アクロイド殺し(1926 アガサ・クリスティ)

 ミステリ(推理小説)が好きな人でこれを知らない人はいないと思われるほどの古典的名作。といっても僕自身はミステリはほとんど読まない。というかミステリを読まなくなったきっかけとなった作品でもある。

ある村で起きた殺人事件。被害者の友人であり、村の医師でもあったジェームズは、被害者の姪が助けを求めた隣人がベルギー人の有名な探偵・エルキュール・ポアロであることを知る。ポアロは引退してかぼちゃづくりにいそしんでいたのだった。ポアロはジェームズを助手に事件を捜査する・・・

名高いベルギー人の探偵:エルキュール・ポアロは、ホームズと人気を二分するほどの人気を持つ典型的な名探偵だが、この時点では探偵家業をやめ、田舎に隠遁していたという設定。もともと探偵をやっていた時は助手役にヘイスティングス大尉がいたが、ここではシェパード医師がその役になるわけだ。

この作品は最後の真相というかオチがすべてなので、いくら100年前の古典といえどもここでネタバレをするのははばかられる。なのでこの作品との出会いだけ記しておくことにする。

これを初めて読んだのは小学5年の頃。本好きな子供がたどりがちな道を順調に進み、図書館で読み漁るうちに江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ、ドイルのシャーロック・ホームズ、ルブランのアルセーヌ・ルパンなどにはまり、ミステリが好きな少年に育っていたころだった。ジュブナイル(児童)向けにリライトされた「アクロイド殺害事件」(ハヤカワでは作名が「アクロイド殺し」で、こちらのタイトルの方が有名)を図書館で借りて読んだのだが、そのラストの真相に衝撃を受けまくって、これ以降に読むミステリがすべて色褪せて見え、本作以上のトリックにはもう一生出会えないだろうと落胆して、ミステリが読めなくなってしまった。
そのあと、今にして思えばレンズマンシリーズの外伝である「三惑星連合軍」に出会い、SF小説の道をまっしぐらに進むことになったのだが、本作に出会っていなければSFには縁がなく、ミステリ好きな大人になっていたかもしれない。

まあ、これほどの名作に出会わないまま成長するのはほぼ不可能なので、いずれどこかで出会ってミステリに挫折し、SF好きになっていたと思うが、それくらいの破壊力を持つ作品ということである。

アクロイド殺害事件 (創元推理文庫)

アクロイド殺害事件 (創元推理文庫)