レンズの子供たち(レンズの子ら)(1947 エドワード・エルマー・スミス レンズマンシリーズ)

 中学生の頃に読んだ創元推理文庫版では「レンズの子ら」だったが、その後の改訳版では「レンズの子供たち」に改名されていた。

キムとクリスが結婚して20年が過ぎた。彼らは一男四女の子供たちに恵まれ、キムはランドマーク星雲の調整官として責任ある仕事についていた。
子供たちの長兄であり長男のクリストファー(キッド)は、銀河パトロール隊の訓練を終えると、入隊と同時に限定解除となりグレーレンズマンになるという史上初の快挙を成し遂げつつすぐに任務に就くあたり、レンズマンのインフレ化が著しいが、キムとクリスの子供たちはあらゆる意味でスペシャルなので致し方ない。
というのも、5人とも、親たちは知らないが既に第二段階の域に達している。4人の妹たちは純粋な自分の思考の力だけで、厳密な意味でのレンズを自らの腕に生じさせることができるほどである。なぜなら、アリシア人によって慎重に選定された、来るべき戦いに向け用意された血統と血統の頂点がまさに彼ら彼女らだから。
4人の妹たちはそれぞれ双子で、銀河パトロール隊に所属してはいないが、全員自分たちの使命をわきまえており、既存の第二段階レンズマンである重鎮たちとそれぞれペアを組み活動する。
キャスリン(キャット)は 父・キムボールとペア。
カレン(ケイ)はキャットと双子で、パレイン人のナドレックとペア。
カミラ(カム)はリゲル人のトレゴンシーとペア。
コンスタンス(コン)はヴェランシア人のウォーゼルがペア。
キットは母親であるクリスとパートナーとなる。
それぞれのペアが自分たちの能力を生かして、20年来でまた跳梁し始めたボスコーンを追うのであった。

いつもより登場人物がとにかく多いので、少々散漫な感じは否めないが、全員重要なので手も抜けず、七転八倒しているスミスが見えるようだ。なにしろ5人の子供たちそれぞれがアリシアのメンターと修行して第二段階から第三段階へレベルアップする様子を書かなければならないのだから。
そして今まであまり詳しく語られることがなかった最後の真の敵、エッドール人の様子も詳しく描写されており、ワクワクせざるを得ない。
また、最終決戦の艦隊戦ではレンズマン以外の主要登場人物のジュニアたちが頑張っているのがほほえましい。
クライマックスの盛り上げ方はさすがスミスで、すべての力の結集され具合はすさまじくも鳥肌が立つレベルでのすごさ。
中学生の時にこれを読んでしまったので、いまだにこのシリーズを超えるSF小説作品に出会えていない。
というより、感受性の黄金期に触れたものがなんであれ一番なんだろうなぁ。
最後彼らが迎える運命はなかなかハードなのだが、それも厳粛な意味での未来への展望であり、あくまでもスケールは壮大無比で終わるという徹底ぶりがよい。
もちろん、70年も前に書かれた作品であるので、軍隊主義だとか、勧善懲悪すぎだとか、感情表現がほとんどないだとかいろいろな欠点を指摘されても致し方ない点は多々ある。しかし、あふれ出る壮大なアイデアとスピード感が最優先された潔さは認めてもらいたいものだ。