観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

ドラゴン・キングダム(2008)

やたらとAmazonのおすすめに出まくってくるので根負けして観た。こういうの観ちゃうからおすすめ更に出てくるんだよな~。

ボストンに住むジェイソンは、カンフー映画が好きで憧れているオタク少年。今日も中華街の質屋でカンフー映画を買ってきた。帰り道で不良に絡まれ、脅されて質屋への強盗の案内をさせられ、激高した不良のリーダーが老主人に発砲、胸を撃たれる。
ジェイソンも口封じのために不良に詰め寄られて絶体絶命になった時、手にした棍棒と共にビルから落下。あわや地面に激突と思われたその時、彼はなぜか古代の中国の農家で介抱を受けていたのだった。
村に押し寄せた軍隊の兵たちの手から救ってくれたのは旅の学者ルーで、ジェイソンが手にした棍棒孫悟空のものであると告げ、点綴と孫悟空、ジェイド将軍の確執を語ってくれたのだった。
棍棒を奪取するために押し寄せる将軍配下の兵たちから辛くも逃れたジェイソンと、将軍に敵対する少女スパローに助けられ、棍棒孫悟空へ渡すための旅に出る。

正直観始めたころは、中途半端にカンフーが好きなアメリカ人が趣味で作った映画だろうくらいにしか思っていなかったのだが、そういう視聴者であるこちらこそが中途半端な観客だったと思い知らされた。
制作者のカンフー愛は大変なもので、オリジナルを作りながらも自分の趣味をとにかく最優先にする潔さが心地よい。
その頂点となっているのがジャッキー・チェン演ずるルーとジェット・リー(リー・リン・チェイ)演じるサイレント・モンクが出会い戦いとなるシーンであろう。正直ここがクライマックスと言ってもいいくらい。ここ観たらもう席を立って帰っても何も損しない。それくらい夢のシーンだし、これが制作されたころは既に二人とも相当な御歳なわけだが、それを感じさせない迫力のバトルシーンが圧巻。これが観たくてこの映画を撮ったんだろうな~。
なので、主役が霞みまくってしまうのは致し方ない。伝説の二人に師匠になってもらうのもファンとしては感涙もののシチュエーションで、その結果そんなに強くなってなくてもいいのよ。その生きざまが魂に刻まれればそれでよし。
そして最初から孫悟空ジェット・リーが演じているので二役なわけだが、サイレント・モンクの正体は迂闊ながら気がつかなかった。なるほどそういう伏線回収かぁ。素直に感心した。
絶対そういうシーンがあるとは思っていたが、ラストでその期待通りに不良たちをナード少年がカンフーで叩きのめすシーンはスカッとした。そうこなくちゃね。

そしてエピローグで、助かっていた質屋老主人とのワンシーン。そうかそういうことだったか。こちらも気がつかなかったなぁ。

 

スキャナーズ(1971)

 デヴィッド・クローネンバーグ監督作品ということで、ご高名だけはかねがね伺っていたものの縁がなかった。たまたまAmazonで見かけて観た。

気の弱そうな青年、キャメロン・ベイルがショッピングセンターの中にあるフードコートで、他の客が残した食べ物を漁っているのを、蔑んでいる老婦人およびその連れ。ベイルが老婦人をじっと見つめると、彼女は突然苦しみだして倒れてしまう。
その後、いきなり追われて麻酔銃で撃たれたベイルはとある地下の部屋へ連れ込まれ、自分がスキャナーと呼ばれる超能力者であることを知らされる。
そして、訓練の後、同じスキャナーで人類の敵として跳梁しているレヴォックを倒すべく、スパイとして送り込まれるのだった。

敵のレヴォック役のマイケル・アイアンサイドがとにかくレビューで持ち上げられており、演技力が素晴らしいと絶賛されまくっていて、なるほど確かにこの映画では主役を食うくらいの存在感を醸しているのだが、僕にとってはこの人は「V(ビジター)」の人、というイメージが強く、あれもまあSFっぽい話なので違和感なく入り込めたのだが、初見ではないのでそこまで言うほどか?というのが素直な印象。

SFが好きな者としてはやはりスキャン能力が気になるところ。いわゆる超能力の一種で、そもそもは人の脳を読み取ろうと走査(スキャン)するところから命名されているとのこと。そこから転じて相手の脳に衝撃や苦痛を与えたり、さらにはその派生形としてコンピュータまでスキャンできてしまう、今どきの表現だとチートな能力ということになる。
この「無生物までスキャン可能」という設定に惚れた。1971年という時代なので、いろいろ古い描写なのは当然なのだが、この時代にこれだけの想像力と描写力を映像化しているというのがすごい。逆に今、これだけインターネットやら携帯電話やらが普及している時代では、そういうのはできっこないよねと無意識のバイアスがかかっている分、自由な発想に感心してしまう。僕がよく知らないだけで、他の映画や小説、漫画などでは取り上げられているテーマなのかもしれないが。
ちょっとだけSFを齧った者として、なんでこれまでこの映画を観なかったのかなぁと内心忸怩たるものを感じて観始めたのだが、冒頭のグロいシーンで納得。こういうの昔からダメだからパッケージとか見て回避してたんだな。だからこの映画はホラーのカテゴリーなのかと改めて思い知らされた。
ただ、SF好きからするとゴリゴリの超能力バトルが胸アツで、それだけでも十分楽しめた。
そしてヒロインのジェニファー・オニールが美人すぎて泣けた。まあ、これだけグロい映画なので、なおさら美しさが際立ったのかもしれない。

 

ヘンゼル&グレーテル (2013)

お菓子のお家と魔女の童話で有名なヘンゼルとグレーテル。二人はその試練を乗り越えて成長し、15年後、魔女ハンターとなっていた。
とある貧しい村では一人の女性が魔女の疑いをかけられ、火あぶりの刑に処せられようとしていたが、ハンターであるヘンゼル・グレーテルがそれを阻止。
その女性が魔女ではないと保証し、集まっていた住民を解散させ、憤る保安官に頭突きをかませて黙らせるグレーテル。
魔女たちは子供の誘拐頻度を加速させており、調査していくうち、ある儀式を行おうとしていることが分かった。
その儀式を行えば魔女は不死身となる・・・
大っぴらに街を襲い始めた魔女たちと、なすすべもない住民たち、そして苦戦するヘンゼルとグレーテル
二人もまた、幼い日の例のエピソードで親から捨てられたトラウマを抱えて苦しんでいたが、実は今回の事件とも無関係ではなかった・・・

まあ正直ストーリーはあってなきが如し。批評家にはだいぶ酷評されたらしいが、まあ仕方がないだろう。
あまり深いことを考えず、思い切りよく、と言ってもそこそこ控えめなグロシーンと派手なアクションシーン、お色気たっぷりなヒロインたちを愛でて楽しむ映画ということだろう。
ヘンゼルは男前なのだがいろいろボケていて、こんなに頭が悪くてよく今まで生き残ってこれたな。グレーテルの手厚いフォローがあったからこそだろう。
途中、ヘンゼルは白い魔女と出会い恋に落ちるのだが、この白い魔女の扱いが中途半端なのが惜しい。いろいろと話を展開できたと思われるのだが。
グレーテルは細身ながら胸の谷間はばっちり見せているセクシービューティーで、それでいて容赦なくぶっ放したりぶん殴ったりするのが爽快。戦闘中もちゃんとキュートに見えるのが印象的だった。
二人の因縁が清算されるくだりももうひとひねりほしかったところ。自分の出自を知っていろいろと複雑な心境になりそうなものだが、あまり考えてなさそげで、B級感を醸してしまっている。
すでに監督による続編の脚本は完成しているようだが、監督降板も報じられていて、このまま日の目を見ないかも。
結構好みなのだが、もったいないな~。

 

 

トップガン(1986)

言わずと知れたトム・クルーズ出世作。最近まで見たことがなかったのだが、次作のCMがテレビでバンバン流れるようになり気になったので観てみた。

ピート・ミッチェルはアメリカ海軍の戦闘機乗り。自分の感覚を頼りにフィーリングとパッションで戦闘機を乗りこなすパイロットで、レーダー要員のグースとタッグを組んでいるが、その破天荒な仕事ぶりにより上官から目をつけられている。
しかし、エースパイロットのクーガーが国籍不明のミグとの戦闘で恐怖感がぬぐえなくなりパイロットの職を辞したことで、海軍航空基地のエリート養成学校(トップガン)へ赴くことになる。
くせ者ぞろいの同級生、たたき上げで厳しい教官の中でピートとグースは揉まれていくが、その中で民間の軍事技術教官・チャーリーに一目ぼれし、次第に恋仲になっていく・・・

観終わって一番疑問だったのは、「これは『愛と青春の旅だち』のリメイクなの?パクリなの?」という点である。
ググりまくったのだがその点に言及している公式ないしはマスコミの記事はない。
どういうこと??
まあ、

 ・主人公は破天荒でルールを守らないワガママ男
 ・軍隊的な学校でしごかれる
 ・現地でキュートな女性に一目ぼれし恋に落ちる
 ・途中で友達が死んで落ち込むが、立ち直る
こういう話は王道過ぎるので、今更パクったとかリメイクとかそういう次元ではないのかもしれないが・・・

アメリカ海軍が全面協力しただけあって、戦闘機のシーンは大迫力。今見てもすごいので、当時観た人たちが熱狂したのもよくわかる。
そしてトム・クルーズが、おっさんの眼から見てもキュンキュンしてしまうくらいキュート。これでは世界中の女性を虜にしても仕方あるまい。
また、周りの野郎どもよりちょっと小柄なのがいいんだよね。

日本でもリメイクというかパクリというか、いろいろ作られており、まんま戦闘機乗りの「BEST GUY」という劇場版は、当時レンタルで観た記憶がある。
また、「海猿」も舞台は違えどほぼほぼ同じ流れを汲んでいる。

これだけヒットした作品であるにもかかわらず続編が作られなかったのは、それで本作の価値が相対的に下がってしまうことを危惧したトム・クルーズ自身が次回作製作権を買い取ってしまったから、というエピソードがすごすぎる。
そんなもん個人で書いとれるの? まあ大ヒット作の主演だし、お金はあるのかもしれないが、何ともスケールの大きな話である。

そうなると俄然、次回作「トップガン マーヴェリック」が気になるところ。どうかな~?

 

 

ソニック・ザ・ムービー (2020)

最初は娘に見せるために観始めたのだが、最後は親が熱心に観てしまった。

ソニックは別の異世界の自然豊かな惑星で生まれたしゃべるハリネズミだが、大いなる力を持つが故に狙われ、地球へ逃げてきた。
しかしここでも目立つことをするわけにはいかず、一人ぼっちで寂しく、それでも我慢できずに高速で移動しながら地球での生活を満喫していた。
しかし、とある出来事から政府のマッドサイエンティスト・ドクターロボトニックにつけ狙われることになり、モンタナ州グリーンヒルズで保安官をしていたトムを巻き込んでしまう。
トムは出世の道が開けかけたところに飛び込んできた騒動の元であるソニックを疎んじるが、次第に友情が芽生えていき・・・

有名なゲームでありキャラであることはよくわかっているのだが、残念ながら個人的にはこれまで興味を持ったことがなかったので、そのバックボーンが全く分かっていない中での視聴となってしまった。
そのため、ソニックの造形がぐにゃぐにゃしており、ハリウッド独特のアニメキャラを実写に落とし込むときの特撮が気持ち悪いと感じたのが正直なところ。どうやら原作ファンの評価としては「もっと気持ち悪くなることを想像していたけどマシな程度だった」というくらいらしいのだが、十分キモい。
また、この手の「ハリウッドにおける異世界生命体との友情」ものには本当にありがちなのだが、登場人物たちがみなバカで賢明でないので、まったく起こす必要のない騒動を自ら引き起こしまくり、それをストーリーに組み込むことで退屈にならないようにしているのがなんとも不自然でイライラするポイント。もうこのワンパターンやめてくれよ~!
ただ、初心者にもわかりやすいように、ソニックというキャラの背景や能力、パーソナリティーを少しずつ伝えてくれて、ロボトニックとどのような関係でやりあうことになるのか、という導入としてはよくできており、最後のクライマックスへ向かって無理のない展開になっているのはさすが。
また、ロボトニック役のジム・キャリーだけが一人だけ異次元的な演技力の高さを見せており、逆に浮いてしまっている感が強かったのだが、まあ敵役というのはこれくらいでないとね。

しかし、ソニックが高速で動いている間は周りのものがゆっくり動くという描写、ソニック自身が受けている重力加速度をほとんど無視しているところがやっぱりどうも頭の固いおっさんがついていけない要因の一つ。もうちょっと理屈を捏ねてほしかったなぁ。
まあ、娘は楽しく観ていたようなのでそれがなにより。おっさんの評価なんていらないですね申し訳ございません。

ソニック・ザ・ムービー (吹替版)

ソニック・ザ・ムービー (吹替版)

  • ジェームズ マースデン
Amazon

 

劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん(2019)

仕事人間で、家族とロクに会話もしない無口な父が、突然仕事を辞めた。特に何をするでもなく、一日中テレビを眺めている父の本当の気持ちが知りたくて、アキオは自分がハマっているオンラインゲーム・ファイナルファンタジー14に父を誘い、アキオ自身は自分であることを隠してオンライン上のフレンドとなり、一緒にオンラインゲームを楽しみたいと思い、父にPS4とFF14のパッケージをプレゼントした。
最初はいやいややっていた父だが、徐々にハマり始め、少しずつゲームに上達していく。
また、社会人として仕事がうまくいかず悩んでいたアキオもまた、その父の姿を見て触発されるのだった。
そして父にはまだ誰にも明かしていない秘密があった・・・

主人公のアキオは若い男性だが、オンライン上では少女のアバターを使っており、しかも自分が男であることを特に隠していない。最近のオンラインゲームではむしろ普通のことなのであろうか。やったことないからよくわからないのだけど。
そのため、主人公がログインした後はアバターの発声を女性の声優さんが行うのだが、それがびっくりするぐらいスムーズにつながっているのには感心した。
また、ゲーム内のパートはすべて実際のFF14のキャプチャで撮影されており、実際のゲームプレーヤーたちがゲーム内でアバターを動かして演技し撮影されているということにもびっくり。ものすごく革新的なことをやっているのだが、あまりにもシームレスなので違和感が全く感じられないのがすごい。

なんとなくうわさには聞いていた本作だが、詳しいことは知らずに観てしまった。
後から調べたところ、この内容は大筋フィクションではなく事実であり、ゲームブロガーが本当に自分の父をオンラインゲームに誘う様子をリアルタイムでブログに更新し続け、それが反響を呼びテレビドラマ化され、その後本作の劇場版が作られたとのこと。
元となったブログを読み漁り、当時の臨場感に嫉妬。リアルタイムで観たかったなぁ。
そしてドラマの方も観たくなったが、NETFLIX限定配信とのことなので、いずれ何らかの方法で視聴したい。
原作者のマイディーさんは2年前に癌で逝去されたとのこと。謹んで冥福をお祈りします。

 

るろうに剣心 最終章 The Final(2021)

言わずと知れたコミック原作の実写劇場版。「最終章 The Beginning」と一緒に、その次に観た。繰り返しになるが順序を間違えた・・・

流浪人として仲間たちと平穏な日々を過ごしていた緋村剣心。しかし、行きつけの牛鍋屋が謎の砲弾の襲撃を受け、顔なじみの警察署長宅が謎の集団に襲われるなど、周囲から追い詰められていく剣心。雪代巴の弟である縁(えにし)が姉の仇として剣心を恨み、追い詰めようと画策していたのだった。
縁は姉の死後中国へ渡り、上海マフィアの頭目として成り上がり、剣心へ恨みを持つ者を集めて再び日本へ舞い上がり、その膨大な財力と武力をもって剣心へ復讐を始めたのだった。
仲間たちが次々と悲惨な目に会い、心痛に苛まれる剣心。それこそが縁の目的であり、痛みではなく苦しみを剣心にもたらそうと、周りの人間への攻撃を行っていたのだった。
しかしそんな剣心を助けようと様々な仲間が立ち上がり彼を後押しする。剣心は攫われた薫を助けるため、縁との最終決戦に臨む・・・

コミックではこの人誅編の最初で挫折したのでこれ以降読んでおらず、いろいろ噂には聞いているあらすじには耳を貸さないことにして、フレッシュな気持ちで観たが、日本のエンターテイメント映画としては最高峰と言っていいのではないかと思える素晴らしい出来。
もちろん演出過多なところや派手すぎな面がないでもないが、「The Beginning」との対比上致し方ないところもあるので、そちらとセットで判断すべきであり、それで考えた場合はちょうどよい程度に収まっていると言える。
このシリーズですごいと思うのは殺陣。これまでの時代劇のもっさりとした様式美的な殺陣とは一線を画したハイスピードかつ力強いアクションが素晴らしい。
もっとパワー系で見せている牙狼の殺陣も大好きなのだが、こちらはこちらでスピード重視のアクションの中では到達点であるようにも感じる。。
そして街並みや建物の美術が本当によくできていて、一切の妥協がないところがまた観ていてほれぼれする。たいていの映画は「ああここ妥協したなぁ」と思ってしまうような残念ポイントがあるのだが、このシリーズはそれがないので本当にお金と人手をかけているのだなあと感心してしまう。
そして若い俳優たちの演技が素晴らしい。もちろん佐藤健がすごいのだが、他の俳優たちと力を合わせて作品を作り上げている感がひしひしと伝わってきて、逆にストーリーを楽しむというよりは演者を含めたスタッフが一つの作品を作り上げた集大成をおっさんが泣きそうになりながら閲覧してしまった感が強い。
特に最後の新田真剣佑のアクションがキレキレで、見ていてほれぼれしてしまった。こんなすごい俳優だとは知らなかったので嬉しい発見。
有村架純も美しかったし、三浦涼介がアンク以外でも頑張っているのを見てホッコリした。ちょっとだけだが伊勢谷友介の蒼紫が観れたのもよかった。土屋太鳳の操もかわいいながら激しく容赦のないアクションがよかった。青木崇高蒼井優も存在感が光っていた。ただ江口洋介斎藤一、実写ではルール違反であることはわかっているのだが、「牙突!」と叫んでほしかったな~!