「三体」の劉慈欣による13編の短編集。ネタバレ注意。
1.鯨歌 鯨を運び屋に使う。
2.地火 炭鉱から巨大エネルギーを取り出そうとする。
3.郷村教師 過疎の村で病気になった教師、教え子たちと、宇宙間戦争を行っている知的生命体の関わり。
4.繊維 細い糸で様々な多元宇宙からやってきた旅人たち。
5.メッセンジャー ヴァイオリンと時間旅行。
6.カオスの蝶 蝶の羽ばたきが大事を左右する。
7.詩雲 恐竜型侵略者・呑食帝国が中国の詩を解そうと試みる。
8.栄光と夢 国家間で争う代わりにオリンピックで決する。
9.円円のシャボン玉 シャボン玉で天災に立ち向かう。
10.二〇一八年四月一日 寿命の延長か、人工冬眠か。
11.月の光 未来の自分との電話。
12.人生 母親と胎児の対話。
13.円 始皇帝の三百万の兵で演算装置を作る。
もちろんのことながら「三体」を先に読み、あとで本作を読んだのだが、普通に読んでも各篇の切れ味が鋭く、単に面白いだけではない、ハッとさせられる何かがある。
いろいろな方が同様の指摘をされており、何番煎じかの感想になってしまうが、正直なところ「三体」は一発屋的なスマッシュヒットだろう、くらいに思っていたのが、本作で劉慈欣は地力がきちんとあるすごい作家だということを思い知らされた。
特に好きなのは「郷村教師」で、過疎の村のこじんまりしたエピソードが、一転して星間戦争とリンクして影響を及ぼすというスケールの大きさにワクワクした。もともとレンズマン的なものが好きなので、こういうのに弱いのである。
また、最後の「円」は「三体」で使われたエピソードの原型。これも別の意味でスケールがデカい。
最近あまりSF小説を読んでいないが、久々に読んだな~という気にさせられた。
他の短編集もKindleで購入済みなので、順次読んでいこうと思う。
