新井素子の「結婚物語」から続くシリーズ。出ているのを知らずにいたのだが、なんとなくネット検索していたらたまたま目に留まり、これは読まねばなるまいと思い手に取った。
「結婚物語」から早25年。陽子さんと正彦さんは夫婦で元気に暮らしている。
振り返ってみればこの25年。波乱万丈ではないもののそれなりにいろいろなことがあった。
陽子さんの体調不良を発端に、妊活に勤しむがうまくいかず。
最初はマンションを購入したものの、陽子さんの膨大な書籍を収納するために家を建てることになり。
何年もかけて土地を探すものの、「都内で周りにあまり人が住んでいない」という自己矛盾の激しい要望通りの場所はなかなか見つからず。
それでも運命的な出会いがあり、土地を購入し、人ではなく本優先のうちを立てることになり。
なんだかんだあったものの、二人は仲良く過ごしており、これまでの25年に感謝するとともに、神様にこれからもずっと二人でい続けられることを祈るのだった。
この「結婚物語」シリーズはフィクションの体裁を借りつつ新井素子とその旦那様の半自伝的なストーリーとなっている。
いろいろとフェイクやぼかしたところはあると思うが、新井素子と旦那様の性格の根幹はそのまま描かれていると思われる。
その昔、新井素子は高校生でSF作家としてデビューしたことでアイドル的な扱いを受けており、我々オタクたちの憧れの存在であった。
SFアドベンチャーのコラムなどで業界の人たち同士が仲良くしている記事が載っていたりして、羨ましく見ていたのを思い出す。
小説「結婚物語」、続編の「新婚物語」が出たころは、あの新井素子が結婚か~!と感慨深かったのを今でもよく覚えている。
沢口靖子と陣内孝則主演でドラマ化され、毎週楽しみに見ていた。
本作ではその二人が25年の間、夫婦として過ごしてきた円熟の境地を垣間見ることができる・・・と思って読んでいたのだがあまりそのテイストは強くなく、陽子さんはオシャレを全くせず、正彦さんは仕事一筋で家事をせず、お互いに「おまえ」「あんた」呼ばわりしつつも相手を不器用に大事にしているなど、当時と変わらない様子が感じられて味わい深い。
とり・みきの「愛のさかあがり」で、新井素子が講談社の紙袋で温泉旅行に出かける様子が描かれているが、当時とかわらないんだな~と嬉しくなる。
お子さんがいない、ということについて、相当いろいろな人から言われたのだろう。今ではマタハラだが、ついこの間まで、世の大人たちは平気でこういうことを女性や夫婦に対して質問していた。それに対してばしっと決着をつけているところがかっこよい。
ものすごく久しぶりに新井素子の文章を読んだが、「結婚物語」の頃から語り口調が本当に変わっていない。当時の若かりし自分の厨二心を思い出して胸が熱くある。
しかし自分の蔵書を最優先にして家を建てるとか、相当ムチャクチャやってるな~。
気持ちはとてもよくわかるけど。
出来ればそうしたい気持ちはやまやまだったが、現実の壁に阻まれて、ほとんどの蔵書を電子化してしまった身からすると本当にうらやましい。
既にこの続編の「定年物語」が出ているようなので、さっそく読んでみたい。
