観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

インターステラー(2014)

近未来、地球は人間が住むには適さない環境へ変化し続けていた。

昔はパイロットをやっていたが現在では需要がなく、仕方なく農家をやっている主人公。物分かりの良い従順な兄と、なんでも疑問を持ち自分の意見をはっきり言うため問題児扱いされる妹の二人の子を持つ、妻に先立たれたシングルファーザー。

ある日、娘が自分の部屋で発見した超常現象。砂埃があらわしていたのはある座標だった。そこへ車を走らせると、すでになくなっていたはずのNASAが存続しており、人類を救う手立てを必死に検討していたのだった。

主人公は宇宙探査のパイロットとしてスカウトされ、悩んだ挙句に引き受ける。それは家族との何十年にもわたる別離を意味していた・・・

相対性理論を主軸とした時間の流れ方のズレが残酷なまでに多用され、容赦なく時を経過する主人公たち。と言いつつ、この映画の本筋はこのSFのシチュエーションではなく、苦悩し葛藤しながらも必死に役目を果たそうとする登場人物たちだ。

正直、SF好き(オタクでもマニアでもないです。そこまで詳しいと胸を張って言えないので)としては、シチュエーションだけSFを使われることにちょっと抵抗を覚えるのは事実。実際、この映画では理屈の詰めが非常に甘く、特にラストの主人公のめくるめく超常体験はほぼファンタジーであり、説明できない現象が次から次へと起こってしまうので、本格SFとして観てしまうとどっちらけになる危険性をはらんでいる。

どちらかというと「2001年宇宙の旅」や「惑星ソラリス」のような、哲学的な考証がメインのSFな印象。主役はあくまでも人間であり、シチュエーションではないということであるようだ。

その代わり、もがきあがく主人公たちの生きざまは素晴らしい。最後まであきらめず、可能性を探し続けるというのはつらいことだが美しいことでもある。

もっとも、僕も小さい娘を持つ父親の端くれではあるが、こういう選択をする父親は断じてナシなんだけど・・・絶対無理だよそんなの~!

その美しい結末には確かに感動した。ただ、それは自分には絶対にできないという恐怖と共感のできなさが相まってのことなんだろうなぁ。

あと、映像は単純にすごかった。土星の環をかすめて飛ぶ宇宙船や、ブラックホールにおける事象の地平線の描写は、ほんとにこうなんじゃないの?と思わせるような説得力がある。やはりすごい作品。

インターステラー(字幕版)

インターステラー(字幕版)

  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: Prime Video