観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022)

アマプラで無料になったので観た。

ジャブローの激戦を経た後、地球連邦軍はジオンの地球本拠地であるオデッサを叩くための反攻を開始した。ホワイトベースは補給を受けるためにベルファストへ赴くが、そこで通称「帰らずの島」と呼ばれる無人島の残置諜者相当任務である。アムロたちはモビルスーツで島に乗り込み捜索に乗り出すが、そこで子供たちがいるのを見る。そして一機のザクと戦闘になり、ガンダムごと崖から落ちて気を失うアムロ
気がつくと半ば廃墟となった建物のベッドに寝かされ、傷の手当てがされていた。
ここには20人の子供たちと、元ジオン兵であるククルス・ドアンが助け合いながら生活していた・・・

おおよそはテレビシリーズ15話の有名な単独回のリメイクだが、細かい点ではだいぶ変わっているようだ。
元になっているのがアニメではなく安彦良和の漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」であるため、ジャブローに行った後にオデッサ作戦へ参加するという順番になっている。
そのため、まだ地球圏であるにもかかわらずスレッガー中尉がメンバーに加わっていてジムを操縦したりしている。

正直、元アニメの「ククルス・ドアンの島」はあまり好きではない。ストーリーの大筋とはほぼ関係のない話だし、ドアンが任務を放棄して子供たちと生活しているのは、なにか根本的なところから逃避しているように見えるから。
たった1話なので人物描写ができるわけでもなく、もやもやしたまま終わってしまったのだが、本作は2時間の映画だけあって、ドアンが当初は残置諜者としてこの島にきたものの、おそらくは子供たちと邂逅し変節を経て、任務を放棄するに至ったのであろう経緯の痕跡は見て取ることができるので、テレビ版よりは納得して観ることができた。

こちらのアムロはアニメ版よりもだいぶ子供っぽくてポーッっとしている。意図的に主人公ではなく脇役的な立ち回りの役目を与えられており、男の子は黙って頑張る、的な一面が出ていた。そしてガンダムに乗り込んでからの、兵士としてジオン兵に対する容赦のないところ。無理やりガンダムホワイトベースに乗せられた人間であるアムロが兵士として葛藤する部分がガンダムというストーリーの醍醐味の一つなので、ここに違和感を持つ人がいるのもよくわかるが、本作においては、個人的にはあってよかったシーンだと思う。

しかし何といっても本作の見どころはモビルスーツ戦であろう。40年たっているので当たり前ではあるが、むしろその割には抑え目というか、元作へのリスペクトを残しつつ聖地でスピード感のある描写がかっこよかった。
もうちょっと時間があれば、ジオン側のパイロットたちの事情や葛藤も描いてほしかった。そうしたらドアンとの関係性にもっと厚みができたのだが。

賛否あるようだが、これだけ巨大コンテンツになると仕方ない。元アニメが好きな人への特典映像的には十分楽しめた。