機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988)

 もう四半世紀近くたつのに、いまだ色あせない傑作。

宇宙世紀0093年。一年戦争終結から13年が経過していたが、その後の戦争・グリプス戦役から消息不明だったシャア・アズナブルキャスバル・レム・ダイクンが、いまだに地球を汚染し続ける地球連邦へ反旗を翻し、ネオ・ジオンを率いて宣戦布告した。
アムロ・レイ中尉の所属する地球連邦軍のロンド=ベル隊は、ネオ・ジオンが地球連邦政府があるチベット・ラサに小惑星フィフスルナを落下させる計画を必死に阻止しようとしたがかなわなかった。
その後、地球連邦政府ネオ・ジオンと秘密裏に交渉を行い、停戦協定を結ぶ代わりに、小惑星アクシズネオ・ジオンに引き渡すことを合意。
しかし、これはアクシズを丸ごと地球に落とし、地球に核の冬を起こさせようとするシャアの陰謀の一端に過ぎなかった。
アムロはその計画を阻止するべく、最新技術である、脳波を直接増幅する素子が埋め込まれた素材・サイコフレームが搭載されたν(ニュー)ガンダムを駆り、シャアと対峙する・・・

もちろん本作はファーストガンダムの登場人物がその背景を全部背負った上でストーリーが成立しているので、前作を見ていないと話がさっぱり分からないのだが、さすがにこの映画を観ている人でファーストを見ていない人はまずいないだろう。その前提に立った上で、本作の一番の萌えポイントは、アムロとシャアがいい大人になって全力で大人喧嘩している、という点にある。
厳密にはシャアは当時二十歳くらいだったので大人になっているが、まあ二十歳なんてまだガキなので、ほぼ子供と言ってよいだろう。そしてアムロが上司かつ同僚のブライトに対して「ブライト」と呼び捨てにして話をしているのが胸熱すぎる。ファースト当時はビンタされて「父親にもぶたれたことないのに!」とか言ってたのになぁ。アムロも大人になったもんだ、と観ている人はその成長を寿ぐのである。
そしてシャアもZガンダムの頃は政治家デビューしたりして現場からは遠ざかっており、ZZ(ダブルゼータ)のころはほぼ存在感がなかったので、こうやって最前線に復帰してくれてファンとしてはワクワクが止まらない。

そしてνガンダムのかっこいいことこの上ない。やはりアムロは一番最初のニュータイプなので、いつかはサイコミュによる遠隔武器を扱ってもらいたいものだと皆が切望していたのだが、本作で思い切りそれを実現していただいて感謝しかない。νガンダムはフィンファンネルと呼ばれるサイコミュ遠隔武器を6基搭載しており、うち5基を使ってビームバリアーを展開できるなど、オタク心をくすぐるギミックが満載。そしてやはりストーリーの柱となるサイコフレームの技術や考え方がよい。それらの最新技術が盛り込まれた割には見かけ上がファーストガンダム寄りなのに感動してちょっと涙ぐみそうになる。
そして詳細の説明は避けるがラストのシャアとアムロの対決、サイコフレームの小道具としての重要な役割、そしてスケールの大きいエンディングに大感動。当時まだ高校生だったが、劇場で見てあまりの感動に席が立てずもう1回そのまま見てしまったほどである。

本作は原作と思われる小説が、どちらも監督の富野由悠季作で2種類刊行されており、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ハイストリーマー」と「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア  ベルトーチカ・チルドレン」のいずれも読んだ。ハイストリーマーの方が本作にほぼ沿ったストーリーで、なんで2つ出したのか当時は不思議だったが、今wikiを読んで納得。ベルトーチカ・チルドレンは一稿目で、いくつかの事情により却下され、第二稿であるハイストリーマーの方が採用されたようだ。ただ、小説版としてはベルトーチカ・チルドレンの方が正編で、このあとの「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」とつながる。
ただ、ベルトーチカ・チルドレンの方は、Zガンダムに出てきたベルトーチカ・イルマアムロと恋仲でアムロの子を宿す設定のため、本作のアムロの彼女でありνガンダムの基本設計者であるチェーン・アギは出てこないし、シャアの搭載モビルスーツサザビーではなくナイチンゲールであるなど、いろいろ差異があり、パラレルワールド的な扱いになっている。映画に沿ってない方が正伝になるのはややこしいなぁ。ただ、小説版の「機動戦士ガンダム」もアニメとはだいぶストーリーが異なるので、富野由悠季的にはよくある話ということなのだろう。

本作の主題歌は言わずと知れたTMネットワーク「BYOND THE TIME」。たぶんカラオケで数十回は歌っているだろう。カラオケで歌うとほぼ例外なく本作の映像が流れるので気持ちがよく、つい歌ってしまうのであった。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

  • 発売日: 2016/08/15
  • メディア: Prime Video