観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

トゥモロー・ウォー(2021)

 AMAZONオリジナルで現在配信されている映画。と言いつつ元々はパラマウント配給で一般公開される予定だったが、コロナで実現せず、アマゾンが放映権を買い取ったようだ。今プライムビデオを見ようとするとやたらとCMを流してくるので観てみた。以下ネタバレ注意。

2051年からやってきた未来の軍隊。彼らはタイムトラベル技術を開発し、30年後の未来から、未知の生命体たちの攻撃によって、30年後に人類が滅亡しかけていることを告げる。
彼らの技術により、30年後の未来との行き来が可能となったことから、未来の人類を救うため、現代の地球で徴兵が行われ、未来へ送り込まれていったが、その多くが還らぬ人となっていった。
高校の教師であるダン・フォレスターも徴兵された一人。一時は妻の願いで徴兵を逃れようと画策するが、愛する妻と娘のため、戦地に赴くことを決める。
腕にタイムトラベルを可能とするリングを装着させられ、ろくな訓練もないままワームホールにより未来の戦地へ送り込まれたダンは、未来の司令官からミッションを受けるのだった。
敵である「ホワイトスパイク」は巨大な爬虫類的なエイリアンで、素早い動きで猿のように立体的に動きつつ、尻尾から銃弾のようなものを飛ばして攻撃することができ、鋭い牙で人間を食らう。
多くの犠牲を出しながら逃げのびたダンと数人の仲間。野戦病院で治療を受けたダンの前に現れたのは、同じ姓を持つ若い女性の司令官だった・・・

映像はとにかくすごい。ホワイトスパイクは俊敏で狂暴、狡猾で非常に強く、人類の無力感がよく表されている。
戦闘シーンは大迫力で、手に汗握るアクションの連続。そのためだけに本作を見るのは十分アリだと思う。
ただ、脚本が・・・こういう映画って、脚本さえしっかりしていれば超大作と称えられるだけのポテンシャルを持っているのに、特にハリウッドの映画に顕著にみられる特徴だが、なんでこう脚本がグダグダなのだろう?
特にタイムトラベル系のSFは、タイムパラドックスを解決するための理屈や考察が不可欠なのだが、本作は最初からそう言う細かいこと突き詰めるのを考えていないようで矛盾だらけもいいところである。
過去に助けを呼びにタイムトラベルした時点で未来は大きく変わってしまうはずだし、それが目的で過去へ飛んでいるはずなのだが、なぜか未来は変わらず、ただの戦力供給元としてしか機能していない。
徴兵された人たちはろくな訓練も受けず、いきなり戦地に放り出され、「座標が狂った!?」などという説明的な司令部の無線通信と共に、本来は地上2~3mに飛ばされる予定だったのがビル上空に送り出され、たまたまプールに着水した運のいい人たち以外はみなぺしゃんこになって最初から死んでしまうというお粗末さ。
しかも到着早々「そこは絨毯爆撃される予定だから逃げろ」というひどい指示。司令部の無能さがあまりにもあんまりだ。
あまりその筋には詳しくないのでわからないのだが、昔プレステでやった「地球防衛軍」を思い出した。無茶な指令を出され、限られた貧弱な武器で、強大な昆虫モンスターと戦うアレである。あのゲームの世界観を映画にしたかったのだとやっと合点がいった。ゲームとして観るなら納得できる。あまり準備が整いすぎているとプレイが面白くないからね。なあるほど。
やたらとアンプルや薬品で解決しようとするのもバイオハザードっぽい。いろいろ盛り込んでるなぁ。
最後のオチも相当ひどい。ネタバレと言いつつ最後の大オチなので書くのを控えるが、人類滅亡の危機で、世界中の政府や研究機関が対策を練っているはずなのにこのオチに気がつかず、主人公の奥さんの思い付きと、オタク高校生の地学知識で解決してしまうというお手軽さが逆にウケた。
また、アマゾンのレビューで皆さんが仰っている韓国ゴリ押しについては確かに気になったが、これもどなたかが指摘されていた、これからプライムビデオを韓国で拡販していくアマゾンの意思であろう。これはしょうがないやね。
そして、他のところでも書いたが、アメリカ人ってほんとに特攻というか自己犠牲的なのが好きだなぁ。愛国心の発露であろうか。なにかそこにカタルシスを得ている感が強く表れている。日本だと問題になりそう。ポリコレについては非常にデリケートなのに、こういうことには大味なのも特徴的だなあと思う。

トゥモロー・ウォー

トゥモロー・ウォー

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