観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

映画『ゆるキャン△』(2022)

社会現象にもなった「ゆるキャン△」の劇場版。

高校生の頃、キャンプを共に楽しんだ仲間たちも社会人となり、それぞれの道を歩んでいた。東京の出版社で編集者となったリン、東京のアウトドアショップ店員となったなでしこ、山梨県の観光推進機構にUターン就職した千明、地元で小学校の先生となったあおい、横浜でトリマーとなった恵那。
千明が立ち上げた地元再生計画に巻き込まれた形で再会を果たした5人。数年前に閉鎖された施設をキャンプ場に再生すべく、仕事の合間を縫って協力していく・・・

ストーリーに大きな起伏があるわけではなく、ヒーローや悪役がいるわけでもないので、引き込まれるような展開はないのだが、旧作でメインキャラたちの魅力に引き込まれたファンであれば、その雰囲気がもう一度味わえるということだけでも楽しめる映画となっている。
本作では登場人物たちが全員社会人として巣立ちしており、大人としての立場でそれぞれ葛藤しながらも旧友たちとのひと時を大事にする様子が描かれており、昔通りの仲良し5人組が見たかった人からすると、「ああ、あの時間は二度と戻ってこないんだな」という残念な再確認をせざるを得ないため、いつまでもキラキラしたゆるキャン△でいてほしい勢にはちょっとキツい内容なのかもしれない。
個人的には、原作にはない成長した5人の世界線を垣間見れたことが単純にうれしかったのでよかった。
ただ、単純にキャンプシーンが少なかったような。もうちょっと最近の便利なキャンプギアを得意げに使いまわしたりしてほしかったが、入れすぎると風化も早いし、仕方ないかな~。

 

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021)

やっとここまで視聴が追いついた・・・スパイダーマンシリーズ最新作。ネタバレ全開につき注意。

ミステリオの嘘告発により、正体を明かされたばかりかあらぬ嫌疑までかけられたピーター。その影響はMJやネッドにも及び、MITへの入学も不合格とされてしまう。
自分はともかく恋人や友人にまで被害が及んだことに悩むピーターから相談を受け、ピーターがスパイダーマンであるという事実を人々の記憶から消すための呪文を唱えたドクター・ストレンジ。途中でピーターが細かい注文をいくつも加えたことも相まって、呪文は失敗、異なる平行世界から様々なスパイダーマンの敵、ドクター・オクトパス、グリーン・ゴブリン、リザード、エレクトロ、サンドマンを呼び寄せてしまう。
ドクター・ストレンジの命により、彼らを捕獲して元の世界へ戻そうと試みるピーター達。しかし、彼らも苦しんでおり、メイおばさんに「彼らを救うべき」と助言を受けたこと、そして彼らはいずれも元の世界に戻れば死が待っていることを知ったピーターは、こちらの世界で彼らの治療を試みるが・・・

前作まではどちらかというと浮ついたスパイダーマンだった。崇高な理念や使命とは縁遠く、近くの隣人を助けつつも自分の困ったことに対してもバンバン能力を使って解決していくスタイルで、かなりユーモラスな面が強かった印象がある。
しかし本作ではだいぶシリアス寄り。ストーリー展開上やむなしといったところだろう。
それにしても旧作の主要キャストが敵味方ほぼすべて一挙出演とは。ハリウッドマネーの底力がすごすぎて逆に引くわ。
敵もそうだが、やはり主演のスパイダーマンが3人揃うと絵力が強烈。3人とも陰キャ設定なはずなのだがオーラがすごい。
誰が誰だかわからなくなるからナンバリングしよう、というのはわかるのだが、トビー・マグワイアがピーター2、 アンドリュー・ガーフィールドがピーター3なのはちょっと解せない、と皆思ったことだろう。まあトム・ホランド目線では致し方なしなのだが、そこは謙譲の美徳的なセンスで自らピーター3を名乗ってほしかった。
そしてみんなうっすら思っていた疑問。ピーター2だけウェブシューターが体から出ていて、ピーター1と3から「なんでなんで?」と質問される。もっともだ。もっともすぎて回避できない質問だよな~。答えは適当だったけど。

それにしても最近のハリウッドはこういう娯楽大作でも執拗にハッピーエンドを拒否するようで、本作もモヤモヤした感じが残ったままだった。次作への引きが最後に描写されたので、そちらで大団円となることを期待したい。やっぱりスカッとしたいのよ。

 

スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム(2019)

引き続き劇場版スパイダーマン学習の一環でアマプラで観た。

アベンジャーズ/エンドゲーム」の戦いから8か月後。スパイダーマン=ピーターは、学校の企画でヨーロッパ修学旅行に参加していた。
そこで片思い中のMJに告白することを決意するが、気負ってなかなか思うようにいかない。また、クラスメートのイケメン・ブラッドもMJに気があるようで、ピーターとしては気が気ではない。
そんな中、ピーターはフューリーから呼び出しを受けるも、旅行最優先のため無視し続ける。
ヴェネツィアについた一行は、早々に水の怪物に襲われるが、球体でガラス状の頭を持ち、両手から緑の怪光線を放つ男に助けられた。
その夜、ヒューリーから招集されたピーターは、彼が別の次元の地球からやってきたミステリオことベックであり、土・水・火・風の属性を持つ怪物・エレメンタルとの戦いにおいて共闘することを聞かされた。
ピーターはヒューリーから、トニー・スタークが遺した、人工知能が内蔵されたサングラスを渡される。その人工知能人工衛星に指示を出してドローンを射出し、様々な攻撃をも可能にするハイテク機器であった。
トニー・スタークから重責を託されたものの自分の未熟さに戸惑うピーターは、ベックは自分と違い成熟した大人のヒーローであり、サングラス持つにふさわしいと渡してしまうが、実はベックは異次元の戦士などではなく、以前スターク社に雇われていたものの、トニーに認められなかったり解雇されたりした恨みを持つ技術者や研究者グループのリーダーで、ミステリオはその恨みを晴らすためホログラム技術で作り出したまやかしのヒーローであった。
ピーターはサングラスを奪うための策略にまんまとハマってしまったのだった。
MJと二人きりになったピーターは、いよいよ告白しようとしたところでMJに気勢を制され、ピーターがスパイダーマンではないかと問われてしまう。
不意を突かれたピーターは認めざるを得なかったが、彼女が持っていたホログラム装置の残骸から、ベックが黒幕であることに気づいたピーターはヒューリーに真相を伝えようとするが、それはヒューリーではなくホログラムで化けたベックであり、戦闘の末、ピーターは高速鉄道に跳ねられてしまう。
なんとか電車に張り付き、中に潜り込んだところで気を失ったピーターは気がつくとオランダに到着していたが、そこへ助けに来たハッピーに鼓舞され、新たなスパイダースーツを作って決戦の地・ロンドンへ向かう・・・

トム・ホランド版のスパイダーマンシリーズは原則アベンジャーズの一環なので、アベンジャーズの劇場版を観ていないとわからないネタが多い。
この話の前の「アベンジャーズ/エンドゲーム」であれこれあったらしいのだが、観てないのでわからず。
また、本作はトニー・スタークが残したドローン兵器がキーになっており、ともするとそちらの演出が派手になってスパイダーマンがなおざりになりがちだが、そこはうまいこと見せ場を作って活躍させているのはさすが。
このMJ役のゼンデイヤ、「ホームカミング」の時は単なる不思議ちゃんだったのに、綺麗どころという見せられ方をするとちゃんと綺麗だな~。
現実世界でもトム・ホランドと交際中とのことで、ファンとしてはうれしい限りだろう。
また、クラスメイトでピーターのライバルであるブラッドがとにかくかわいそう。こいつ何も悪いことしてないのに(いや、ピーターがズボン脱いでる写真を無断で撮ったか・・・)。
そして、ピーターの親友であるネッドと両想いになるベティ=アンガーリー・ライスがとてもかわいい。ネッドのリア充っぷりというか行動力がすごくて尊敬する。

最後、ニューヨークの街中であれこれあり、次作への引きで終わる。
次も観よう。

 

スパイダーマン:ホームカミング(2017)

劇場版としては3人目のスパイダーマンであるトム・ホランド主演版。

オタク友達と学園生活をエンジョイしつつ、スパイダーマンとしてアベンジャーズの戦いに参加。アイアンマン=トニー・スタークからスパイダーマンスーツを提供されてウキウキと着込みながら、自分が活躍できる事件はないか街を巡回する日々。
一方、8年前、ニューヨークで瓦礫撤去を任された業者トゥームスとその従業員が、外宇宙からの侵略者チタウリが残した残骸を撤去しようとしたところ、トニー・スタークと政府が設立した事業者にその仕事を奪われてしまう。
トゥームスたちはチタウリが残した遺物を使用して武器を作り、翼の飛行怪人バルチャーとして悪事を働くようになる。
ピーターはスパイダーマンとして活躍したいという思いが先走り、アベンジャーズやトニー・スタークに認められようとするがうまくいかない。
そんな中、街のATMに謎の機械で押し入る強盗団と戦闘となるが、強盗団を救うように現れたバルチャーと交戦する中、バルチャーが落とした不思議な紫の光を放つ結晶を拾い、自分の正体がバレてしまった級友のネッドと学校で調べようとする。
そこにトゥームスの部下たちが現れたため、彼らに発信機を付けたピーターは、ワシントンD.C.で行われる学力大会を口実にバルチャーたちを捕まえようと画策するが、倉庫に閉じ込められてしまう。
ネッドが持つ結晶はたまたま携行品検査でX線を浴びたことで爆発し、ワシントン記念塔の中でネッドを含むクラスメートたちが危機に陥ったが、からくもスパイダーマン=ピーターが彼らを救出する。
スパイダーマンが学生たちのヒーローとなったことで得意になったピーターだが、行き当たりばったりで危険なやり方をとがめたトニー・スタークからスーツを没収されてしまう。
学生に専念しようとしたピーターは意中のクラスメート・リズをホームカミングパーティーに誘うが、迎えに行った彼を出迎えたリズの父親こそトゥームスであった・・・

トム・ホランドはまだガキっぽくて未熟で、早口で意味のないことをペラペラしゃべることで沈黙の気まずさを回避しているようなオタクっぽい雰囲気をとてもよく演じている。ただ、それが堂に入りすぎて「スパイダーマンってもっとこう、孤高で思い詰めていて正義感が強く使命感を感じさせるのがかっこいいのにな」と思ってしまう。
それだけ前の2シリーズの影響が強いということなのだろう。
ただ、後半になればなるほどストーリーが重く深刻になっていくので、前半のチャラチャラした感じが相殺されていてよい。
逆にこんな重い現実を背負わされたピーターがメンタルやられそうで心配になるくらい。
最後のMJのくだりはそう来たか!と思った。次回以降に期待しよう。

 

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022)

アマプラで無料になったので観た。

ジャブローの激戦を経た後、地球連邦軍はジオンの地球本拠地であるオデッサを叩くための反攻を開始した。ホワイトベースは補給を受けるためにベルファストへ赴くが、そこで通称「帰らずの島」と呼ばれる無人島の残置諜者相当任務である。アムロたちはモビルスーツで島に乗り込み捜索に乗り出すが、そこで子供たちがいるのを見る。そして一機のザクと戦闘になり、ガンダムごと崖から落ちて気を失うアムロ
気がつくと半ば廃墟となった建物のベッドに寝かされ、傷の手当てがされていた。
ここには20人の子供たちと、元ジオン兵であるククルス・ドアンが助け合いながら生活していた・・・

おおよそはテレビシリーズ15話の有名な単独回のリメイクだが、細かい点ではだいぶ変わっているようだ。
元になっているのがアニメではなく安彦良和の漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」であるため、ジャブローに行った後にオデッサ作戦へ参加するという順番になっている。
そのため、まだ地球圏であるにもかかわらずスレッガー中尉がメンバーに加わっていてジムを操縦したりしている。

正直、元アニメの「ククルス・ドアンの島」はあまり好きではない。ストーリーの大筋とはほぼ関係のない話だし、ドアンが任務を放棄して子供たちと生活しているのは、なにか根本的なところから逃避しているように見えるから。
たった1話なので人物描写ができるわけでもなく、もやもやしたまま終わってしまったのだが、本作は2時間の映画だけあって、ドアンが当初は残置諜者としてこの島にきたものの、おそらくは子供たちと邂逅し変節を経て、任務を放棄するに至ったのであろう経緯の痕跡は見て取ることができるので、テレビ版よりは納得して観ることができた。

こちらのアムロはアニメ版よりもだいぶ子供っぽくてポーッっとしている。意図的に主人公ではなく脇役的な立ち回りの役目を与えられており、男の子は黙って頑張る、的な一面が出ていた。そしてガンダムに乗り込んでからの、兵士としてジオン兵に対する容赦のないところ。無理やりガンダムホワイトベースに乗せられた人間であるアムロが兵士として葛藤する部分がガンダムというストーリーの醍醐味の一つなので、ここに違和感を持つ人がいるのもよくわかるが、本作においては、個人的にはあってよかったシーンだと思う。

しかし何といっても本作の見どころはモビルスーツ戦であろう。40年たっているので当たり前ではあるが、むしろその割には抑え目というか、元作へのリスペクトを残しつつ聖地でスピード感のある描写がかっこよかった。
もうちょっと時間があれば、ジオン側のパイロットたちの事情や葛藤も描いてほしかった。そうしたらドアンとの関係性にもっと厚みができたのだが。

賛否あるようだが、これだけ巨大コンテンツになると仕方ない。元アニメが好きな人への特典映像的には十分楽しめた。

 

 

キャノンボール(1981)

アメリ東海岸をスタートとして、西海岸までの5000キロに及ぶ公道レース。到着しさえすれば法律違反やお互いの妨害など、自己責任においてなんでもあり。奇想天外な発想による破天荒なレースが繰り広げられる。

皆道を開けるだろうという推測から救急車で参戦したJJとビクター、神父のふりをしたモーリスとジェイミー、半ば本人的に登場するロジャー・ムーア、ハイテクカーを駆使する東洋人コンビ、スーパーカーを乗りこなす美女二人などなど・・・

ハリウッド映画というと真っ先にこれが思い浮かぶ。ストーリーはおおざっぱでいい加減だが、バブリーにスターたちを登場させ、派手なカーアクションと殴り合いと大笑い、みたいな典型的な作品。
特徴的なオープニングで今更気がついたが、ゴールデンハーベストと20世紀フォックスの合同制作だったのか。

それにしてもスターがいっぱい出てくる。主人公・JJのバート・レイノルズはじめ、ロジャー・ムーア、サミ・デイビスJr、ディーン・マーチン、ふぁら・フォーセットなどなど。
当時は何とも思わなかったが、この歳で改めて見返すとファラ・フォーセットのぽけらーんとした何も考えてなさそうな美しさがジンジン沁みる。美しすぎる・・・
そしてwikiを見て気づいたが、ロジャー・ムーアとマイケル・ホイの吹替をどちらも広川太一郎がやっている。確かに言われてみればそうだわ。
今回はアマプラの無料版を見たので字幕だったが、そもそもはテレビで吹き替えを見たのが最初。マイケル・ホイ=広川太一郎の天才的な早口アドリブまくしたてアテレコが本当に面白くて、やっぱりこっちで観ないとな~と改めて思った。

これが面白かったので、「キャノンボール2」はちゃんと劇場へ観に行ったのを覚えている。
当時日本ではジャッキー・チェンが大人気だったので、まるでジャッキーが主演であるかのようなポスターやチラシ構成になっていた。アマプラのアイコンもジャッキーの写真になっていて、当時を偲ばせるなぁ。

 

横浜駅SF 全国版(2017 柞刈湯葉)

横浜駅SF」の外伝的な短編が6編。
■プロローグ
北海道の青函トンネルで、横浜駅の構造遺伝界が侵食してくるのと戦うJR北日本の人々の話。
■瀬戸内・京都編
挫折を経て島に一人で済む人間、熊野シドウと、JR北日本から工作員として送り込まれ、任務を忠実にこなすハイクンテレケ。その交流、シドウとケイハの半生、ハイクンテレケとの別れ。
■群馬編
コーカソイド系の人種でエキナカの医者をしている青目先生と、スイカネットの制御や操作に詳しい二ジョー君。浅間山の噴火を予測し、住人を避難させる。
■熊本編
JR福岡の中で起きた殺人事件と、その被疑者になった中年の男、そして彼を助けるため奔走する若手女性社員。その中で判明した社員の反目。
■岩手編
横浜駅への潜入工作員として作られた十二体のアンドロイド、Corpocker-3。彼らは個別にアイヌ語由来の名前を付けられ、8体が潜入捜査中。
その中でもサマユンクルは知性が高く、普段から冗談ばかり言っているが、独自の思考を続けていった結果・・・

どれもこの横浜駅世界をより深掘りして知ることができる良作。なかでも、アンドロイド君たちの個性とそれに基づく行動が知れるのがとても楽しい。
サマユンクルはほぼ人間へと近づいたが故に離反してしまうのだが、その彼が何をなすのか、改めて読んでみたい。
また、彼らを創造した「ユキエさん」が伝聞ばかりで語られ、ご本尊は作中ほぼ全く出てこないのだが、これもまた興味深い。

横浜駅の中はだいぶ狭い通路だらけでそんなに住みやすくはなさそうなのだが、自動水耕栽培で植物系の食料も豊富にあるようだし、少なくとも生活していく分には支障がなさそうなので、一度住んでみたいものだ。
しかし、「北海道へと増殖の手を伸ばしているがそれを阻止される横浜駅」「浅間山を覆いつくしている横浜駅関門海峡に構造物を伸ばして九州の地へ構造遺伝界を侵食させようとしている横浜駅」など、生まれてから若年期までを横浜で過ごしてきたものとしては誇らしさと違和感がぐちゃぐちゃになった複雑な感情が渦巻くのだが、それがこの本を読んでいる中でも一番の快感というかドラッグというか、いっぱいトリップできた。