勇者ヨシヒコと魔王の城(2011)

 最近八面六臂の活躍を見せる福田雄一監督の、低予算な冒険活劇ドラマ。

お人好しでクソ真面目で頑なで融通の利かない、カポイ村の青年、ヨシヒコ。彼はいざないの剣を抜いたことで、ひょんなことから世界を救う勇者となり、旅に出る。
そこで剛剣の使い手・ダンジョー、魔法使い・メレブ、ヨシヒコを親の敵と勘違いしていた若い娘・ムラサキとパーティーを組み、冒険に出たのであった・・・

初めて観た時の衝撃は忘れられない。ヨシヒコを演じる山田孝之をはじめ、福田組のそうそうたるメンバーと豪華なゲスト陣に比べ、セットや衣装がものすごくしょぼい。
どの村に行っても村人は同じ服を着て同じ家に住んでおり、たまに現れるモンスターはほぼドラクエに出てきたモンスターのもろパクリで(クレジットにスクエアエニックスが協力として出てくるのでお墨付きらしいが)、もれなく張りぼてでほとんど動かず、演者の自演によってかろうじて戦闘シーンが成り立っていたり、後半の強い敵になればなるほど紙芝居で済まされたりと斬新すぎる演出。
確かに低予算ということもあるのだろうが、その舵を振り切った感じがやたらと面白くて声を出して笑ってしまう。
また、ヨシヒコを演じる山田孝之は役を演じ分ける怪演俳優として有名だが、ヨシヒコは何も意識せずに素でやっている感がものすごく出ていて、それがまたツボにはまる。
そしてキーパーソンとなるのが実はヨシヒコではなく、魔法使いと名乗っておきながら役に立たない魔法ばかりを覚えるメレブ演じるムロツヨシ
彼は、話を転がしていく狂言回しの役割を担っており、いかにストーリーを面白い方に降っていくかという手腕が試されるところでその実力をいかんなく発揮している、という演出。もちろん福田雄一がすごいのである。ほんとこの人の作品はどれも面白いわ・・・
たまに思い出したようにドラクエのエピソードをまんまぶっこんでくるところも面白い。一列に並んで知らない人の家に入り、先頭のヨシヒコが引き出しを開けて中のものを盗んだり、ツボを一つずつ割っていったりという。実写で本物の人がそれをやるとかなりシュールなのだが、小道具がみなチープなので逆にゲームっぽく感じてしまうのも演出の妙であろうか。

そして佐藤二朗演じる「ホトケ」。空に現れ4人に啓示を授ける神的な存在なのだが、佐藤二朗のキャラまんまで、早口でカミまくりで愚痴と悪口ばかり言っているいい加減なホトケで、いつも4人に逆切れしながらかろうじて次の行動の指針をちょっとだけ与えて消えていくのが、佐藤の円熟した芸の見せどころとなっている。ヨシヒコはなぜかウルトラセブンが変身に使っているウルトラアイっぽい眼鏡をかけないとホトケが見えない。正直余計な設定だが、こういうギミックがあちこちにちりばめられていてクスっとさせられるのもこの話の魅力。
正直ストーリーがクライマックスに近づいても何が変わるわけでもなく、終盤はそれなりに盛り上がるような映像を見せてはくれるのだが、このドラマの本質は阿呆なヨシヒコがパーティーのメンバーとすれ違いトークするのを見て笑い楽しむところにあるので、ストーリーの大団円はあまりだれも望んでいない感じであり、最後まで観ても「なんだよもう旅が終わっちゃうのかよ」という残念感しか残らないくらい、永遠に続いてほしい旅であった。
この後「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」「勇者ヨシヒコと導かれし7人」とシーズンを重ねていくので、近いうちにこれらについても触れたい。

あ~、また見たくなってしまったなぁ。アマプラが見放題対象なうちに観ておくか・・・

第壱話カボイの村

第壱話カボイの村

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video