<物語>シリーズ(小説2006・西尾維新、アニメ2009)

 絶大な人気を誇る西尾維新・作の小説シリーズだが、最初に観たのはアニメから。
小説は30作近く出ていて、そのうちの3分の2くらいアニメ化しているのだろうか。

 小説もアニメも全部観たり読めたりしていないので、本当はここで語ってはいけない気もするのだが、かろうじてメインストーリーはどっちも追っかけているはずなので、簡単な感想だけ残させてもらう。

主人公の阿良々木暦(あららぎこよみ)は私立直江津高校3年生。中学の頃は成績優秀だったが、高校では落ちこぼれで友達もいなかったが、クラス委員長だった羽川翼が最初の友達となってくれたことで立ち直る。
彼の周りにいる女性たちは、様々な怪異(妖怪のような超自然的な存在と、その力による不可思議な出来事)にとらわれており、彼は彼女らを救うために奔走する。そして彼自身も、ある時期にかかわった「怪異の王」と呼ばれる伝説の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの眷属となることで吸血鬼化している。
ストーリー一編毎に一人の女性が取り上げられ、その女性がとらわれている怪異を阿良々木暦が解決するという展開が最初のシーズンのパターンとなっている。
のちの暦の彼女となる戦場ヶ原 ひたぎ(蟹の怪異)、委員長の羽川翼(猫の怪異)、道で会った迷っている小学生・八九寺 真宵(蝸牛の怪異)、後輩の陸上女子・神原駿河(かんばるするが)(猿の怪異)、妹の同級生で一時うちに遊びに来ていた千石撫子(蛇の怪異)、妹・阿良々木 火憐(蜂の怪異)、もう一人の妹・阿良々木 月火(不死鳥の怪異)、そして吸血鬼・キスショットが変化した忍野忍。しかしみんな名前が特徴的。よく考えたなぁ。

もともと阿良々木君は友達が一人もいなかったという設定なのだが、これらの女性たちと片っ端から仲良くなり、お世話を焼き、逆にお世話を焼かれていくというハーレム状態を築き上げていく様は、世の中の引っ込み思案なオタクの方々に夢と希望を与えたことは想像に難くない。ほんと阿良々木君モテ過ぎだわ。
また、女性たちのタイプが美人、グラマー、陸上系女子、外国人、中学生、幼女、妹など各ジャンル取り揃えてお待ちしております状態で、よくもまあこんなにまんべんなく書き分けたなあと感心する。
アニメでは各話ごとにストーリーの中核となる女性の声優がそれぞれ異なる主題歌を歌うという趣向になっており、声優の方々の人気も相まって物語に花を添えていた。
また、非常に長い話なだけに、最初の頃の設定や話の結末が、あとのシーズンになって話の核として生きてくることが多く、その話の作り方がとても見事で感心する。
話の時系列が敢えてバラバラなのもよく効いている。最初は阿良々木君がキスショットと関わることになって、羽川さんとも仲良くなりつつ吸血鬼になるところから始まっているのだが、作品的にはそれで吸血鬼の力を得てだいぶ強くなっている阿良々木君が怪異と戦う話が一番最初のエピソードとなっていて、導入としてはぼんやりとした怪異の話を追っかけるよりも鮮烈で印象的だった。
最初のシーズンではそれぞれの女性の紹介がストーリーのメインだったところもあるが、あとのシーズンでは新たな登場人物を織り交ぜ、独立したストーリーがちりばめられながらも、全体を通した大きなストーリーのうねりが徐々に姿を現し始め、阿良々木君たちがそれと相対していく壮大な話に広がっていく。
その大きな話の中でも各メンバーにちゃんと見せ場があり、それぞれ活躍しているのがまた西尾維新の筆致が冴え渡っているところ。やはり売れているには理由があるのだなぁ。

小説では語り部がほぼほぼ阿良々木君なので、アニメ版も必然的にその声優であるところの神谷浩史の語りが全体の9割を占めることになるのだが、この作品の好演が現在の人気の一助となっているのは間違いないだろう。神谷浩史と言ったらイコール阿良々木君だもの。

また、アニメは制作がシャフト、監督が新房昭之で、抽象的な街や人の描き方、活字そのものを記号的に使った演出が特徴的で、正直それが強すぎてタルい個所もあるのだが、良くも悪くもこの作品を唯一無二のものたらしめている。この監督を最初に知ったのは「魔法少女まどか☆マギカ」で、物語シリーズのアニメはそのあとに追っかけ始めたので、ルーツ的なものがたどれて嬉しかったのを覚えている。
まだ「傷物語」(一番最初のキスショットとのエピソード)の劇場版は見ていないし、小説版も何作か読んでいない。いずれ観よう。

化物語 上

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