キルリアンの戦士<クラスター・サーガ①> ピアズ・アンソニイ 1977

 「魔法の国ザンス」シリーズで有名なピアズ・アンソニイのSFシリーズ。全三部作の第1巻。

時は24世紀。天の川銀河ソル星圏に、中心部のナイフ星圏からオーラ転移による使者が訪れる。アンドロメダ銀河の星圏が、天の川銀河のエネルギーを全て自分たちの文明を維持するために搾取しようとしている。そのためにはこのオーラ転移技術を他の星々へ広め、各星圏で連合を結成するという・・・

オーラ転移とは、非常に多くのエネルギーを使い、コストが高すぎるため多用され得ない物質転送とは違い、キルリアンオーラと呼ばれる精神だけを、宿主と呼ばれる別の知性体に移すことをいうが、転移した瞬間から著しくオーラエネルギーが消耗し、オーラがなくなった瞬間宿主へ取り込まれてしまうため、通常よりも強いオーラが必要とされる。

そこでソル星圏で選ばれた伝令が、天の川最高のオーラ高度を持つ、さいはて星の原始人フリント。彼は通常の200倍のオーラを生まれつきもっていたのだった。フリントのオーラ転移による生還旅行が始まった・・・。

人間型奴隷を使役する昆虫型知性体が支配するカノープス星圏、衝撃種、波動種、擦音種の三つの性をもち、水中で生活する知性体のスピカ星圏、涙の滴のような体型に車輪を持つポラリス星圏、そして超文明を誇ったとされる古代種の調査のためヒアデス星団へ・・・しかし、アンドロメダからは彼を阻止するべく同等の高いオーラを持つ暗殺者が送り込まれていた・・・。

ぶっとんだ知性体オンパレードの本作だが、一貫して「知性体の共通かつ最重要の関心は交配である」という考えから、各知性体のセックスと受胎を、かなりむりやりに描写しているのがかなりすごい。

また、この世界ではタロー教と呼ばれるソル星圏から広まった宗教が一般的に広まっており、タローカードという絵の描いてある札によって、投影と呼ばれるカウンセリングや精神分析、占いまでを行っているのだが、いうまでもなくタロー=タロット。

また、敵側のアンドロメダ銀河にいる知性体の名称を「*」「/」「|」などで表記していて、「縦棒人」「斜線人」などと読ませたりする。訳者も悩んだことであろう。

最近のSFが異星人や異世界を書く場合、そのほとんどが異文化による相互理解の困難さをテーマに掲げる場合が多いが、本作では、そういう細かいことは抜きにして、とりあえず冒険させちまえ、という意図がありありで、理屈抜きでかなり楽しめる作品。

最終的なオチ、そしてエピローグから、思い切り続編への伏線を張られており、続編へのきたいが膨らむ。