「葉桜の季節に君を想う」の流れで、こちらも有名なので読んでみた。ネタバレ注意。
それぞれ江戸川乱歩の作品のオマージュではあるが、内容はオリジナル。
[椅子? 人間!](元作品「人間椅子」)
人気女流作家にメールで付きまとうストーカーは元パートナー。自分にも後ろめたいところがあるので邪険にできず、ズルズルとやり取りを続けてしまう。
「人間椅子」の要素を現代風に取り入れた話だが、元作品もほぼファンタジーで、そうはならんやろ、という展開。でも想像力をそそられる点ではよかった。
[スマホと旅する男](「押絵と旅する男」)
元人気アイドルの女性とスマホでビデオ通話しながら旅をする男と知り合う。
こちらは逆に今どきこういう人がいてもおかしくない、と思わせる内容。
通信費が怖すぎてWIFIのないところでビデオ通話なんてしたことがないのだが、お金を気にせず使えばこういうこともできる。
最後はよくわからんかった。ホラー?
[Dの殺人事件、まことに恐ろしきは](「D坂の殺人事件」)
ラブホテル街で起こった殺人事件を、うだつの上がらないカメラマンと小学生男児が解決しようと奮闘する。
こんな頭のいい子供がいたらラブホ街などに埋もれさせずに、いい教育を受けさせてやりたいものだ。
というか通報されたら怖いので、男の子女の子を問わず、自分の子供ではない他人の子にコミュニケーションをとろうとは思わないので、ある意味ファンタジー。
[「お勢登場」を読んだ男](「お勢登場」)
20も年の離れたバリキャリ妻を持つ主人公は、仕事を退職後は介護が必要な妻の父の世話をしているが、それにうんざりしている。
「お勢登場」からインスパイアを受け、よからぬことを思いつく。
まあそうなるよな、というラスト。でも腑に落ちない点がある。父はどうする?
[赤い部屋はいかにリフォームされたか?](「赤い部屋」)
劇中に殺人が起き、それはストーリーではなくマジもんだった。恐怖におびえる観衆。
最後のオチ必要かこれ?
[陰獣幻戯](「淫獣」)
自分は性的異常だと自認する男。いやいや、そんなの異常でも何でもないから。
と男性読者に言わせたいんだろうなぁ。
妄想の内容も行動もおっさんにはわかり味がありすぎて怖い。
[人でなしの恋からはじまる物語](「人でなしの恋」)
スマホ恋愛ゲームの話かと思ったら夫をカッとなって殺した女性の話。
行きがかり上、70代の孤独な男性と前科ありの20代女性が仲良くなる過程が少しだけ垣間見えたので満足。
でもオチはストーリーとほぼ関係ない。
10年ぶりか20年ぶりにミステリの短編を読んだ。
大学生の頃の読書サークルの先輩による「短編は切れ味が全て」という名言を思い出す。
本作も一編一編の切れ味が素晴らしく、指をスパッと切ってしまいそうな危うさと鋭さがある。
普段SFとファンタジーばかり読んでいるけど、たまにはミステリを読もうかな。
