観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1(佐々木良 2022)

何かで話題になっていたので気になっており、手に取った。

本作は万葉集の抜粋だが、ただ現代語訳を付けるだけではなく、今どきの若者がSNSで使う奈良弁で訳されているところがユニーク。
令和奈良弁の訳、原文、原文の解釈、そして誰から誰に対して歌われた歌かということが解説されている。
というのも作者によると万葉集はその多くが恋に関する歌であり、恋の歌は想い人に対して歌われるものであり、当時の文化の中心は奈良であったからとのこと。

実際訳文を見ると、だいぶ冒険してるねこりゃ、と思わざるを得ない今どきの言葉での意訳のオンパレードなのだが、本作は学術的でもなければ教科書的文献でもなく、万葉集は実はLOVEがメイン、ということを世に知らしめるための歌本なので、むしろこのくらいでよいということなのであろう。
今どきのおっさんとしては何を言っているんだかわからない表現もあるし、作者も10代20代ではないだろうから(調べたら今年40歳だった)、すでに古くなった言葉を使っている可能性もなくはないのだが、それでもこの大いなるチャレンジを評価したい。
これを観ると、万葉集はありがたい古典や崇高な思いを記した古文書などではなく、今の世で歌われているJ-POPと変わらない恋の歌であることがわかる。
また内容も、ただひたすら奥さんを恋しがっている出張中の男の歌や、不倫しまくっている二人のやりとり、熱烈ナンパしているのにつれなくフラレたりなど、思わずクスッとしてしまう共感しやすい内容ばかり。
もちろん作者がそういう歌を選んでいるのだと思うが、世界観をうまいこと表現しているなぁと感心した。
これをとっかかりとして、原文に挑戦!・・・と行きたいところだがまだ敷居が高いなぁ。でも興味はとても沸いたのでそれで許してほしい。