観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

パリダカ漂流(島田荘司 1991)

ミステリ作家 島田荘司旅行記。たまたま図書館で手に取って興味が湧いたので読んだ。

前半3日ほどはエジプト・カイロで、知人のエジプト人の伝手でガイドを雇って観光。
ギザのピラミッドを見物。
ギザのピラミッドが如何に天文学上の数字を精緻に反映しているかについて詳しく解説している。
この人ミステリ作家だったよな、SF作家じゃなかったっけ?というくらい詳しい記述で、夢とロマンをそそる。
確かにピラミッドの大きさや方角、内部構造の角度や長さなどが、地球の公転周期など様々な天文学上の数字を反映しているという話はよく聞くし、子供のころから「学習と科学」や「小学〇年生」などの子供向け雑誌で盛んに取り上げられていたのでなじみ深い。
それを自分の目で生で観た時の感動を伝えたいという思いが文章から伝わってくる。
ガイドのハニーは非常に親切で、本職は別に持っているが、その合間を縫ってプライベート時間も使って便宜を図ってくれる。
普段自分が旅行する時にガイドを使おうという気にはなかなかならない。
円高だったからできたのか、島田荘司が既に売れっ子作家でお金に余裕があったからできたのか、単に僕がケチなだけか。
結局こういう、いい人との出会いが旅をいいものにする。
景色や食べ物の記憶もよいものだが、いい人に会って、親切にしてもらった思い出も心に強く残る。遠い地でも人の温かさやホスピタリティは共通であることが確認できるとホッとする。
後半は1991年のパリ・ダカールラリーにプレスとして参加した見聞録。
砂漠を走るレース、くらいしか知識がなかったのだが、こんなに過酷で、大人の世界で現実的な問題と無理くり相対しながら、綱渡りのような運営で実施されていることを改めて知った。
しかし、政情不安定な国もつっきるというのは正気の沙汰ではないわけで、実際作中でもイラク湾岸戦争に突入して様々な悪影響を及ぼしたり、治安の悪いところで参加者が銃で撃たれて死亡したりと、確実にレジャーではない求道的なレースとなっている。
世界中から注目されており、スポンサーが付きやすいということもあるのかもしれないが、いい大人たちがレースの完走だけを目指して金や人力を投入しまくっていく様は確かに爽快ではある。
しかし、砂漠の中を一日中200km/hで突っ走るレースと言うのは考えただけで尻がゾワゾワする。
島田荘司の立ち位置としては「プレスに同行して観戦旅」。気楽に見えるが、道中は砂漠の中でのテント泊を強いられ、風呂にも入れず、ほとんどサバイバルのような生活となる。それを誇らしく語っているのが、男の子っぽくてかわいい。
国から国へ飛行機で渡り、それぞれの地の中継地点まで行って、その日その日のゴールを観戦する。日々の生活は過酷になるが、やっていることは豪勢な遊びで、安全さえ担保されればこういうのを一生に一度はやってみたい。
また、道中、数年前に訪れて街角で1時間ほど立ち話しただけの物売りの美少女にもう一度会いに行く、というエピソードもキュンキュンした。いい話だなぁ。