観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

マイ・フェア・レディ(1964)

 オードリー・ヘップバーン主演のミュージカル映画。もともとは舞台ミュージカルが大成功したのを映画化した流れ。
年末年始のBSでやっていたので観た。
これもほぼネタバレなので、見たい方は読み飛ばしてください。

イライザはイギリスの労働者階級の飲んだくれオヤジの娘で、花売りとして生計を立てている。生まれのせいではすっぱな汚い言葉を威勢よくまくしたてる気の強い娘だが、ある雨の夜、上流階級の集まりの門前で花を売りつけようとしたところ、言語学を研究しているヒギンズ教授と同好の士のピカリング大佐が意気投合したところに出くわし、自分の言葉遣いを治してくれて、いいところへ勤める助けになるかもしれないと、ヒギンズ邸へ訪ねていき、1時間1シリングで自分に言葉を教えろ、と押し掛ける。
ヒギンズは自分の言語学理論の証明のため、半年あればまともな英語が使えない労働階級の娘に上流階級の話し方と作法をすっかり身に着けさせることができると主張、ピカリング大佐と賭けを行い、ここに3人の利害は一致してレッスンが行われることになった。

無理やり風呂に入れられ、体をピカピカにされたイライザは、鬼のような特訓で正しい発音を強制的に朝から晩まで発生させられた。今だったら虐待で捕まるレベル・・・
初歩のレベルでもイライザの覚えは悪く難航を極めたが、徐々に正しい発音ができるようになっていく。

テストとして、上流階級の競馬鑑賞会へ連れていき、上流階級での付き合いが何より大事な自分の母に、イライザの面倒を頼む。
周りを圧倒する美しさでしずしずと登場したイライザだが、競走馬を興奮して叱咤すところで馬脚を現し、ひどい訛りで叫びまくるという失態。
しかし、それをワイルドで魅力的と思った優男が恋に落ちるのだった・・・

その後、本番の王室舞踏会。ここでばれなければヒギンズの成功、ピカリングとの賭けの勝ち。
そこには息を飲むほど美しく気品のあふれたレディの姿が。場の集中を一気に持って行ってしまうほどの美を放つイライザがいた・・・

汚い町娘が磨いたら上流階級でも評価される美女に、という話はまあありきたりと言ってしまえばそれまでなのだが、それをヘップバーンでやるので破壊力が半端ない。というかはすっぱヘップバーンも相当なかわいさなので、どっちもええやんけ!となってしまってジャッジ不可能になってしまう。
まあみんなそのあたりは承知の上だと思うのだが。
このあとヒギンズ教授とイライザは大喧嘩。まあ当然と言えば当然だろう。ヒギンズ教授はイライザを完成した制作物としか思ってないので、大変だったろう、よくやったね、的なねぎらいも共感も一切ない朴念仁で、イライザの心はいたくく傷ついたわけだ。もう阿呆なヒギンズ。こんな美人を前にしてもそれかよ。もっともヒギンズ役のレックス・ハリソンはミュージカル役の主役も務めていて自信たっぷり、劇場版でも役者やスタッフに対してオラオラ系の相当嫌な奴だったらしいので、その意味では役のまんまでやりやすくてよかったろう。
しかしヘップバーンの美しさは他に類がない。ほっそい体に小さな顔、でも眼力と放つ美力はサーチライトのよう。こんな女優はそれまでもいなかったし、それ以降も現れていないよなぁ。
あと、イライザの父ちゃんがヒギンズの差し金でよくわからん講演をさせられてプチ成功したのは笑った。父ちゃんよかったじゃん。なまじ中途半端な金が入ってきて人が群がるようになったり、連れ添った女と結婚しなきゃならんと嘆いていたが、まんざらではなさそうだった。珍しく娘にたかる系ではなく、自分で幸福をつかみ取っていて頼もしかったぞ、父ちゃん!

マイ・フェア・レディ (字幕版)

マイ・フェア・レディ (字幕版)

  • 発売日: 2020/09/01
  • メディア: Prime Video