リトルトゥース(オードリーのANN〈オールナイトニッポン〉リスナー)としては、ぜひ読んでおかなければならない。Kindleでポチった。
アリこと中村昴は総大三高のアメフト部所属。
決して自分のプレイに自信があるわけではないが、アメフトに打ち込んでいる時だけが、将来の進路や彼女ができたことがないことなどの引け目を忘れていられる。
同期の河瀬と次に対戦する強豪校を偵察に行き、あっという間にバレて捕まるもお咎めはなく、監督からそのまま観ていくように言われる。
その情報をもとに攻略法と練習方法を二人で考えるが、実際には全く通用せず、彼らのアメフトはあっけなく終わった。
その後アリは不良仲間と付き合うようになるが、そこでもグループの輪に入りきれず、彼らの言動と行動の矛盾も感じていたこともあって、後輩のチョモこと高山の熱心な誘いに乗り、本来は引退している時期の3年生としてアメフト部に復帰する。
快く思わない後輩もいたが、その思いにはアメフトで返す。チョモや受験勉強中のはずの河瀬の協力を得て、アリは練習に没頭していく──。
「あの本、読みました?」などのテレビ番組やANNで若林さんが語っていたのは、登場人物は特定の人間を参考にしているわけではなく、自分やチームメイトを含め、いろいろな要素をつぎはぎして構成しているため、モデルがいるわけではないということ。
しかし、読者としてはアリ=若林さんとして見てしまう。
その脳内補完込みで作品が成立しているように思うし、本作が面白い理由の一つでもあるように思う。
アメフトのルールはほとんどわからないのだが、かえってその辺の説明がバッサリ省かれていることで、純粋に不器用な男子の泥臭い青春として楽しめる。
隠れて煙草を吸っていたり、原チャリをパクったり、学校の購買でおかずをくすねたりするシーンも臆することなく書いてあって気持ちよい。最近はコンプライアンスが厳しいので、久々にこういうのを見た。
また、アリは高校生のうちから哲学になんとなく興味を持ち、倫理の岩崎先生にざっくりした疑問をぶつける。岩崎先生は質問の内容はともかく、質問をもらったこと自体が嬉しくて、アリにいろいろなことを教えてくれ、さらには自分の心のうちも自己開示してくれる。だいぶ齢がいったおじさんとしては、この岩崎先生の嬉しさに共感して胸が熱くなってしまう。
若林さんが若い頃から抱えていた、大人や社会に対する不満や鬱屈した感情が具体的に示されていて、10代の頃から呪いのように脳内を渦巻いていたことがわかる。
そしてその脳内は、同じ世代だったころの僕自身に渦巻いていたものでもあり、作中のアリと若い頃の若林さん、同じころの自分、それぞれが幼気(いたいけ)でいたたまれなく、でも微笑ましく感じて泣きそうになる。
そして最後の試合で、チーム一丸となって全力を振り絞るところが、フィクションとわかっていても熱い。こんな青春したかったと羨ましくなった。
そして珍来という町中華のお店のエピソードは、ANNでも頻出している「長楽」という実在したお店が基だと思うが、店主との乱暴なやり取りと、どれをとってもおいしそうな料理の描写がラジオで聞いていた通りでよかった。食べてみたいなぁ。

![ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編- Blu-ray BOX [Blu-ray] ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編- Blu-ray BOX [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41PmqDxPgsL._SL500_.jpg)



