観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊(1995)(2.0は2008)

説明の必要もない、日本アニメ屈指の傑作。だいぶ前から何回も見ているが、たまたまテレビでCGを中心にリニューアルされた「2.0」を見たので懐かしく記念書き込み

そう遠くない近未来。科学の発達により、サイボーグ技術が進化発展し、脳さえあれば他の部位はすべて義体と呼ばれる人工物で補えるようになり、生身の体以上の力やスピードを発揮することができるようになっていた。
また、電脳と呼ばれるネットワーク技術も発展しており、自分の精神をネットにダイブさせることで、他のネットワークや人の体さえもハックできる技術が確立していた。

日本の公安9課に所属している草薙素子は、プログラマー亡命事件にかかわる外交官の暗殺任務を遂行したが、後日、外務大臣の通訳が電脳をハッキングされる事件が発生、これを凄腕のハッカー人形使い」の仕業であると推測した公安9課は調査を進める。

その中で人形使い接触した素子と同僚のバトーは、「人形使い」から、自身がネットの海で自然発生的に生まれた人工生命体であり、ひとつの生命体として日本への亡命を求めていることを告げられるのであった・・・

この話のすごさはいろんな人から数多語られていることでもあるし、ジェームズ・キャメロンの「アバター」やウォシャウスキー兄弟(姉妹か・・・)の「マトリックス」などは公然と影響を受けたと監督自身が語っている。
今さら僕などが語ることもないので、いつものように個人的に好きなところだけ触れる。

まず、当たり前のことながら義体の技術がすごいのだが、それをオープニングシーンですべてわからせるところがカッコよすぎて泣ける。
素子の脳が頭蓋骨状の殻で覆われ、神経が通り骨格が形成され、ガワがオートメーションで完成していく様が、荘厳なオープニング曲と相まって、なにやら神性すら感じてしまう。
このオープニング曲もよい。ブルガリア民謡か何かと思っていたが、よくよく聞くと日本語であり、古語の言い回しが用いられていて、とにかくかっこいい。川井憲次は「機動警察パトレイバー 劇場版」で楽曲の良さに感銘を受けてサントラを聞いていたが、この映画の音楽も素晴らしい。
この世界では、人間の体は物理的な要素で構成されているが、その中には「ゴースト」と呼ばれる魂のような実体はないが必ず存在するものがあり、ゴーストによって人格が形成されている、と解釈されている。
ゴーストは曖昧模糊なものではなく、測定可能なものであり機械的に検知することができるし、ゴーストハックと呼ばれる電脳を介した乗っ取りすら行われている。
これだけ即物的な物質文明が発展していながら、肝心なのはゴーストであるという逆説的なところが非常に日本的でワビサビが効いていてよい。これが理解できると、おのずからタイトルの「GHOST IN THE SHELL」が、オープニングに出てきた、素子の脳を包む殻と、その中に潜むゴーストを想起させるのである。かっこよい。しびれる。
ネット上の人工生命、という考え方はだいぶ昔からあるもので、その昔まだMS-DOSすらなくて、BASICが幅を利かせていた時代にあったブラックジョーク、「すべてのコンピュータをネットワークで接続して、人がコンピュータに『神はいるか?』と尋ねたら『いる』と。『どこに?』と聞いたら、『ここにいる(自分が神だ)』と答えた」みたいなところからずっと語られている概念だが、その人工生命体がネットワークを漂いながら、企業や人の電脳をハッキングして、自分の意志であれこれやらかし、最後には主人公と融合してネットの海に再び旅立つ(ネタバレなので白フォント)というのはなかなかない設定だと思う。
あと、ベタではあるが、首の後ろに接続端子を差し込む穴が外科的手術で作られていて(素子は全身義体なので始めからある)、そこに有線ケーブルを差し込んでネットにダイブするという描写は直接的でかっこいい。まあ、WIFIBluetoothが一般的になった今ではだいぶ古い描写になってしまったが、当時はまだまだインターネットと言えばADSLであり、電話線であったのだから、当然と言えば当然の話である。

本作は漫画原作で、漫画も読んでいるがやはり映像作品がすばらしい。
本映画の続編として「イノセンス」、およびテレビ版の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(続編のS.A.C.2nd GIGs、およびS.A.C. SOLID STATE CITY)がある。いずれ取り上げたい。

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0 [Blu-ray]

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0 [Blu-ray]

  • 発売日: 2008/12/19
  • メディア: Blu-ray
 

 

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (セル版) (映像特典付)

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (セル版) (映像特典付)

  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: Prime Video