海外ブラックロード 危険度倍増版(2005 嵐よういち)

危険度の高い海外の町へバックパック旅行に行き、そこで見聞きしたことだけを書くというスタイルの旅行記的ノンフィクション。

ケニアのビーチ・モンバサでは路上で強盗に会い、リュックサックを奪われる際にウンコを漏らし、アメリカではビザがなくイミグレで捕まり刑務所へ入れられ、やばそうな男たちと同じ部屋にさせられ、中南米ではアジア人差別に会い、タクシーは降ろされホテルではチーノ(中国人)扱いで冷たくあしらわれ、ロンドンやニューヨークでは恐ろしげなゲイに執拗に付きまとわれる。
そもそもこの本の表紙の写真。眼光鋭く荒んだ黒人の若者たちが迫力満点すぎる・・・

この人、一体何が楽しくて世界を旅してまわっているのだろうか・・・

まあ、書いている内容が怖いことや危険なことばかりなのでそう見えてしまうだけで、実際は旅が好きなのだろうし、いろいろと楽しいことにもあっているからこそ、半ば職業的な旅人を続けていたのだと思われるが、それにしても恐ろしげなエピソードのオンパレード。
決して文章の表現や構成はうまいわけではなく、読みづらい点もあるのだが、それを帳消しにするのが、実際に自分で取材したことしか書いていないと思わせる臨場感。
逆にこれだけの迫力を伝聞や想像だけで書いていたらそれはそれですごいが、そうではなく実際に体験したことなんだなあと感じさせるイメージを沸かせてくれる。
そして、もちろんこれらの体験を自分では絶対にしたくないのだけど、それを創造の中で疑似体験したつもりになって、いっぱしの旅行者になった気分を味あわせてくれるのが心地よい。

海外旅行はリゾートばかりで、こういうストリートを目的に旅したことは一度もないのだけど、自由になる時間があったら、こんな危険なところはいかないにしろ、猥雑で人にあふれた異国の街の安宿に連泊しながらダラダラと時を過ごしてみたいと思ってしまうだけの魅力が本作にはある。

出版されたのは15年以上前なので、中に書かれているのはそのさらに数年前になる計算。だいぶ今現在とは様相を異にしていると思われるが、みんな安全で平準化したとはとても考えられないので、今でも刺激的な街たちなのだろうなぁ。

海外ブラックロード 危険度倍増版

海外ブラックロード 危険度倍増版