「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 (2018 武田友紀)

 HSPについて日本人が書いた本。

もともとは「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」というエレイン・N.アーロンの本で取り上げられたHSPという概念が元ネタ。HSPとは、生来の性質として感受性が強く敏感な気質を持っている人という意味で、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」から来ている。

HSPが話題になった時に、まさに自分のことじゃないか、と我が意を得た人は多くいると思うが、僕もその一人。子供のころからどうして自分がこんなに細かいことが気になったり気にしたりし過ぎて困ったり疲れてしまうのか、嫌で仕方がないながらもどうしてやめられないのか不思議だったのだが、こうやって言語化してもらうと納得感が増す。

この本ではHSPに該当する人を「繊細さん」という柔らかい言い方に置き換えている。HSPという言い方だとまるで病気のように聞こえてしまうが、この性質は病気ではなく、生来の性格や性質のようなものであり、むしろ活用すればより人生が豊かになる、と前向きにとらえている。
この本の中で、12個以上当てはまるとあなたも繊細さんかも、という診断テスト的な項目が出てくるのだが、それより全然多い数が当てはまってしまい我ながら笑った・・・

一口にHSPと言っても、どんなものに敏感になってしまうかは人によってさまざまで、人の大声や悪意のある発言にビクビクしてしまう人もいれば、細かいことが気になりすぎて仕事が早く進められない、匂いが気になったり音が気になるなど、五感的な感覚の敏感さもあればメンタルの敏感さもあって千差万別。
そのため、同じHSPというくくり方をするのはむしろ難しいのではないかとすら思われる。
もちろんこの本はレッテル張りを目的としているのではなく、そうした敏感過ぎて日常生活で困っている人たちに対して、どのようにそれを受け止めてさらに受け流すか、という処方箋のようなハウツーを伝える方が主目的である。

ただ、こちらのハウツーはあまりピンとこなかった。例えば、人が機嫌が悪いのを、自分に何か落ち度があるからだと思ってビクビクしてしまう人に対して、実はあなたのことで機嫌が悪くなったのではないかもしれないのだから、聞き流してしまって大丈夫、というようなことを言っているのだが、そもそも自分のことで機嫌を悪くしていると確信する出来事があり、それがわかっているから相手からの評価が怖かったり相手に申し訳なくなってしまったりしてビクビクしてしまうのであって、そういう漠然としたことじゃないんだよな、とか。もちろん全員が納得するような内容にはそもそもなり得ないのだが、ちょっと期待してしまった分がそのまま期待外れだった感じ。

どちらかというと、繊細さんと非・繊細さんの感じ方の違いが非常にわかりやすくて「なるほど!」とポンと手を打ちたくなった。繊細さんは隅々の細かいところにまで目を行き届かせるし、むしろそうしないと気持ちが悪くて、ほぼ本能的・無意識にそれをやっているのだが、非・繊細さんはおおざっぱに要所要所しかチェックしないので、そもそも気になる箇所の絶対量が少ないのである。そう書くと非・繊細さんが鈍感なだけなように聞こえてしまうのだが、そうではなく、この刺激や情報の多い世の中で日常生活を送るためには、それくらいのメッシュの粗さでないとヤラレてしまうため、むしろちょうどいい。繊細さんの網目の細かさだと、何でもかんでも拾いすぎてしまってヤラレてしまうわけである。

もちろん繊細さんであるが故のメリットも指摘している。人に対して優しく、話を聞く力に長けており、相手の気持ちになって考えることができる。様々な芸術、味や香りをより深く楽しむことができる、など。
これは著者自身が繊細さんであり、それを生かして繊細さん専門のカウンセラーをやっているからこその提言であろう。
僕自身はメンタル系の繊細さんであり、感覚系は繊細どころか鈍感もいいところなので、レストランでコース料理を食べるよりはラーメン二郎で化調まみれのキツいやつをススる方が好きであるが、言いたいことはわかる。
僕自身、この性質で得してきたこともいっぱいあるのだ。もちろんもう変えられない性質なわけだから、末永くうまく付き合っていきたいものである。改めてそう思わせてくれた一冊だった。