観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

そして生活は続く(2009 星野源)

2013年版の文庫版で読んだが、元は2009年。「よみがえる変態」と一緒に読んだ。
こちらが初のエッセイ集とのことで、またしても観る順番を間違えた。こっちから読むべきだったが、致し方なし。

日々の生活がとても苦手でつまらなくて、でもそれを面白がれたら楽しくなるのではという趣旨でエッセイが綴られているが、日常生活なんてそんなに客観的に面白いことが転がっていないことは読んでいる全員が常日頃から感じていることだろう。
それを見る角度や切り口で面白く料理していくわけだが、そこに「なんで自分はこんなことができないのだろう?」という、ともすると後ろ向きな自虐になりそうなエッセンスを加え、それを茶化して表現したりメリハリの利いたストーリーを描く技術力が加わることで読みやすい内容になっている。
つまり初エッセイと言いつつ才能の発露である。やっぱり星野源ってすごい。
個人的に、こういう感じの自分を茶化すことで日常会話や雑談を盛り上げるのが本当に苦手である。
そもそもおっさんは自慢話と説教と昔話が大好きで、スタート地点が対極にあるので道のりは遠い。
いい歳になった今現在でもそのような気の利いたことができないものか、試行錯誤な毎日なのだが、星野源には同じ匂いを感じて共感を覚える。
コンプレックスを持っていて、周りよりもうまくいかない挫折感を感じている、いわゆる陰キャな若者として、自分も世の中に埋没する一市民ではなく、特別な何者かになりたくて、いろいろ試したりやったりしたが、そううまくいくわけもなく、自分なりに折り合いをつけて社会人になっていったのを思い出した。
それに抗うことに成功し、今もなお抗い続ける男。すばらごい。