観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

転生したらスライムだった件(アニメ 2018)

本作は元々小説投稿サイト「小説家になろう!」で連載されていたが、その後WEB版をプロットとした商業版小説が出版され、コミック化、アニメ化など複数のメディアで展開されている作品。
ただ、小説も漫画も読んだことがないので、最近見終わったアニメ版をベースに以下ネタバレ注意。

37歳の会社員・三上悟は平凡なサラリーマン生活を送っていたが、ある日会社の後輩をかばって通り魔に刺され、死んでしまう。
すると、異世界の洞窟でスライムとしてよみがえったのだった・・・

普通、スライムと聞くとロールプレイングゲームの最弱モンスターという印象だが、本作では悟が転生したスライムが、異質な物質を吸収したり敵と戦い、様々なスキルを身に着けていくことで、だんだん強くなっていく。
洞窟の中で、封印されていた暴風竜・ヴェルドラと知り合い、友達になったところで、お互いに名前を付けあうことになった。ヴェルドラは狂暴で世界を圧倒しまくった強大な竜だが、根は素直で寂しがりだったので、数百年ぶりに現れた会話できる相手ができて喜んだためである。スライムはリムルと名付けられ、ヴェルドラとリムルは同じ姓・テンペストを名乗ることで契りを交わした。
この世界では名前が付けられると、名付け親から魔素というエネルギーを分け与えられてより強大になる。リムルも名前を付けられたことで強化された。
リムルの固有スキル・「捕食者」で封印ごとヴェルドラを自分の仮想空間に取り込み、ヴェルドラは中から、リムルは外から封印を解析して解除することにして、リムルは洞窟を出た。
そこはジュラの大森林と呼ばれる地帯で、魔物が生息する地域だった。リムルはそこでゴブリンの一族と出会い、乞われて盟主となる。
その後も様々な魔物と出会い、仲間に加え、周りの国からも無視できない規模の集団へ成長していき、ジュラ=テンペスト連邦国を樹立する。
そのあと、世に10人いるという魔王たちと知り合いになったり、目覚めた災厄クラスの魔物と戦ったり、隣国に狙われて戦争になったり、ついにはリムルも魔王になったりするのだった・・・

とにかくリムルの「捕食者」というスキルが強すぎる。なんでも吸収して自分の能力にしてしまうわけで、どうしてこのスキルがリムルに備わっているのか、という理屈が欲しいところなのだが、まあそういう説明はエヴァンゲリオン以降、野暮ということになっているので致し方ない。
そして捕食者以上にチートなのが「大賢者(エイチアルモノ)」というスキル。最初はよくあるRPGの「レベルが上がりました」的な声(世界の言葉)の担当というだけだと思っていたのだが、次第にこの声がどんなことでも演算して解を出してくれて、戦闘まで代わりにやってくれるという便利さ。
平坦な機械的発声なのだが、だんだん自我が感じられるような応答になっていき、魔王覚醒時には「智慧之王(ラファエル)」にまで進化してしまうのがよくできている。というかリムルの危機脱出はほぼほぼこの大賢者に頼りっきりであり、これがなかったら何度も詰んでいる。こいつが反逆したらどうなるんだろう?この先であるのそういう話?

また、元人間の転生者で現スライムという状態が象徴的なのは、魔王に進化するために1万人の人間を殺さなければならないという状況で、仲間を生き返らせるためとはいえ躊躇なく敵対していた軍隊を全滅させたところ。普通の物語であれば元人間としての葛藤を描きたくなるところなのだが、そこをぐっとこらえているのかいないのか、ほぼ語られることなくあっさりと殲滅しているところが新しいと思った。

仲間たちがリムルに反目することはなく、あくまでもどこまでも従順。ここも、通常であれば主に反発する部下や、ライバル視してくる別の国の盟主などが出てくるのがセオリーだが、それを敢えて触れないところに好感が持てる。
そして名付けシステムが非常によくできている。名のない魔物に名前を付けると、名前を付けた方の魔力が付けられた方に移動し進化するという仕組みがよく考えられている。これがあるとストーリーが大きく膨らむし、強い動機付けにもつながってわかりやすい。

小説版はずっと先を行っているようだが、アニメを待つか、小説を読んでしまうか、う~ん悩ましい。