だいぶ前にKindleでポチっていたが、やっと読み終えた。ネタバレ注意。
砂漠に消えて行った、皇帝にしてフレメンたちのムアッディブ=ポール・アトレイデ。
残された妹アリアが銀河帝国の摂政として取り仕切る。しかしポールの遺児であり後継者でもある双子のレトとガニーマは、アリアの中に不穏な存在を敏感に感じ取る。
その頃、惑星アラキスでは謎の説教師が辻説法を行い、人気を博していた。一説には彼は砂漠へ消えて行ったポールではないかと言われており、アリアは間近でその説法を聞くが、確証は得られない。
先代皇帝を輩出したコリノ家では、若き当主・ファラッディーンには告げず、その母であるウエンシシアが、サーベルタイガーを使ったアトレイデの双子の抹殺を計画し、秘密裏に刺客を送っていた。
アリアの夫であり、ゴーラであるダンカン・アイダホは、ポールの母であり遺児たちの祖母であるレディ・ジェシカを、コリノ家に向かわせる。ジェシカはファラッディーンにベネ・ゲセリットの修行を薦めるのだった。
アリアは生まれながらのベネ・ゲセリットとして過去の血統の全ての人格を身に宿しており、その中にはアトレイデ家の宿敵、ハルコンネン男爵も含まれていた。
心の中のハルコンネン男爵のささやきに次第に耳を貸すようになるアリア。その闇落ちはフレメンの禁忌中の禁忌であった。
夫であるダンカン・アイダホにさえその事実を隠していたが、ダンカンはとうに気づいており、妻の変化を悲しむ。
一方、双子たちは自分たちの命が狙われていること、そしてレトの過去の記憶から導き出された「黄金の道」を進むため、ガニーマにはレトが殺されたという暗示をかけ、レトは一人砂漠へ向かい、その身にあるものをまとい始める・・・
さまざまな大人たちの権謀が錯綜し翻弄されそうになるレトとガニーマだが、この二人はクイサッツ・ハデラックの子供たちであり、その能力も運命も並外れている。
レトが自らに課した危険な精神修行により、過去の血筋の全ての人格をコントロールできるようになり、肉体的な変化も自分のものとして、超人と化すあたりがちょっとだけヒーローものっぽくてほっこりする。
ガニーマも内人格のコントロールに成功し、レトが生きていることを思い出す。
それにしても大人たちはレトとガニーマのことを本当に手駒くらいにしか思っていないように見える。冷たすぎるぜあんたら。
特に肉親であるアリアとジェシカはもうちょっと愛情をもって接してもいいだろうに、二人とも双子の超人っぷりにビビってばかりである。
特にアリアは直接的な叔母にあたるのに、闇落ちして完全に敵になってしまう。そんな~。ただアトレイデス王朝は強力になりすぎて、身内にしか強大な敵が設定できなかった感は否めず、致し方ないところでもある。
この話はレトが伝説の神皇帝へと変貌していく始まりの物語なので、周りで自己都合の企みを巡らせていた大人たちをレトが圧倒し、基盤が揺らいでいたアトレイデスの統治が引き締められる様が描かれている。
特にレトの変貌が激しすぎて、まだティーンにもなっていない子供ではあるものの、様々な血統内の人格によって老練な知恵と思考を既に身に着けているというところが、すごいけどちょっとかわいそうになる。
それがこのデューンという叙事詩的なストーリーが伝説化して見える所以でもある。
最初にこの本を読んだのは中学生の頃なので、ちょうど40年前くらい。
何度か読み返したが、少なくとも30年はご無沙汰だった。
改めて新訳版で読んでみると、そんな話あったっけ?というエピソードだらけで、全然覚えていなかったことを再確認したが、一番印象的な、レトが〇〇を身にまとっていくシーンは鮮明に覚えており、新訳版でもそのワクワクを楽しむことができた。
きちんとアクションSFの側面も描いているのがデューンの楽しいところだ。
続編の「砂漠の神皇帝」もきっと新訳版が出るのだろうな。早く読みたいなぁ。

