ホドロフスキーのDUNE(2013)

以前ここで取り上げた「デューン砂の惑星1984)」で触れた通り、ちょっと前から観てみたいコンテンツだった。劇場版「DUNE/デューン 砂の惑星(2021)」に関連してということだろうが、アマプラで見られるようになっていたので早速視聴。

アレハンドロ・ホドロフスキーはチリ出身の映画監督。「エル・トポ」や「ホーリー・マウンテン」がカルト映画として人気を博した。
1975年から、SF小説の対策、フランク・ハーバート砂の惑星」の映画化に着手する。
デザインにH・R・ギーガー、音楽にピンクフロイドやマグマ、ハルコンネン男爵役をオーソン・ウェルズ、皇帝役にサルバドール・ダリなど、目を剥くような壮大且つ驚愕のキャスティングを行い、全カットの絵コンテも描き切ったが、配給元が決まらず、映画化は断念となった。
本作はその立志から挫折までの過程をホドロフスキー本人へのインタビューを中心に、関係者のコメントや解説などを交えてストーリー仕立てで見せるドキュメンタリーである。

結局のところは映画化を挫折したという話なのだが、デイヴィッド・リンチの洗練された美しい映画を元にして比較してしまうので、どうしても珍妙というか奇抜というか、奇をてらったものであるように見えてしまう。
作中で披露されるデザインを見ると、衣装や装飾がなんともカラフルでサイケデリック。サーカスのピエロのような印象で、あまり威厳が感じられない。
宇宙空間の描き方などは、ひょっとしたらリンチよりかっこいいかもしれない。こだわり抜いたカットの連続で、相当お金がかかりそうだが、映像化できたらすごい映画になっていたことだろう。

そして、映画というのは本当にお金も人手も片っ端から食ってしまう媒体なのだなぁと改めて感じさせられる。
いつもホドロフスキーたちは人材と資金の枯渇に悩まされており、最終的には資金繰りの目途が立たずに断念することになる。
また、この当時の映画業界は映画監督の発言権が非常に低く、映画会社がいいよう采配していたことが見て取れる。
まあどの業界でもお金を握っているところが強いのだろうけど、リンチも結局は映画会社に編集をズタボロにされて、映画としては失敗と自ら位置付けるほどの作品になってしまったわけである。
ホドロフスキーはリンチの映画を観て、失敗作でホッとしたと語っている。もちろんリンチの才能は疑いようもなく、制作会社のひどい編集のせいだというフォローはしっかりしていた。
どちらの作品も本来であれば10時間以上を費やすべき内容なのだが、リンチは切り刻まれ、ホドロフスキーは実現しなかった。やっぱりあの世界観を描くには、1本の映画では少なすぎるのだろう。今年封切られた最新作も前編で終わっていたし。

仮にもし、本作が制作に成功して封切られ、その代わりにリンチの映画ができない世界線になるとしたら、それはそれでやっぱり困るな。あくまでもリンチとの競作前提で、観てみたかったなぁ。