ムツゴロウの無人島記・続ムツゴロウの無人島記(1972)

 子供のころはフジテレビで頻繁に「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」が流れていて、当たり前のようにムツゴロウと動物王国の様子を見ることができたのだが、今から考えれば相当とがったことをやっていたと思う。

本作はそんなムツゴロウさんの原点である1年間無人島生活をつづったエッセイ。

もう10回以上読み返しているが、今でも数年に一度は読んでしまう。

東京で研究者からエッセイストへ転身したムツゴロウさんは、ある時一大決心をして、北海道の無人島・嶮暮帰島に一年間住むことにした。

奥さんも一人娘も飼い犬も一緒。

ほんと家族にはいい迷惑だよな~。

島での生活はもちろん大変で、大量の物資を常に運び込んでいなければ生活できないし、気候は荒々しいし、家には時折ヨコノミという海の虫みたいなエビみたいなやつが大量に侵入して来たりするしで、いろんな苦労が押し寄せる。

しかし、湧き水はおいしく、昆布はいくらでも海岸で拾えて、嵐の後はホタテが打ちあがっていたり、ある日には花咲ガニが大量に産卵に来ていて拾い放題だったりと、読んでいてもよだれが出てきそうなエピソードも盛りだくさん。

また、無人島生活を行うには、対岸の浜中町に築いたベースが非常に重要であり、ここで弟家族がバックアップ体制を取り、船の移動や物資の運搬をやっていたことが大きいのだが、こちらはこちらで物語があり、町の人々と徐々に打ち解けていき、交流を深めていく様がまたすばらしい。

畑正憲の書き方がうまいからだと思うけど、自分も無人島に移住したら楽しいかもしれない、と思わせてくれるノリが今読んでも小気味よくて、つい再読してしまう。

ムツゴロウさんはここでヒグマのどんべえも飼育しており、のちの動物王国へと発展していく礎がここでできていくのであった。すげえなあこの人。