観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

仮面ライダークウガ(2000)

 もう20年前なのか・・・歳を取るわけだわ。

当時、仮面ライダーなんかにはほとんど興味がなかったが、たまたま日曜の朝、暇を持て余してザッピングしている時にこの番組が引っかかった。

これって仮面ライダーだよな?それにしてはずいぶんリアル志向というか、大人向けのドラマになってるけど・・・

そう思って観始めたのがおそらく5話から10話の間くらい、だったと思う。

そのあとすっかりはまってしまい、まさか20年もの間シリーズを見守り続けることになるとは夢にも思わなかったが、本作は「平成ライダーシリーズ」と呼ばれる新シリーズの一番最初の仮面ライダーである。

「完全新生」を謳った本作は、一話完結の子供向け特撮番組であることをやめ、完全に大人向けのストーリーへ舵を切った。

とある山中で起こった、不可思議な殺人事件。そこで見つかった古代遺跡から、主人公・五代雄介はベルトのようなものを手に入れる。

突如現れた謎の怪人が街の人を襲う。その時、五代の脳裏に古代の戦士・クウガが怪人・グロンギと戦い圧倒するビジョンが見えたのだった。そしてベルトの力でクウガに変身する五代・・・

本作で特徴的なポイントがいくつかあるが、まずはライダーは改造人間ではなく、古代文明の戦士であるという点。

ベルトを継承するとその戦士になることができる。

また、ライダーは所在のはっきりしている一般人で、警視庁と連携を組み、グロンギと戦っていくというスタイル。

特に当初からかかわりのあった刑事・一条は陰に日なたに五代をサポートしていく。

警察と共闘するライダーというのはたぶん初めてだろう。

ただ一緒に戦うだけではなく、ライダー用のバイクや武器も警視庁から提供されており、手厚い保護を受けている。

また、警察内でのグロンギ対策本部の会議シーンが延々と流れたりするのも、臨場感を増すのに大いに役立ったが、お子さんは見ていても退屈だったろう。

ちなみに警察内や世間ではクウガのことを未確認生命体4号と呼んでおり、これはほかのグロンギたちと区別がつかないため、わけのわからないやつ4人目、という意味でつけられている。

小さな子が「まだ4号出てこないのかなぁ」などと言っているのはなかなかシュールで、でも現実的にはこうだよなぁと納得させられる。

ベルトの力は五代の体に食い込んでおり、病院でレントゲンを撮ったりして「ベルトがずいぶん体に侵食しているようだ」みたいな話をしたりするのもそれっぽくてよろしい。

次に、ライダーがフォームチェンジする点。

昭和時代のライダーは原則ライダーの色や形が変わることはなかったが、クウガではマイティーフォーム・ドラゴンフォーム・ペガサスフォームなど、能力特化型のライダーへ色と形と能力が変化する。

また、雷の力が加わってライジングマイティ、のような進化型もあったりする・

このフォームチェンジが後世のライダーに重大な影響を与えており、平成ライダーはほぼ例外なくフォームチェンジをすることになったので、フィギュア業界は大いににぎわった。

あと、主演のオダギリ・ジョー、そして一条役の葛山信吾のイケメンぶりが際立ち、「イケメンヒーロー」の走りとなったことで、ファン層が子供および大きなお友だち(=おっさん)だけではなく、子供のママたちがそのまま取り込まれるという現象を引き起こし、これが仮面ライダーおよびスーパー戦隊の大きな潮流となっていったことで、ライダーと戦隊は若い俳優たちの登竜門としての位置を確立するのだった。

特にオダギリ・ジョー演じる五代雄介は、天真爛漫で人を思いやる気持ちにあふれた好人物で、「癒し系ライダー」などとも呼ばれていた。

女性陣も好演が目立つ。五代の親友で古代文明の研究を行う大学院生で、クウガである五代をサポートする沢渡桜子を演じる村田和美はその後グラビアアイドルとして活躍したし、五代の妹・五代みのりを演じた葵 若菜もキュートなかわいらしさで花を添えた。

警察の研究開発部門勤務の榎田役・水島かおりや、グロンギ側の通称・バラのタトゥーの女=七森美江の美しさも際立っていた。

そして、敵側の複雑な設定。

本作の敵である怪人は、古代文明を作り上げた人類・リントの天敵であった超生物グロンギであり、彼らの存在理由はただ一つ、リントを殺すこと。

リントをいかにして、どれだけの数を殺すかというゲーム=ゲゲルを行っており、彼らなりの複雑なルールにのっとってリント=現代の人類を殺していく。

また、グロンギの中にも階級があり、ズ集団・メ集団・ゴ集団など、能力と実績によって上位階級へ上がっていく。

ちなみに上位階級になればなるほど、体内に保持しているエネルギーはすさまじく、上位の者をクウガが倒すと大変な爆発が起こり、あたり一帯を吹き飛ばしてしまうほどで、一条から支持されてグロンギ無人地帯に誘導してから倒すなど、場所も選ぶ配慮が必要だった。

ちなみに作中ではグロンギグロンギ語を話していることが多く、観ている視聴者は彼らが何を言っているかさっぱりわからない(だんだん徐々に人間界に慣れてきて、日本語を片言でしゃべるグロンギがちょこちょこ出てくるが)。

わからないが、雰囲気でだいたい理解はできるので、異界の言葉を使う異形の怪人感がより増している。

最近のライダーでは人死にが出ることはほとんどないのだが、このクウガでは容赦なく人が殺されており、おそらくライダー史上でもっとも民間人が殺されたのではないだろうか。

これらのリアルな設定、特に警察組織と一緒に戦うライダー、というシチュエーションにしびれまくって、一気に仮面ライダーファンになってしまった。

普通の良くできたドラマとして観ることができるので、特撮に興味がない人にもぜひ見てほしい。


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