観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

デューン 砂漠の救世主(新訳版)上・下(1969 新訳2023 フランク・ハーバート)

小説「デューン 砂の惑星」(新訳版)の続編。Kindleで読んだ。ネタバレ注意。

ハルコンネン男爵、および皇帝との戦いに勝利したポール・アトレイデ。
彼は同時にベネ・ゲセリットが数多の世代を操作し作り上げた男性版ベネ・ゲセリットであるクイサッツ・ハデラックであり、惑星アラキスの砂の民フレーメンのリーダー活救世主ムアッディブでもあった。
ポールは、妹にして生まれながらのベネ・ゲセリットであるアリアや、スティルガーをはじめとするフレーメン達の助力の元、自らの力を使い聖戦(ジハード)を行って宇宙を平定し、自らが皇帝となって宇宙を治めた。
それから12年がたち、その地位は盤石であるかに見えたが、ポールの愛するフレーメンの妻・チェイニーとの間には子がなせずにいた。ポールは旧皇帝家・コリノ家が政略結婚のため送り込んだイルーラン妃のことは信用しておらず、その間には頑として子をなそうとしなかった。
そして、ポールやその周囲を陥れようと陰謀が渦巻いていた。
旧皇帝家であるコリノ家、操舵士が宇宙空間を跳躍する際に必要なメランジを欲する航宙ギルド、独自の科学力を持つトレイラクス、そして自分たちの思い通りにならなかったクイサッツ・ハデラックに憤るベネ・ゲセリット。
彼らはポールを皇帝の座から引きずり降ろさんと、それぞれがお互いを信用せず様子を伺いながらも共通の目的に対する一時的な同盟を結び、ポールの予知能力が届かない場所で会談し密約を交わした。
トレイラクスは、アトレイデ家とハルコンネン家・皇帝の戦いで命を落としたポールの友人であり有能忠実な部下、ダンカン・アイダホを死人蘇りの技術を用いた偶人(ゴーラ)として復活させ、同時に演算能力者(メンタート)の能力を与え、資格として送り込む。またそれとは別に、暗殺要員として踊面術士(フェイスダンサー)も送り込んだ。ベネ・ゲセリットの指示でイルーラン妃はチェイニーに対し密かに避妊薬を盛り続けていた。
ポールは予知の力の制御、それを使った帝国統治、周囲の人々の思惑など、様々なことに思い悩みしつつ相対するが、予知によって知った、チェイニーの妊娠とその直後の死、そして自分の運命に苦悩する。
送り込まれた偶人(ゴーラ)であるダンカン・アイダホにアリアは惹かれていく。
チェイニーは避妊薬が盛られていたことに気づき、それを遮断して双子を妊娠した。
用心のため、フレーメン達の元の住居、砂漠の奥にあるタブールの群居洞(シーチ)に潜み、出産の準備を行う。
ポールは送り込まれたフェイスダンサーを見破るが、裏切り者のフレーメンを捜索中に岩石昇華発破(ストーン・バーナー)の攻撃に遭い、それが発する放射線によって視力を失う。
フレーメンには「盲いた者は砂漠に送る」という掟があるが、ポールは予知の力でまるで視力があるかのようにふるまう。しかし、最後の時が近づいていた・・・

本作は以前から、他の「デューン」シリーズと比較するとあまり評価が高くない。「砂の惑星」でポールが活躍するシーズンと、ポールの二人の子供たちが活躍するシーズンの間にあたる話なので、必然的にポールが抱える苦悩や社会の矛盾、各勢力の欲望と権謀が渦巻く様など、地味なやり取りが延々と続くから、まあわからなくはない。
それにしても帝国にはこんな悪い大人たちしかいないのか、と改めて思わされる。
もうちょっと公共の福祉のために尽力してくれる勢がいてもいいと思うのだが、この世界ではそんなお人好しは存在せず、それぞれが自分や自分の所属する勢力のエゴのためだけに活動するので、必然的に殺伐とした雰囲気となり、より読みにくい話になっている。
ただ、前作で八面六臂の活躍を見せたスーパーヒーローが「いつまでも幸せに暮らしました」ではなく、自らの限界を知りつつさらに先を見据えて、思うようにならない敵や味方に相対し、愛する人を失う苦しみに耐えつつ、自分の子供たちや後世のために、歯を食いしばりながらなすべきことをなしている様子を見ていると、悲しくやるせないものの、不屈の闘志が感じられて個人的には好きである。
中学生の頃から旧訳版を何度も読み返しているが、かなり読みづらかった印象がある。新訳版でだいぶ読みやすく感じるが、文章が読みやすくなったのか、Kindleでフォントの大きさや背景色替え放題だから読みやすく感じるのか、自分でもよくわかっていない。我ながらいい加減だ・・・
このあとの「デューン 砂丘の子供たち」も新訳版を入手したので改めて読みたい。