観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

用心棒(1961)

元旦のBS映画でやっていたのを撮り貯めしていた。ネタバレ注意。

刀を携えた一人の浪人が、宿場町・馬目宿へやってきた。この町では二つのヤクザの勢力がしのぎを削っていることを飲み屋の権爺に聞いた浪人は、酒代の代わりにこの町を平和にすると嘯く。
丑寅の子分を挑発して、瞬く間に3人を切り捨てた浪人は、請われるまま対抗勢力の清兵衛一家へ足を向ける。そこで名を尋ねられた浪人は、窓の外の桑畑を眺めながら「桑畑三十郎、いやもうすぐ四十郎だがな」と堂々と偽名を名乗る。
丑寅との決着をつけるために三十郎を雇い入れた丑寅だったが、払う報酬惜しさにあとで殺す算段をしていたことが三十郎にばれる。三十郎は決戦の場において報酬を地面にたたきつけ、自分は降りると宣言して火の見やぐらにあがり、両者の戦いを見物するのだった。
そこへ見回りの役人がやってくることがわかり、一時休戦となる。
丑寅は役人を追い払うため隣町で殺人事件を起こし、さらには清兵衛たちとの手打ちをすすめる。思惑が外れた三十郎は、殺人事件の下手人を探して清兵衛に売りつける。
お互いに人質を取ったり取られたりした挙句、清兵衛がとった人質おぬいとその家族を不憫に思った三十郎は、おぬいを警護していた清兵衛の手下をあっという間に切り伏せ、お縫いとその家族に金を握らせ逃がす。
それが丑寅一家にばれ、三十郎は捕らえられひどい拷問を受けボロボロになる。逃げ延びて権爺に助けられた清兵衛は、町はずれの墓地にあるお堂で体力を回復させる。
清兵衛一家が三十郎を匿っていると誤認した丑寅一家は清兵衛一家を焼き討ちにして皆殺しにする。
体力の回復した三十郎は事の次第を知り、丑寅一家との戦いに赴くのだった・・・

桑畑三十郎を演じる主演の三船敏郎がとにかくかっこよくて、男の色気を感じる。この時三船敏郎は41歳だが、同じ年の頃、僕自身ががどれだけみすぼらしかったかを考えると驚異的である。これだけの魅力あふれるキャラクターが成立しているのは、三船敏郎自身のポテンシャルに加え、黒澤明の演出によるものであろう。登場人物たちが荒々しくぶっきらぼうでありながら、舞台っぽい演出で楽しく面白く観ていられる。
また、テレビ時代劇にありがちな、チャンバラの音が特に入っていないのは逆に好感が持てた。あれがあると様式美・お約束過ぎて萎える。
やはり今の時代と比べると登場人物が圧倒的におっさんだらけなのだが、この時代の主役はおっさんだったのだなぁと改めて思う。今は若者文化がメインであるように感じるが、それもまたおっさんの僻みであろう。
初めて観た黒澤映画だったが、面白かった。機会があれば別の作品も観てみたい。

 

三体III 死神永生 下(2010 劉慈欣)

三体III 死神永生 上(2010 劉慈欣) - 観たり読んだり備忘録
 を先に読んでこちらへ来てください。ネタバレ最注意!

 

地球側ではその解読に成功し、地球が生存するには3つの方法があることを知る。
「掩体計画」は、木星などの陰に宇宙ステーションを建造することで、太陽が破壊された際の衝撃を受けずに生き延びる。
「暗黒領域計画」は光の速度を低速にすることで人為的にブラックホールを作り、太陽系が安全であることを宇宙に知らしめる。
「曲率推進」は空間を折りたたみ光と同じ速さで進む宇宙船を建造し、外宇宙へ逃げる。
このうち、「曲率推進」は使用すると宇宙に明確な跡を残してしまい、暗黒森林攻撃を受けてしまうことから中止となる。
技術的に可能な「掩体計画」が実施されるが、その後実行された太陽系への暗黒森林攻撃は太陽(恒星)への攻撃ではなく、太陽系全体の二次元化であり、三次元から二次元へ強制移行させられることは生命の停止を意味する。
程心たちは地球の文化的遺産をできるだけ後世に残すため、冥王星の保管所へ行き、そこで200歳になった羅輯と会う。
そこでは1億年の歳月を経ても人類の文化を残すため、石に文字が彫られ保管されていた。
そのまま滅びに身を任せようとしていた程心と艾AAだったが、乗っていた宇宙船「星環」に曲率ドライブが搭載されていることを知り、雲天明にプレゼントされたあの星へ向かうと、そこには<万有引力>の乗組員だった関一帆がいた。

関一帆によると、すでにその世界では宇宙船<万有引力><藍色空間>の子孫たちがかろうじて住める惑星を見つけて開拓し、居住しているとのことであった。
関一帆は調査のためにこの惑星に来ていたが、関一帆がもともと居住していた世界へ向かう調査のため、艾AAをその惑星に残し、関一帆と程心が少しだけのつもりで宇宙船で飛び立ったが、艾AAが雲天明と邂逅したという知らせを受け、戻ろうとする。しかしそこでデスラインと呼ばれる低速ブラックホールに巻き込まれ、外の世界では1千万年以上が経過した。
もとの惑星に戻った程心と関一帆は、石に刻まれた艾AAの「幸せに生きた」というメッセージを発見する。そこには光るドアが遺されており、その中には一定の広さの敷地ではあるが、橋と箸がつながっていて無限に進むことができる小宇宙が内含されていた。二人はその中で農業をしてつましく生きていこうとするが、10年後、外宇宙からのメッセージが入るのだった・・・

三体及び三体IIがストーリーをメインに読ませる話だとすると、三体IIIはSFを読ませる話であり、読者がついてこれないかも、と作者本人が語っており、確かにそうだと納得する。話が非常にマニアックで、過去の名作SFへのオマージュがいっぱい詰まっていて、それでいてオリジナリティあふれるアイデアと展開がてんこ盛りになっている。もともとSFを読んでいるSF脳の人は抵抗なく受け入れられると思うが、そうでないと辛いところがかなり多い。暗黒森林攻撃をしてくる高位生命体の描写がちょっとだけ出てきたり、過去の歴史的な話をエピソードとしてはさんだりするのは、レンズマンシリーズっぽいなぁと思った。光速で移動すると主観時間と比較して客観時間があっという間に過ぎる、いわゆるウラシマ効果は多くのSFでテーマとして取り上げられており、卑近な例で言うと「トップをねらえ」だろうか(ジョー・ホールドマンの「終わりなき戦い」でもよし)。

それにしても最後の方は三体世界が出てこないな~。目の前で脱水してペラペラになるところを見られると期待していたのだが、その機会には恵まれなかった。
曲率推進ドライブは、ワープとはまた違う(あくまでも船の速度を光速に近づけるための技術)が、「空間を曲げる」あたりで宇宙戦艦ヤマトを思いウキウキしてしまった。
宇宙都市はもちろんガンダムスペースコロニーで、風化したならず者が多く生活する廃棄されたコロニーがテキサスっぽい。だが、それよりは50年近く前に子供雑誌に掲載されていた「これが未来の宇宙ステーション」に出てきたような形の方が本作ではよく取り上げられていたようだ。
また、やっぱり程心と雲天明が結ばれないのはどうかと思った。ハリー・ポッターハーマイオニーが結ばれない的な? でもそのくらいのカタルシスを読者にくれてもよかったのになぁ。
そして高次生命体との邂逅や、自分がそこまで上り詰める的な、ペリー・ローダンっぽい展開もなかった。まあそれをやると三文ヒーローものになってしまうのでやらなくてよし。
石に文字を刻んで、1800万年後に艾AAのメッセージが読めたのは胸が熱すぎる。泣けた。艾AAは現代っ子風でサバサバ割り切った行動が目に付くのだが、実は熱い女性である描写が随所に見られ、いい奴だったんだなぁと改めて好感が持てる。
最後の最後どうなったのかが判然としないまま物語が終了したが、これはこれである意味ゴールであり、ここまでのストーリーを追ってきた読者であれば各自想像できるだろうという任された感があってよい。任された!
しかしすごい話だった。IIまでは中華文化っぽい話だなぁと思っていたが、IIIで突き抜けた感がある。読んでよかった。

気になる艾AAと雲天明の話は二次創作の「三体X」で読めるらしい。公式に認められてハヤカワで出版されているので、いずれ読みたい。

 

三体III 死神永生 上(2010 劉慈欣)

三体三部作の第三部。あらすじがすべてネタバレなのでご注意を。

また、興に乗って書いていたら長すぎて「HatenaBlog」に受け入れてもらえなかった。何か技があるのかもしれないがよくわからないので、上巻と下巻に分けて投稿する。こちらは上巻。下巻は以下。本ページはあらすじしか書いてないので、感想が読みたい場合は下巻閲覧を推奨。

三体III 死神永生 下(2010 劉慈欣) - 観たり読んだり備忘録

15世紀のコンスタンティノープル
東ローマ帝国オスマン帝国に敗れようとしている中、「スルタン(オスマン帝国の長)を殺せる」と主張する女性が現れる。その暗殺は結果として失敗するが、その女性:ディオレナは、何らかの方法で次元をかいくぐる手段を見出していた。
時は移り、人類が三体に対抗する手段を試行錯誤している時代。若くして癌を発症し、余命わずかとなった雲天明は、昔たまたま友人に披露したアイデアで得た金で、国連が売り出していた「宇宙にある星の所有権」を購入し、自分が航空宇宙工学の学生時代に憧れていた女性、程心に匿名でプレゼントし、自分の判断で死を選択する制度を使おうとする。
程心は航空宇宙エンジニアであり、三体世界にスパイを送り込む「階梯計画」に携わっていた。その計画では200gだけ積み荷を運ぶことができるため、死期間近の人間の脳だけを送り込むことになり、雲天明が選ばれる。その結果を見届けるため、程心は人工冬眠(コールドスリープ)に入る。
程心は、所有していた星に地球と同じタイプの惑星があることが判明し、それを買い戻したい国連によって目覚めさせられた。その惑星が居住可能であることを発見した大学院生:艾AAと知り合い、彼女の勧めで起業する。この時代では、三体世界へは羅輯の抑止力が働き、いざとなったら全宇宙へ三体世界の座標を発信することによって三体世界を滅ぼす(代償として地球の座標も知られ、同様に滅ぼされる)、という均衡状態を保っている状態であった。
その抑止力スイッチは羅輯という「執剣者(ソードホルダー)」によって守られてきたが、羅輯も高齢となり、注目された程心が次の執剣者に選ばれるものの、その直後に三体世界からの攻撃があり、程心はスイッチを押せないまま抑止力の通信施設はすべて破壊され、地球は三体世界から征服されるのだった。
しかし、宇宙に逃亡していた宇宙船<万有引力>によってその引き金が引かれ、重力波による座標通信が行われ、三体世界は滅亡する。
程心は三体世界からの計らいにより、無事三体にたどり着いていた雲天明と話をすることができる。破壊された三体から脱出しつつある三体星人たちは、雲天明から自分たちの情報が漏れることを良しとせず、二人の会話に厳重な監視をつけたため、雲天明は当り障りのない話しかできなかったが、雲天明は三つのおとぎ話を語る体で地球のために重要な情報を伝えていた。

(その2へ続く)

 

 

三体II 黒暗森林(2008 劉慈欣)

三体三部作の二作目。盛大なネタバレに注意。

前作で地球三体組織は大きな打撃を加えられ、リーダーの葉文潔は逮捕された。葉文潔は逮捕される前、娘の同級生である羅輯に、宇宙社会学の概念と、猜疑連鎖・技術爆発というキーワードをヒントとして伝えた。
地球人類は、三体星人たちの大きな特性として、自らの思考が電磁波として発信され交信する三体人のコミュニケーションの性質上、嘘という概念を知らず、思考=話すことであることを知る。
相変わらず基礎科学を発展させることができず、技術革新を望めない地球人類は、この特性を利用し対抗するため、面壁計画を実行する。面壁人として選出された人物は、莫大な富と権限を与えられ、その代わりに自分の思考内においてのみ三体世界に対抗する考えを立案し、表向きにはそれが悟られないようカモフラージュする。人類が発する情報すべてを智子によって傍受している三体人ではあるが、思考だけは読み取れないことから、裏をかいて勝利するための方策であった。
しかし、三体側も地球三体組織のメンバーよりそれを阻止する人間、破壁人を個々の面壁人へ秘密裏に使わし、ここにその目論見を看破し阻止させようとする。
一人目の面壁人、元アメリカ国防長官テイラーは、大規模な水爆を使った攻撃を考えると見せかけて、その実は三体艦隊へ降伏し、油断したところを叩くものであったが、看破され失敗する。
二人目の面壁人・南米の元大統領ディアス、三人目の面壁人・英国科学者のハインズもまたともに失敗する。
四人目の面壁人として選ばれたのは、特に有名でもなく優秀でもない羅輯であった。彼は最初の数年を面壁者としての特権を活用し、楽園のような場所で美しい妻得て、その間に生まれた子供と過ごすが、長い瞑想の後、ある仮設にたどり着く。そして宇宙に向けてとある通信を発信した後、自分が行ったことに効果が表れるまで起こさないでほしいと言い残し、人口冬眠に入った。
観測により、三体世界から大規模な艦隊が地球に向かってやってくることが改めて事実として明らかになり、地球人類は持てる技術の粋を集め、「大峡谷時代」と呼ばれる暗黒期を乗り越え、発展していった。羅輯が人口冬眠から目覚めた時、地球は大規模な宇宙艦隊を擁立しており、誰の目にも三体艦隊を圧倒するのは自明の理と思われた・・・

この「面壁者」という、世界の命運を、4人いるとはいえ個々の個人に任せてしまうという概念が非常に面白い。大丈夫かよあんたら、とハラハラさせられる。その期待にたがわずほとんどの面壁者は失敗するのだが、ちゃんとその伏線はあとで見事に回収され、その手際が見事である。
また、大峡谷時代を経て、基礎科学がないハンデを乗り越えた地球人類たちが文明を発展させた近未来がどこか懐かしく、70年代に子供の雑誌で見た「未来世界はこんな感じ!」イラストのようなユートピアと、今どきの通信やユーザインタフェースを融合した独特の世界観となっており興味深い。
ほんのワンエピソードとして軽く消化されてしまうアイデア羅輯へ放たれたコンピュータウイルスが長い間潜伏し、この未来世界で発動して彼を殺そうとする、など)が惜しみもなく投入されており、ため息が出るほどである。

最後、大スペクタクルな展開とアッと驚くラストが待っており、人によっては「なんで三体Ⅲを出したのだ。この三体Ⅱで終わりでいいだろ」と言っている人もいるくらい完成度が高い物語の畳み方である。
久々にセンスオブワンダーを感じたSFであった。

 

 

 

 

三体(2008 劉慈欣)

中国のSF作家・劉慈欣(リウ・ツーシン)の「三体」三部作の一作目。ネタバレいっぱいするので注意。
かねがねすごいという噂は聞いていたが、ドラマ化が日本でもリリースされるという話を聞いて、これは読まねばなるまいと思ったのが昨年末。
ちょうどBLACK FRIDAYのあたりで早川書房Amazon Kindleブックの半額セールをやっていたので、思い切って三部作をすべてKindleで買ってしまった。普通に買ったら全部で1万円くらいだが、お得に買えてよかった。
それがやっと全部読み終わったので、あらすじ(ネタバレあり)と感想を書く。

時は文化大革命の時代、親を非情な吊し上げで殺された女性・葉文潔は、外宇宙の知的生命体とのコンタクトを目的とする軍の紅岸基地へ配属となる。そして人類に深い絶望をいただいた葉文潔は、この基地で発見した、太陽を使った通信技術を用い、地球文明の情報を送信した。それは地球文明を陥れる、人類への裏切りに他ならなかった。
現代の中国で、「三体」というオンラインゲームがリリースされた。そのゲームの舞台はこれまで見たことがないような奇妙な世界であった。太陽が3つあり、その世界の人類が快適に生活できる恒紀と、太陽が近づきすぎてすべてが熱せられてしまう乱紀が交互にやってくる。これらの太陽は質量が同一であり、どのタイミングで恒紀と乱紀がやってくるか、皆が予測しようと躍起になっているが、誰もそれを成し遂げることができない。この世界の人々は、乱紀になると体から水分を排出し、ペラペラの皮一枚になってしまい、その状態で次の恒紀を待つ。その間に破けたり、食べられたりしたら死んでしまうため、常にリスクを伴う。また、この世界はいつ3つの恒星に飲み込まれるかもしれない危険をはらんでおり、恒久的な対策はこの世界からの脱出であった。
この「三体」は、実際の三体世界を人類の歴史上の人物や出来事に置き換えて表現されたものであり、三体星人は実在した。彼らは葉文潔の通信により地球文明の存在とその位置を特定し、地球人を滅ぼして自分たちが地球へ移住することを決意する。
しかし、地球をはるかに凌駕する科学力を持つ三体星人でも、地球にたどり着くには約450年の歳月が必要である。その間に地球の科学力が三体世界の水準まで拮抗することを恐れた三体星人は、地球の基礎科学が発展しないよう、「智子」プロジェクトを発足する。それは陽子を11次元から二次元に展開させ、それを集積回路とすることで、「智子」(ソフォン)を作る。それを複数展開し、一方は通信用として三体世界に残し、一方は次元の狭間を越えて地球に送り込み、科学力が向上しないよう、時には実験結果に干渉し、時には主要な科学者の視神経に介入するのだった。
「三体」は、葉文潔をリーダーとする地球三体組織が、三体星人に地球を明け渡すべく地球側で同志を見つけるために開発したゲームであった・・・

最初は文化大革命の理不尽さ、残酷さがしつこく描かれる。また、当時の軍の規律の厳しさがこれでもかと描写されるので、この話は中国の軍人の話なのかなと錯覚するほどである。しかし、それだけ念入りに書かれるのは、葉文潔に人類を裏切らせるに至った経緯の必然性を醸したいからということが後から分かる。
読み進めると、太陽を使った大規模通信とか、恒星が3つ絡まりあって惑星に影響を及ぼしているのにその世界で発展する知的生命とか、エッジの効いたアイデアが次から次へと惜しげもなく提示されるのにとにかく圧倒される。それでいて、主要メンバーは中国人なので、意思決定というか人々の考え方というか、そういうものが中国人テイストの方向に向かいがちなところが新鮮に感じる。
これまで親しんできた主な海外SFは良くも悪くも欧米が主流だったので、もっとドライというか感情は抜きにした話の展開が大前提で、それがお約束であり暗黙の了解ごとだったのだが、この「三体」では人々の感情が非常に重要視されており、それによって世の中が大きく動いたり、時には目を覆いたくなるような悲惨で愚かなことがまかり通ってしまうことが世の常として描かれている。それが読んでいてとても中国っぽいなぁ、でも実際はこうかもしれないなと思わせる説得力を持っている。
それと奇抜なアイデアが絡まりあい、これまで体感したことのない壮大且つ唯一無二の世界観が目まぐるしく展開される。これは確かにすごい。
この三体世界に対して、人類はどう立ち向かうのであろうか。・・・と言いつつもう読んでしまったので、三体Ⅱおよび三体Ⅲについてもいずれ触れたい。

 

 

仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド(2024)

仮面ライダーを視聴してきた中で平成一期が一番好みで黄金期だったが、その中でも一番キラキラしていたのが555(ファイズ)だった。
その20年ぶりの劇場版が昨日封切られたということで、さっそく観てきた。

真理と草加、海堂、啓太郎の甥の条太郎たちは、クリーニング屋を経営しながら、オルフェノクの保護を行っていた。しかし北崎率いるスマートブレイン社は政府により企業再生され、オルフェノク撲滅のための組織と化していた。
スマートブレイン社の仮面ライダーミューズが率いるライオトルーパー軍団がオルフェノクに襲い掛かる中、草加仮面ライダーファイザとオルフェノクたちが対抗する。
両者が対峙する中、乾巧が帰ってきた。仮面ライダーネクスファイズとして・・・

まだ封切られたばかりのホヤホヤ映画なので、極力ネタバレはしたくない。
しかし、ネタに触れないと書けないことが多すぎてどうしたらよいか・・・もちろんしばらく時を置いて上映が終わり、何なら円盤の販売が開始されてから書けばよいのだが、この感動だけは残しておきたいので、無理やり書く。

巧、草加、真理の変わらなさにまず感動した。
巧=半田健人草加村上幸平はいろんなところで絡みや対談を観てきたこともあり、なじみがあったはずなのだが、555という媒体を通してみると「帰ってきた~!」感が強くて泣ける。
真理=芳賀優里亜はほかのライダーシリーズに出ていたし、牙狼にも出ていたし、他の映画等でも出演されているのは見かけていたが、やっぱり555で観ると胸が熱くなる。
海堂=唐橋充も他のライダーや戦隊で出演されていたし、奥様=水野美紀Youtubeはキングオージャー関連でよく見ていたので、出演された回もありがたく拝見していたが、この映画でも海堂節がいっぱい聞けて嬉しかった。
北崎=藤田玲は個人的にはもう既にドラゴンオルフェノクの人というより銀牙騎士絶狼の涼邑零なのだが、ちゃんと北崎君になっていてよかった。というか北崎って望っていう名前だったのね。本作で初めて名字だけではなく名前がついたとのこと。まだ幼く見えた(そう見える演技をしていた)当時と比べて、本作では敵としてだいぶ大人で抑えめな役どころ。それもまたよかった。
テレビシリーズでは数話しか出てこなかった廉価版のモブ的ライダー、ライオトルーパーの皆さんもいっぱい出ていたのはよかった。
さすがに20年たつとガラケー変身はできないということでスマホになったようだが、スマホの画面内でボタンをタッチする形に。今どきだったら事前登録した番号を呼び出すんじゃないだろうかと思ったが、あの「ぴっぴっぴ、スタンバイ」が聞けなければ555の変身じゃないわけで、苦心された様が垣間見えて滋味深い。
新ライダーのミューズはギリシャ文字の「M(ミュー)」を由来としているようで、顔がMをモチーフにしたデザインになっている。今どきなエッジが立ったデザインながら、色使いが控えめで平成に寄り添った印象で好感が持てる。
ストーリーはかなり突き抜けており、いくつかの「それ気になってた!」がきちんと描かれているのには泣きそうになった。
Vシネなので尺が65分と短いのだが、あっという間なのに満足感はいっぱい。テンポよくお話が進んだからこそであり、スタッフの皆様に御礼申し上げたい。

グランドシネマサンシャイン池袋で観たのだが、近くにあるサンシャインシティバンダイナムコ Cross Store 東京で映画と連動したイベント「仮面ライダー555 20th EVENT ~My Mission Memories~」をやっており、スーツやフィギュアが展示されていた。
朝一の上映だったので、ショップ開店と同時に入店し、人が少ない中でじっくりと観ることができたのでよかった。あ~フィギュア購入しようかなぁ。悩み中。

今日は魂の洗濯ができたなぁ。

 

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不死身の保安官(1958)

正月のBSで観た西部劇映画の一つ。ネタバレ注意。

19世紀半ば、ロンドンで叔父の銃器店を手伝っていたティブスは、アメリカに販路を広げようと一人大西洋を渡った。
馬車で西部へ向かう途中、先住民に襲われるが、話せばわかると馬車を降りて先住民の一人に背後から話しかける。
肝をつぶした先住民が立て続けにまくしたてるティブスの迫力に圧倒されて勝手に降参し、ティブスは先住民を追い払うことに成功する。
目的地の町についたティブスは、全て偶然ではあるが荒くれ者たちに恐れ入らせることに成功し、町長から請われ保安官となる。また、ホテルの女主人ケイトと恋仲になる。
早速町で銃器を売ろうと町はずれの家に訪問販売へ向かうが相手にされず、たまたま付近にやってきた先住民たちに銃を売りつけようと向かうものの、あっという間に捉えられて彼らの居住地へ連れ去られる。
しかし、彼らの酋長は西部へやってきた際に降参した男であり、彼はティブスに命を救われたと思い込んでいて、ティブスは酋長の義理の息子として試練を受けさせられる。
初めて乗った馬で、とんちを聞かせて先住民たちの喝さいを浴びたティブスは無事認められて酋長の義理の息子と認められ、3人の美女と3人のふくよかな女性を妻に迎えるように言われるがそれを固辞する。
無事戻ったティブスをケイトが迎えるが、彼はSとTという二つの荒くれ者ガンマンのグループの抗争を引き起こしたとして町長になじられ、ティブスは戦いをやめさせるべく彼らの元へ向かうのだった・・・

西部劇と言いつつ、だいぶコミカルで笑える話に仕立てられている。こういうパターンは初めて観たな。
主人公のティブスは口が立つだけで特に銃の腕前がよいわけでもないのだが、世間知らずで能天気なイギリス紳士としてどこにでも首を突っ込みたがり、それがなぜか全部相手に過大評価されて成功するという、今となってはよくある笑いのパターン。
西部劇でそれを最後まで通したのは、当時としてはかなり画期的だったのかもしれない。
ヒロインのケイト役が、あまり詳しくない僕でもちょっと小耳にはさんだことのあるジェーン・マンスフィールド。金髪でグラマーという典型的なハリウッド美女であり、マリリン・モンローと双璧をなしたと言われている。金髪グラマーはちょっと頭が弱いというアイコンとして描かれがちだが、ジェーンはクレバーで5か国語を操り、楽器の演奏も巧みな才人であったとのこと。
実際、この映画でもティブスを演じたケネス・モアを食ってしまっており、圧倒的存在感を放っていたように感じた。
最後までハッピーでオシャレなエンディング。素敵な映画だった。