あしながおじさん(1912)

 知らない人はいない普遍的な作品。

孤児院で育ったジルーシャ・アボットは、その文筆の才能を見込まれ、とある匿名の慈善家の厚意によって、定期的に手紙で報告することを条件に、大学へ進学させてもらえることになった。

一瞬だけ見かけた彼のシルエットからその慈善家を「あしながおじさん」と呼ぶことにしたジルーシャは、孤児院でつけられた気に入らない名前の代わりに手紙の中では「ジュディ」と名乗り、あしながおじさんへ大学や生活の様子を手紙に綴っていく・・

みんな知っている、一度は読んだことのある作品。児童文学だと思っていたが、何度も読んでいくと大人が読んでも含蓄深く、みずみずしい感性で書かれた名作であることがわかる。

小学生のころ初めて読んでから、いまだに何度も読み返してしまうが、そのたびに新しい発見がある。

それまでは孤児院の世界しか知らなかった少女が、大学を通じて様々な友人や大人たちと交流して、ひとつずつ感動を持って発見していき、素直な表現で文章に表しているという体のシチュエーションも凝っていてよい。

一番うらやましかったのは、夏休みになるとあしながおじさんの指定で農園で過ごすこと。この農園が楽しそうなんだよなぁ。

そもそもは孤児院から「夏休みは暇だろうから手伝いに帰ってこい」と言われ、それがものすごく嫌であしながおじさんに愚痴った結果、温情で農園行きを手配してもらった、という流れだったが、さすが金持ちの気の回し方は豪快でよいね。

そして、小学生の頃は素直だったので、最後の最後までラストのオチに気が付かず、ものすごく驚いた。

そして、この苦労の多い少女が幸せになれてよかったなぁとほっこりしたのを覚えている。

大人になって読んでいたら最初から分かってしまっていたろうから、その驚きの分は得をしたなぁと思う。

あしながおじさん(新潮文庫)