サイモン・シン『フェルマーの最終定理』青木薫 訳、新潮社〈新潮文庫〉(2016)

正直数学にはそれほど興味はないし、難しい本が好きなわけでもない。

ただ、数年前、どこぞの動画サイトへ違法アップされていた、ポアンカレ予想のドキュメンタリーがものすごくおもしろかったので、その流れで手に取ってしまった。

 

案の定、最初から中盤まではもう退屈で退屈で、何回あくびをかみ殺したかわからない。

欧米のこういった文章って、なんではるか昔の歴史の時代からさかのぼるのだろう。

まあ、フェルマーの定理はピタゴラスの考え方にさかのぼらなければならないので、ある程度のさかのぼりは致し方ないところだが、欧米ってこういう時に往々にしてやりすぎて、つまらなくしているところがあると思う。反省せよ!

しかし、後半になるとようやく本作の主人公的な立ち位置にいある、アンドリュー・ワイルズが登場する。

彼がいかにフェルマーの定理を解いていくか、彼の生きざまとオーバーラップした、静かにだが手に汗握る、張り詰めた、でも地道な戦いが描かれる。

そのじわじわと地歩を固めて堀を埋めていくあたりがこういう話って好きなんだよね。

必ずしも努力していれば必ず報われるわけではないけれど、でも報われるためには努力は必須、というあたりにしびれる。

ワイルズはいったん自分の証明に反論され、窮地に立たされるけど、それでも頑張って反証してそれに打ち勝ち、見事フェルマーの最終定理を解いた男として歴史に名を残した。

数学者ってすごいわ。

フェルマーの最終定理(新潮文庫)

フェルマーの最終定理(新潮文庫)