「ボーダーライン」の続編。
今回はほぼデルトロ演じるアレハンドロが主役。そりゃそうだろうな。
アメリカで起きた自爆テロが、メキシコ麻薬組織によるものとにらんだ政府は、CIA捜査官のマットに、国境付近で暗躍する麻薬組織を混乱に陥れるよう指示。マットは既知の殺し屋であるアレハンドロに協力を要請する。
アレハンドロは麻薬王の娘イザベルを誘拐して混乱を引き起こそうと企てるが、アメリカ政府の方針変更や敵の奇襲などによって、メキシコ内で孤立を余儀なくされる。イザベルを連れて潜伏するアレハンドロ。人質の命の保護を優先して動くアレハンドロに対して、イザベルは次第に信頼を覚えるようになっていくが、麻薬カルテルにも、情報を隠蔽しようとするアメリカ側にも狙われることになり、二人は追い詰められていく・・・
戦闘の激しさや情勢の容赦なさは前回同様なのだが、どうも今回はアレハンドロが人間的というかヒューマニズムに寄ってしまっている感じがして、ちょっとぬるくなったなあという印象。
もっとも前作が苛烈すぎたので、生ぬるい側の人間としては「これくらいでいいんだよ」と言いたくもある。
どこまでイザベルを守ろうとするアレハンドロはカリオストロの城のルパンっぽい。つまり紳士的なおっさん。そこがちょっと滑稽に映ってしまう。
あと、ブラックユーモアな展開がちょこちょこ見受けられ、特に終盤、頭を撃ち抜かれて死んだように見えたアレハンドロが、実はほっぺを撃ち抜かれただけで生きてました、というシーンがあり、ここ笑っていいところなの?笑うよ?ははははは・・・みたいな苦笑が浮かんでしまう。
前作がドキュメンタリーチックなリアリティをとことん追求していたのに対して、本作は同じ状況を使ってよりエンターテイメントに寄せていったということなのだろうな。見る人によって好みが分かれそう。
個人的にはイザベルがかわいかったので許す。