター・トレック イントゥ・ダークネス(2013年)

リメイク版の第2作目。

ネタバレ注意! 派手にバラすので未見の方はお引き取りください。

宇宙艦隊司令官だったジョン・ハリソンことカーンは、仲間とともに裏切られた憎しみから宇宙艦隊に復讐を誓い、テロ事件を起こし、カークの恩人であるパイク提督が命を落とす。
彼が逃げた先は、最近緊張状態が続き一触即発の状態にあるクリンゴン帝国の本星クロノスだったが、マーカス提督から彼を抹殺するよう指令を受けカークとスポックはエンタープライズ号でこれを追い、しかし指令には従わず生きて連れ帰ろうとする。クリンゴン軍と衝突し、あわや星間戦争となりかけたところを辛くも脱出する。
帰りのエンタープライズ号で、カークはカーンから、自分と部下が300年前に遺伝子操作を受けて誕生した優性人類であり、人類が圧倒されることを危惧したマーカスから狙われていることを聞かされる。
まさにその時、新型戦闘艦ヴェンジェンスに乗ってカークの前にマーカス提督が現れ、エンタープライズ号及び乗組員ごと、カーンとその部下72名を抹殺しようと襲ってくる。
カークはカーンと共闘しヴェンジェンスに乗り込むが、そこで本性を現したカーンがマーカスを殺害、カークを人質に取り、スポックへ光子魚雷の中に入れられ冷凍睡眠状態にある部下の引き渡しを要求する。
スポックは一計を案じ、中にいた部下たちを睡眠カプセルへ移し、疑似生命反応と爆弾を光子魚雷の中に仕込んでテレポート装置で引き渡し、代わりにカークを転送させて救出する。
カーンはエンタープライズ号への攻撃を開始するが、スポックの仕掛けた光子魚雷がヴェンジェンスの中で爆発し、地球へ墜落する。
エンタープライズ号はメインコアの調節がずれてしまったことでパワー不足に陥り、一緒に地球へ墜落するが、カークがメインコアへ侵入して手動で修正し、墜落を免れたものの、大量の放射能を浴びたカークは絶命する。
地球へ降り立ったカーンとスポックの壮絶なな死闘が繰り広げられ、カークはカーンの遺伝子の力で奇跡的に命を回復する・・・

ねえねえ、これって、カーン悪くなくね?
結局軍隊の都合か何かで遺伝子操作されて優性人類にさせられてしまった人たちが迫害され、自分たちが生き残るために自分を抹殺しようとする人たちに攻撃したっていう話にしか聞こえないのだが・・・
一番悪いのはマーカス提督であり、カーンは悪くない。しかしストーリーの都合上、カーンは非常に残虐で人殺しを厭わないと未来のスポックに証言されてしまっており、メインの登場人物たちも何のためらいもなくカーンと戦っている。
さすがに殺害してしまうのはまずかろうということでまた冷凍睡眠させられてしまうのだが、ほんとカーンがかわいそうでかわいそうで・・・

あと、無駄な肉体アクションが多すぎ。あんたら未来の宇宙艦隊だろうに、なんでそんな最初から最後まで殴り合いしてるの?もうちょっと有効な武器なりなんなりあるでしょうに。
カーンの優性人類ぶりと残虐性を示すために拳で語らせているわけだが、もう少し知能が優秀的な何かを見せてほしかったなぁ。対話によるディベートで自分たちを認めさせるとか。何しろ優性なんだから、その辺やりようはあったと思うのだが、やはりスラン(大昔のSFに出てきた超能力を持つ人たち)は迫害される運命にあるのであろうか・・・
今回のカークはあまり破天荒なことはせず(放射能駄々洩れの中に飛び込んでいって炉心的なものを蹴飛ばして直し、放射能まみれで帰ってきて「俺は怖いよ・・・」と行って死んでいくというあたりは破天荒以外の何物でもないが、そこ以外は)、職務と自分の良心に忠実であろうとする様は好感が持てるのだが、いかんせんカーン役のベネディクト・カンバーバッチのキャラが濃すぎて他のメンバー全員色褪せちゃってるんだよなぁ・・・やっぱりカンバーバッチすげぇ。
そしてカーンとカークの語感が似すぎていてつらい。どっちがどっちだかわからなくなるんじゃぁ~!

  

スター・トレック イントゥ・ダークネス (字幕版)

スター・トレック イントゥ・ダークネス (字幕版)

  • 発売日: 2013/12/18
  • メディア: Prime Video
 

 

スター・トレック(2009)

 「宇宙大作戦」として知られるアメリカの一大コンテンツのリメイク映画。
宇宙船の乗組員で、800人の命を救った英雄を父に持つジム・カーク。
地球・アメリカの農村で気ままな生活を送っていたが、父の同僚だったパイク大佐に見初められ、宇宙艦隊アカデミーへ志願する。
士官候補生となったカークは演習でインチキをした咎で聴聞会にかけられるが、突如襲ってきたロミュランに対抗するため、謹慎のカークを除いた候補生が全員動員される。
友人の軍医ボーンズの計らいでエンタープライズ号に乗り込んだカークは、副長として乗船しており、聴聞会でカークのインチキを暴いて見せたスポック中佐と対立する。
ロミュラン船に乗り込んだパイクの代わりに撰長代理を務めているスポックは、カークに手を焼き彼を追放する。
カークは送り込まれた惑星で、129歳年を取ったスポックに出会う。彼はブラックホールによるタイムトラベルで過去にたどり着いており、ロミュランの惑星が超新星爆発に飲み込まれるのを阻止できず、そのためロミュランのネロから恨まれ、連邦へ復讐しようとしていることを精神融合でカークに伝える。
左遷されていた技術官スコットと出会い、転送装置によってエンタープライズ号に戻ったカークはスポックを激昂させ、船長代理の座を変わって指揮をとる。カークと協力することを選択したスポックと共に、ロミュラン船へ潜入するのだった・・・
とにかく映像がド派手でカッコいい。どちらかというとスターウォーズ寄りだなぁと思っていたのだが、WIKIで見たら監督のエイブラムズスターウォーズ好きとのこと。まあ寄るわなぁ。
今回の新カークは粗暴でわがまま、行き当たりばったりで思いつくまま行動して、後で言い訳ばかりしているのだが、アメリカンなストーリーのヒーローに非常に多いタイプとも言える。
なんでこういう男を周りの人たちは許しておくのか、日本人的にはいささか理解しがたいところがあるのだが、アメリカのステロタイプ的には「でも金髪でイケメンなので憎めない男」的な扱いなのだろうか。
旧カークはどっしり構えた既にベテランの有能船長、感情の起伏も穏やかで精神的に安定していたが、それではストーリーが進まないから破天荒にしてしまおう、という制作側の意図も読み取れる。ただ、そうなると純粋な宇宙冒険を楽しむというより、主人公が引き起こしたドタバタ問題をかろうじて丸く収める方にストーリーが主軸を移してしまうので、ちょっと残念な気もする。
今回のスポックは、旧スポックのように四角四面で融通の利かない、あまり物事がわかっていなさそうだが謙虚な性質とは真逆で、まっとうで正しいことばかり言っているものの頑固で譲らず上から目線。当然主人公と対立するが、のちに和解するのが信じられない。この性格同士じゃ無理だろ~。
そういうスポックが実は情熱家であったという本作オリジナルな設定は今風な感じだが、正直ロジカルだけで攻めていた旧スポックの方が好きだな~。異文化な感じがして。
いわゆるポリコレの先駆なイメージがあり、アジア人、黒人、女性を意識して配役しているが、最近のスターウォーズのような違和感がなく、本作でもしっくり来ているのは先人の努力が実っているからなのだろう。やっぱりカトー(本作ではスールー)はアジア人じゃないと。
よくも悪くもアメリカ映画が凝縮されている気がする。
また、タイムパラドックスについてあまり深く考察されずに安易にタイムトラベルを使っているのがもどかしい。
ハリウッドに多いんだよなこれ。ターミネーターとかバックトゥザフューチャーとか。
もうちょっと真剣にタイムパラドックスについて考察してもらいたいのだが、そうすると冒険活劇にはならずにひたすら論理を突き詰めるようなストーリーになってしまうので、エンタメには向かないのだろう。
ストーリーは正直大味なのだが、まあこういう映画にはそういうのを求めたらダメだよね。映像がド迫力で、息をつかせぬアクションの連続なのが楽しいのである。そういう意味では楽しい映画だった。

 

スター・トレック (字幕版)

スター・トレック (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

オーラの王者<クラスター・サーガ③> ピアズ・アンソニイ 1978

クラスター・サーガの最終巻。

今回の主人公は、一巻でフリントを狙う暗殺者であり、最終的には結ばれた斜線人の末裔。彼は時代を通して銀河最高の236という高いオーラの持ち主で、それを生かした職業から「癒し手ヘラルド」とも呼ばれている。前作「タローの乙女」でアンドロメダを裏切った斜線人リューメの行為により、その当時から千年がたとうとしているのに、未だ両銀河からは蔑まれている星圏でもある。自星圏の汚名をすすがせたまえと祈った遠祖リューメに答えるべく、ヘラルドは孤軍奮闘する。

今回は前作から更に千年たっており、天の川、アンドロメダ以外にも近くの銀河と連合し、大きな知性体の銀河団を形成していた。そこを狙う膨大な数の艦隊。彼らは物質転送によって艦隊を次々と高速移動させ、この銀河団へ接近していたのであった。

一方、ヘラルドは自らのオーラで傷ついたオーラを持つ者を癒すことを職業とし、その依頼の一つとして砦星のソル人ケイド伯爵の娘プシュケの「憑依」現象を治す依頼を受け、転移した。彼女の母親もその「憑依」によって人格が変貌し、悪女となって死んでいたことにより、娘にも同様の現象が起きたと憂慮されていたのであった。しかしそこでプシュケが憑依ではなくあるきっかけによってオーラが最高300近くまで上昇する特異体質であることがわかり、その後二人は恋に落ち、結婚する。

しかしあくまでもプシュケが憑依されているとするこの星の皇太子たちは、ケイド伯爵領へ軍を進め、戦争が起きる。その結果、プシュケは火あぶりとなり、それがきっかけでケイド伯爵館の地下にあった古代種遺跡が爆発することになった。

この現象から、プシュケが古代種遺跡とリンクしていたこと、プシュケ自身のオーラはどこかの古代種遺跡で生きていることを確信したヘラルドは、プシュケのため、銀河アメーバを攻略する方法を見つけるため、自分のクライアントであった高オーラの持ち主、ウィーウ人のホウィーと共に生きている遺跡を探す旅に出るのであった・・・

最終的には、ヘラルドが銀河政府から半ば強制的に交配を指示されていた炎星の「竈」の協力を得て、宇宙アメーバの知性体の正体をあばくのだが、そこに至るまでにはまたしてもタローの力を活用している。投影によってタローの始祖であるパウロ修道士、ミンタカのメロディ、さいはてのフリントの力をも借りることになって、三部作の集大成の趣が強い。

しかしこのヘラルド、高オーラの持ち主とはいえもてすぎ。この世界では高オーラの者は高オーラに惹かれる設定になっているとはいえ、回転する刃のボディをもつ斜線人とソル人(いわゆる地球人)で結ばれるというのは(物理的にはヘラルドはソル人の宿主に入っているわけだが)、なかなか強引な設定。

とはいえ、その辺には疑問を持つ余地を与えず、物語が疾走する感覚はさすがピアズ・アンソニイ。番外編としてタローを創始したパウロ修道士の話もあるらしいが、訳されているのかな?