観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

三体 | Netflix(2024)

やっと観ることが叶ったNetflix版三体。全8話。

科学者たちの不可解な死や自殺が相次いで発生。
これらの関連を調べていた政府の調査員ダーシーは、これらに葉文潔という老齢の元科学者と、オックスフォード出身の仲間たち「オックスフォードファイブ」(オーギー・サラザール、ジャック・ルーニー、ジン・チュン、ソール・デュランド、ウィル・ダウニング)が関連していることを突き止める。
自殺した科学者のヴェラ・葉は葉文潔の娘であり、オックスフォードファイブはヴェラの生徒であった。ソールはヴェラの元で物理学者を続けていたが、行き詰まっており、学者をやめようと考えていた。
一方、葉文潔は若い頃、文化大革命で、大学教師であり物理学の師であった父親を粛清され、自身も山奥の奉仕活動に従事させられていたが、その学才を見込まれ、紅岸基地へ配属される。
そこでは宇宙人との交信を目的とした電波送信が行われており、その解析を任されたのであった。
一方、オーギーは目に映る謎のカウントダウンに悩まされる。謎の若い女性に「カウントダウンを止めたかったら仕事をストップしろ」と言われ、自身が立ち上げているナノ繊維の事業を停止させたところ、カウントダウンは止まった。
ジンは葉文潔から謎のゴーグルを譲り受け、かぶったところログインもなしに考えられないほど高度なVRゲームが始まる。事業が成功して大金持ちのジャックに打ち明け、このゲームを一緒に進めるが、レベルが上がったところでオフラインでの会合の通知が入る。
ウィルは学生のころからジンに片思いを続けているが、その気持ちはいまだに伝えていない。ジンが海軍の士官と付き合っているのを見守るだけであったが、そんな中ウィルはステージの進んだガンであることが判明する・・・

テンセント版では智子(ソフォン)計画が判明するまで30話かかったが、ネトフリ版ではさらにその先の面壁者(ウォールフェイサー)の話までを8話でまとめている。どういう離れ業を使ったのか前から気になっていたが、観てみてわかった。だいぶ改変しているな~。
テンセント版も原作そのままというわけではないが、大筋ではほぼ原作に忠実で、登場人物や主要なストーリーはほぼそのままなぞっている(文化大革命だけは詳細に触れられなかったようだが)。
ネトフリ版では主要なストーリーが全てイギリスに集約されており、登場人物たちは中国ではなくロンドンに在住している設定。
また、原作ではそれぞれのエピソードが多くの異なる登場人物によって綴られるのに対し、ネトフリ版ではほぼ「オックスフォードファイブ」がその役を担うことになる。
原作を知っていると「話を要約するためにこの人たちに役目を集約したんだな」と理解して観られるのだが、何も知らない人がこれを観ると、なんでこの5人にそんな世の中の大異変の関わりが集中しているのか意味が分からないだろう。
初見を最初から切り捨てているということでいいだろうか。思い切ったな~。
また、オーギーは中南米女性、ジンはアジア女性、ソールは黒人男性、ジャックとウィルが白人男性。ダーシーはアジア男性で、ジンの彼氏のラジはインド系男性。ポリコレ振り切ってるな~。今どきだねぇ。
ゲーム「三体」をプレイするためのゴーグルは遺跡から発掘された武具のようなたたずまいで、未来的でありながら同時に懐古的な風味もある。
ログインもいらずコード類もなく、充電や通信が行われる様子がないのにゲームはほぼ現実の超高度VRという潔さ。最初からこのゴーグルにも三体テクノロジーが使われている前提。
レーティングが16+だったが、「審判の日(ジャッジメント・デイ)」攻略は必然的にグロ映像になってしまうので仕方がないところ。テンセント版もえぐかったが、こちらはさらにキツくて、おっさんが観てもめまいがする。
葉文潔の人物像が、原作と比較するとだいぶ単純化されているところがちょっと気になるのだが、まあ仕方ないだろう。

観ていて改めて思ったのは、原作は確かに面白くて盛りだくさんなのだが、冗長な個所もいっぱいあって、読み進めるのが困難になるところもいっぱいある。それはテンセント版ドラマも同じ枷がはまっていて、見続けるのが辛くなるところが確かにあった。
ネトフリ版はそういっためんどくさいところを全て排するために、ストーリーの帳尻がギリギリ合う程度まで省略したり簡略化したりを極限まで追求することで、三体が持つエンターテイメント性を濃厚に凝縮したということだろう。
これはこれで一つの解釈であり、原作者とも綿密なミーティングを行ってこれに行きついたということなので、関係者が了承済みであればあとは面白ければよいのである。
続編制作が決定したようなので、続きがとても楽しみ。

 

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