観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

ペリフェラル ~接続された未来~(2022)

AMAZON ORIGINALの連続ドラマ。若い頃に読んでいたサイバーパンクのSF作家、ウイリアム・ギブスンが2014年と比較的最近に書いた短編が原作と聞いて興味が引かれ、観てみた。第一シーズンと思われる8話までを観終わったので書く。ネタバレあり。

今よりももう少し近未来、ネット接続や戦争に使われる技術など、様々なことが今よりも進歩している時代で、アパラチア山脈のふもとで冴えない人生を送っている若い女性フリンは、そのゲームの腕を買われて、兄・バートンからとある発売間瀬の製品のテストプレイを依頼される。それは完全なVRで行われるゲームで、まるで自分の体が別の現実の中に入ってしまったかのようなリアリティだった。
その世界でゲームをプレイしていると思っていたフリンは、ストーリー上トラブルに巻き込まれるも、無事に現実世界へ戻ってこれたことで、それが単なるゲームであると錯覚していた。しかし、ゲームの中の出来事はある意味で現実であり、フリンたちの世界に影響を及ぼし始めていく。
まず、謎の軍隊が闇に紛れてフリンの家を強襲する。しかしバートンとその友人たちは元海兵隊員で、手首に仲間と交信できるハプティック・ネットワークのインプラントを埋め込まれており、その後遺症で苦しみながらもバートンのバスキャビンに集い酒盛りをするのが日課になっており、すぐに戦闘態勢になり、隠してあった銃器をフル活用して返り討ちに成功する。
ゲーム内で情報収集するうちに、ゲームの世界は70年後の現実世界であり、量子トンネルで過去と未来をつなぎ、フリンがVRと思っていたのはペリフェラルと呼ばれるアンドロイドに過去の意識を投影している状態であることがわかる。未来世界ではとある理由で人口が激減しており、過去に干渉することでそれを回避しようともくろんでいたが、そのためにフリンたちの世界は滅ぼされようとしてた。
それに抗おうと、フリンとバートン、そしてバートンの戦友で、戦争で左手と両足を失ったコナーは、未来世界の協力者にペリフェラルを用意させて乗り込んでいく・・・

非常に刺激的な世界観とガジェットの数々で、さすがAMAZONが金をかけているだけあって精緻且つ大胆な映像に圧倒され、SFってこれじゃないとなぁと思わされる。
ストーリーもめまぐるしく進行し、映像をたっぷり見せたい場面以外はテンポよく進むので飽きさせない。
ペリフェラルの描写は特に面白いと思った。顔の表情をCG的に無機質に見せるのと同時に、役者が素体的に意識のないペリフェラルを無表情で演じているのも興味深かった。
バートンたちがインプラントされているデバイスもありそうでなかなかない。というか、この人たち退役しているはずなのに、なんで今でもその機能が使えているのだろうか。退役の時に切除されたり機能停止されたりするよね? 犯罪に使われたらどうするんだろう? 実際この話の中ではどこの誰ともつかない人をバンバン打ち殺してしまっているし・・・
登場人物たちの性格がどうも気が短く浅慮で、突発的・衝動的に行動する人ばかり。特に主人公のフリンと兄バートンは何かとぷんすか怒りまくっていて、もっと理性的に話し合えば様々なことが効率的かつ効果的に進むのに、お互いに衝動に任せて行動して阿呆な目に会う、の繰り返しなのがちょっと鼻につく。
「なんでお兄ちゃんはいつもそうなの!?」「そんなことはない俺はいつも話をよく聞いている」「嘘!お兄ちゃんはいつもそう!」「ちょっと待ってくれフリン俺の話を聞いてくれ」「もういい!私は〇〇する!」「おい待てフリン!クソッ」的な会話(実際にはこんな会話はないがイメージ的に)を何十回と繰り返しているイメージ。
他の登場人物も、突発的に人を殺しがちで、熟慮している風に見えないのが行き当たりばったりに見えてしまうことが何回かあった。
全員理性的な登場人物だと最短距離で結論にたどり着いてしまって話が膨らまずつまらなくなるのかもしれないので、テンポの良いストーリー展開とトレードオフなのかもしれない。その点では成功しているのかな。
当然のことながら続編がある前提で話は終わっており、未来から過去への一方的な介入に対してフリンたちが敢然と立ち向かおうとするその瞬間でシーズン1が終わったため、次シーズンでより一層暴れまわってくれることを期待したい。