シドニアの騎士 あいつむぐほし(2021)

いつの間にかアマプラに来ていたので視聴。
もともとはテレビアニメから見始め、そのあと完結したコミックも読んだ。本作はこれらのストーリーを元に前・後編で制作された劇場版の後編に当たる。
新しいエピソードやカットはあるものの、基本的なストーリーはコミックやアニメの通りなので、前編は見なかったのだが、後編はアニメで届かなかったコミックのラストにまでストーリーが進んでいるので興味深く観た。

未知の生命体ガウナに地球を滅ぼされた人類は、人類という種をつなぐべく、巨大宇宙船で植民可能な星を探して旅だって行った。シドニアはそのうちの一つであり、50万人規模の乗員を可能とし、砲身含め30km近い大きさの世代宇宙船で、1000年にもわたってガウナの追っ手から逃げつつ新天地を探す旅をしている。
シドニアでは人類をより少ないエネルギーで生存させるための遺伝子改造を積極的に行っており、人々は光合成によってエネルギーを得ることができる。
しかし、主人公:谷風 長道(たにかぜ ながて)は船の奥底にある、今は使われていない古い居住区で祖父と二人きりでひっそり暮らしており、光合成のできない旧来の人間として育った。
祖父がなくなり、遺言に従って表の世界に出た長道は、最初はシドニアの住人達から野蛮人的な扱いをうけるが、祖父に仕込まれた、ガウナに対抗するロボット型兵器・衛人(もりと)の操縦の際を見込まれてパイロットになり、シドニアを守ることになった・・・

人づてにはこの作品の話を聞いていたのだが、独特且つハードなSF設定がアツい。世代宇宙船というだけでも心にグッとくるものがあるのに、アツアツポイントが目白押しである。
戦っている奇居子(ガウナ)という対話が通じない宇宙生命体は、あらゆる通常兵器が効かないのに、カビと呼ばれる特殊物体でだけとどめを刺すことができる。
光合成できる人類というのもすごいが、パイロットには普通にクローンで量産された人がまるで姉妹のようにキャッキャしながら闊歩している。
成人になるまで男女どちらかの性の選択を先延ばしにできる人もいる。
設備や兵器の名前がみな古めかしい漢字で、日本人の祖先の一団が逃げ生き延びたことを想起させるネーミングもよい。戦闘シーンではモニターに漢字ばかりが映し出される違和感が逆に心地よい。
衛人が遠くへ飛翔する際は「掌位」と呼ばれる形で複数の衛人が交差して手をつなぎ合体して飛ぶ。その様子が非常に美しく観ていてほれぼれする。
パイロットたちはスキンスーツと呼ばれる宇宙服を着るのだが、体から放出される水分を余すところなく再生利用するため、スーツを着ると自動的に尿管カテーテルが差し込まれる仕組みになっていて、皆スーツを着る時に「うひゃっ!」という顔をするあたりがリアル。

本作はアニメでは初めて漫画の完結までを取り扱っているため、映像的にはこれで最後ということになるのだと思うが、漫画と全く同じではつまらないとばかりに、いくつかの点で敢えて変更を試みていると思われる。
最後の最後のネタをばらすことになるのでここでは触れないが、それらも話をコンパクトにまとめてカタルシスを得るためにはとても役立っており、納得のオリジナル展開だった。
テレビアニメが最初に始まった時は、フルCGが非常にぎこちなくて、操り人形化というほどのカクカクぶりだったが、本作ではとても滑らかに自然な動きとなっていて、とても楽しめた。