観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

銀河パトロール隊(1937 エドワード・エルマー・スミス レンズマンシリーズ)

 スペースオペラ(宇宙を舞台とした冒険活劇SF)のパイオニアにして至高のシリーズ開幕編。

SF沼に引きずり込まれたきっかけになった作品でもある。

時ははるか未来、人類は太陽系、果ては銀河系の知的生命体との邂逅を果たし、彼らとともに一大銀河文明を築いていた。

しかし、文明の発展とともにはびこるのが悪の組織であり、銀河文明も謎の宇宙海賊ボスコーンの跳梁に脅かされていた。

銀河の平和を守る守護者たる銀河パトロール隊候補生のキムボール・キニスンは、今まさに卒業しようとしている。

彼ら100人の精鋭は校長のいる謎の部屋に呼ばれ、腕に不思議な物体「レンズ」を付けて出てくるのだった。

そう、かれらが銀河パトロール隊の精鋭中の精鋭、レンズマン

100万人に一人とも言えるふるい落としと競争に耐え抜き、心身ともに完璧な状態にあるものだけが手にすることのできるレンズ。

それは単なる記章や象徴ではなく、異星人と精神感応によって会話することができるし、本人に完全に同調するよう設定されており、仮に敵の手に落ちてレンズが奪われたとしても、本人以外のものが装着するとその者には死が訪れるのだ。

キニスンはその年のレンズマン卒業生の主席として、空港司令官ヘインズから一つのミッションを授けられる。

それはボスコーンの宇宙船と戦い、それを奪取し、どのような構造で銀河パトロール隊の宇宙船が追い付けないような速度を出しているのか、その秘密を探り当て、その情報を持ち帰る、というものだった。

そのボスコーンの宇宙船の速度によって、現在銀河パトロール隊はボスコーンに対して無力であり、決定的な危機が訪れようとしていたのだった。

キニスンは最新鋭宇宙船「ブリタニア号」と清栄の乗組員を与えられ、宇宙の深淵へボスコーン船を求めて発進した・・・

本作を端とする「レンズマンシリーズ」は、のちのスターウォーズの元ネタともいわれており、

 ・正義の側と悪の側(アリシア人とエッドール人、ジェダイと帝国皇帝)

 ・精神の力による戦い(レンズ、フォース)

 ・軍隊同士の戦い(銀河パトロール隊とボスコーン、共和国軍と帝国軍)

などのモチーフはレンズマンから着想を得たものだと言われている。

レンズマンがすごいのは上記の他に、「無慣性航行」という光の速度を超える理論を打ち立てたことだ。

光の速度に限界があるのは慣性があるからであり、速度が上がるにつれて慣性が無限大にまで大きくなり、光の速さで止まる。それなら、その慣性を装置によってなくしてしまえば、早さに限界はなくなるのではないか、という考え方で、レンズマンシリーズではこの無慣性装置を、制作者の名前を取りバーゲンホルムと呼ばれているが、これのおかげで銀河をまたがる大活劇が行える理屈付けができている。

他にも人為的ブラックホールを敵の艦隊にぶつけたり、無慣性化した惑星を武器にしたりと、とにかくスケールが大きくて爽快。

当時中学生だったが夢中になって読み、今現在も定期的に読み返しては「これに勝るものなし」と悦に入っている。