観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

ホットスポット(2025)

2025年1月~3月に日テレで放映された、バカリズム脚本のドラマ。ネタバレ注意。

富士山のふもとの湖のほとりにある小さなビジネスホテル、「レイクホテル 浅ノ湖」で働くシングルマザーの清美は、仕事の帰りに自転車で夜道を急いでいたところ、落下物に躓きハンドルを取られる。
あわやトラックに惹かれそうになったところを、ホテルの同僚である50代男性の高橋さんが、不思議な力で自転車ごと抱きかかえて助けてくれた。
高橋さん曰く、「実は俺、宇宙人なんだよね・・・」。
宇宙人の力で清美を助けたのだという。そしてこのことは誰にも言わないようにと釘を刺される。
しかし、最近また会い始めた高校の部活友達の葉月と美波に黙っていることができず、高橋さんの話をしてしまう。
そして、高橋さんにも友達に話したことは早々にバレるのだった。
それ以来、清美とその友人、同僚たちに少しずつ高橋さんが宇宙人であることがバレて行き、その都度高橋さんにちょっとした助力を乞い、高橋さんはいやいやながら宇宙人の能力を使って解決していくのだった。

「宇宙人」と言っているが、実際は地球人とのハーフとのことで、見た目は人間そのもの。高橋さんのお父さんが宇宙人だがやっぱりただの人間。リトルグレイみたいなやつではない模様。あれは怖いので人間っぽくてよかった。
宇宙人の能力は、人間の持つ能力がさらに強くなるというもので、目にもとまらぬ速さで走れたり、すごいスピードと命中度で物を投げられたり、何メートルも高く跳躍できたり。テレパシーやサイコキネシスのような超能力系は使えない。
ただ、その能力を使用するとあっという間に体力を消耗する。その体力を回復させるには、「レイクホテル 浅ノ湖」の大浴場の温泉に浸かる必要があり、高橋はそのためにここで働いている。
また、頭脳系の力を発揮すると禿げる(と高橋は主張しているが、まわりは「素で禿げたんだろ」と思っている)。

最初は「宇宙人だ」と言い張っているただの人間の話かと思ったら、一応特撮っぽく速く走ったり高く跳んだりする様子が描かれているので、ほんとに宇宙人で、特殊能力はある設定。
今までの人生で誰にも話してこなかったはずなのに、たまたま助けた清美を含めてその周囲には割とあっさり「俺、宇宙人、なのね?」と話してしまうくだりが何度も出るのだが、最高に面白い。なんでそんなにユルユルなんだよ!
本当だったらもっとシリアスになってもいいネタなのだが、バカリズムの脚本に特徴的な、本筋からあえて目をそらし、日常のどうでもいい小さなことに固執して会話を続けていく面白さがカチッとはまり、高橋さんがないがしろにされればされるほど笑えるという必勝パターンとななっている。
清美・葉月・美波が定期的に喫茶店やファミレスで集まってワイワイ会話を楽しむことを「無尽」というらしい。山梨独自の文化で、そもそもはお金を持ち寄る金融制度だったのが、徐々にお金を積み立てて旅行に行ったり、単に飲み会をして楽しんだりする形にになっていったとのこと。
ただの食事会であるようにも見えるのだが、それぞれ仕事や家庭を持っている身からすると、定期的に複数の人間と集まって食事をする機会は意外とないし、頻繁に会ってもストレスを感じない間柄は、大人になってからだととても貴重だと思うので、気の置けない仲間とちょくちょく愚痴を言い合うストレス発散の場が風習的に設けられているのはうらやましいなぁと思った。
あと、物語後半になると宇宙人だけでなく他の異能持ちも現れる。
完全に「涼宮ハルヒの憂鬱」であり、敢えてやっている。最近「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」を見たばかりなので、涼宮ハルヒづいているなぁと思う。
それぞれの異能持ちも如何なくその力や優位性を発揮して、高橋さんの命に関わる「レイクホテル 浅ノ湖」存続の危機に立ち向かい、物語の大団円につながっていくとともに、高橋さんの特異性というかスペシャル感がどんどん薄くなる。
ただ、高橋さんの影が薄くなればなるほど、高橋さんに友達が増えて行って幸せそうになっていくのがとてもよい。
SF的な要素があるのでついついいろいろ突っ込みたくなるのだが(タイムリープの歴史改変とか)、そっちがメインではなく、シリアスがコミカルに侵食されていく様を愛でるドラマなので、それでよいのである。
バカリズム脚本のドラマはこれまで「住住」「架空OL日記」「ケンシロウによろしく」しか見たことがないのだが、名作と評判の高い「ブラッシュアップライフ」や「侵入者たちの晩餐」なども機会があれば観ていこうと思う。