観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

仮面ライダーアギト(2001)

 平成ライダーシリーズ第2弾。

前作「仮面ライダークウガ」における「未確認生命体」による大量殺戮事件の終息から2年がたったころ、沖縄の与那国島に謎のオーパーツ(特定できない古代文明の遺物)が流れ着いた。
同時に日本各地で、人間には実現不可能と思われる方法による猟奇的な殺人事件が頻発するようになる。
警視庁では未確認生命体のような異種が現れた際に対抗できる戦力として、未確認生命体4号(クウガ)を元にしたパワードスーツであるG3ユニットを開発。その運用試験を行っていたが、上記の殺人者がかつての未確認生命体を凌駕する存在であるとしてアンノウンと呼称、これを鎮圧すべく動き出す。

海に打ち上げられ意識不明の状態だったところを助けられた青年・津上翔一は、意識は戻ったものの記憶喪失を発症しており、心理学者・美杉の家に居候している。翔一は家事全般を受け持っているが、アンノウンが出現するとそれを察知し、家事を放り出してバイクで現場に駆け付け、アギトに変身してこれを殲滅するのだった。本人もなぜ自分がそうしているのか、よくわからないまま。

G3ユニットの装着者、氷川誠は元々香川県警所属だったのが警視庁に転籍し、アンノウン対策班として活動しているが、香川県警時代、フェリー・あかつき号が暴風雨で遭難していたところをたった一人で救出した、「あかつき号の英雄」と呼ばれている。
そのあかつき号に父親が乗っていた青年、葦原 涼は、バイク事故がきっかけで不完全なアギトの力が覚醒し、ギルスへ変身するようになるが、不安定なギルスの力に翻弄され、人生をも揺さぶられ続ける。
3人がそれぞれの力でアンノウンと対峙することになる・・・

仮面ライダークウガの世界とつながっている世界観となっており、G3(のちに改良版のG3-X)ユニットが作られたのは未確認生命体が再び現れた際の対抗策という設定。そのため、未確認生命体レベルの強さであればそれを退治できるだけの力を持っていることになっているのだが、最初アンノウンにはやられっぱなしでいいところがなく、アンノウンが未確認生命体よりはるかに強いということを暗に仄めかしている。いやあ、未確認も相当強かったぞ?

今ではライダーが複数現れるのは当たり前になってしまったが、この時はワンシリーズでライダーが3人出てくるというのが非常に話題を呼んだ。それだけライダー=一人、というのは常識と化していたわけで、その常識を覆したのがアギトの偉業であろう。

この世界では遥かな万古の時代に、あるパワーが「闇の力」と「光の力」に分かれ、闇の力はそのままほぼ神と同義の存在になり、光の力は人類に降り注いで、いずれ「アギトの力」として覚醒するための因子となった。そのため、人類の中には多くの「アギト候補者」がおり、覚醒すればアギトへ変身することになる。
実際、主人公のアギト以外にも、何人かの人間がアギトに変身するか、もしくはアギトになりかけた。この辺の設定がそれっぽくて熱い!俺もアギトになれるかも、という期待を持たせてくれるのがいいし、物語の中ではこの力が忌むべきものと思われ、、実際翔一の姉はアギトの力が覚醒しかけて人を殺してしまったことで絶望し自殺している(以上ネタバレ)。決して喜ばしいだけの力ではなく、それなりの重みと覚悟が必要だということを表しており、話に厚みを持たせている。
また、これらの力が覚醒するのが、主人公の津上翔一を含めてあかつき号事件でフェリーに乗り合わせた人ばかりであり、実際はフェリーは嵐にあったのではなく、闇の力に触れたことでアギトの力を覚醒させられたのだが(以上ネタバレ)、話の当初はこの辺が伏せられていて、話を追うごとにこれらの謎が解明されていくという謎ときの構成が非常に良かった。毎話毎話謎が明かされるのが楽しみで仕方がなかったなぁ。

あと、主人公の津上翔一が、記憶喪失で人の家に居候しているという身の上であるにもかかわらず、能天気でお茶目で深く考え込まないポワーンとした人間というところが、前作クウガの五代雄介の流れを汲んでいてよかった。ワンパターンとみる向きもあると思うが、非情な定めを負いそれに苦しむ主人公というのは昭和の時代で終わったのであり、平成ライダーからはそれらも背負った上で明るく生きてやるという前向きさがよかった。
また、人造ライダーであるG3-Xがカッコよかった。ロボットではなくあくまでも「装着」するものなので、ロボコップみたいなギッコンバッタンする感じではなく、アンノウンと格闘戦を演じられるほどの俊敏さも兼ね備えているのに、かなりメカメカしくて、でもちゃんとライダーで、というのがよい。
最初はかなり弱かったが、氷川誠が装着者として成長していくことと、G3ユニットも様々な強化が施されることにより、終盤では鬼のような強さを誇るようになる。それがまた胸アツなのである。氷川を演じた要潤はこの作品の中では一番の出世頭だろう。
ギルスはアマゾン系のワイルドなライダーだが、クリーチャーっぽいデザインの中にもライダーらしさがちゃんと残されていてこれもかっこよかった。特に途中からパワーアップしたエクシードギルスは触手まで使いこなしながら気持ち悪くならずにかっこいいままでいるという荒業をやってのけたのがよい。変身する葦原涼を演じた友井雄亮は、おばちゃんに人気な歌謡グループ「純烈」のメンバーだったが、女性へのDVがばれて芸能界を引退してしまったのは残念だった。またギルスやってほしかったなぁ。
よく考えたら、光と闇の力を象徴的に演じた、子役の神木隆之介要潤を超える一番の出世頭だな。ちょい役だったけど。

仮面ライダーアギト Blu-ray BOX 2

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