観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

地獄の田舎暮らし(2021 柴田 剛)

生まれも育ちも現在地も結構な大都市で、ごみごみした風景にげんなりしている。どこまで行ってもアスファルトで、ちょっと高いところから見渡しても地平線まで人工物が埋まっている。コンサートや演劇、展覧会などに足しげく通うこともないし、お酒が飲めな…

いのちの車窓から(2017 星野源)

ダ・ヴィンチで連載中のエッセイの書籍化。 これまで数冊の星野源エッセイを読んだ中で、一番今の星野源というか、スターになってからの星野源の様子が垣間見れた気がする。もちろん元々の陰キャで卑屈で遠慮がちな性格も垣間見えるのだが、直接的には語られ…

同志少女よ、敵を撃て(2021 逢坂冬馬)

今年に入ってからAmazon Audibleを聴き始めた。デブ防止のために毎日行っている散歩の時、ただ黙々と歩くのに飽きてしまうので、最初は音楽を聴いていた。が、それもあっという間に飽き、次にオードリーのオールナイトニッポンをRadikoのタイムフリーやPCで…

そして生活は続く(2009 星野源)

2013年版の文庫版で読んだが、元は2009年。「よみがえる変態」と一緒に読んだ。こちらが初のエッセイ集とのことで、またしても観る順番を間違えた。こっちから読むべきだったが、致し方なし。 日々の生活がとても苦手でつまらなくて、でもそれを面白がれたら…

よみがえる変態(2019 星野源)

原題「蘇る変態」(2014)が、文庫化された際に改題とのこと。文庫で読んだ。正直、楽曲もドラマもあまり触れる機会がなく、たまにオールナイトニッポンを聞く程度の接触度合いだったのだが、オードリーの若林さんつながりで気にはなっていた。たまたま何か…

横浜駅SF(2016 柞刈湯葉)

WEB小説サイト「カクヨム」のコンテストでSF部門大賞を受賞し、カドカワBOOKSで書籍化。日本SF対象候補にもなり、話題にもなったので存在は知っていたが、当時はあまりピンとこず、今になって読みたくなって読んだ。 冬戦争と呼ばれる世界大戦から200年…

火星の人(2014 アンディ・ウィアー)

2035年の近未来。火星探査に赴いたNASAの一行。メンバーの一人である、宇宙飛行士:マーク・ワトニーは予測できないような突風を受け、パラボラの一部が腹部に刺さり吹き飛ばされた。彼を探すも見つからず、生体反応も見受けられなかったことから、残るメン…

カラマゾフの兄弟(フョードル・ドストエフスキー・1880)

あまりこういう世界名作文学的なものは読んでこなかったのだが、たまたまAMAZONで110円のKindle版を見かけたので、2021~2022の年末年始で読んでみようと思い、気軽にポチってしまった。しかし噂にたがわぬ読みにくさで、やっとついこの間読み終わった。1か…

あっという間に完成! 筆まめ年賀状 2022年版

だいぶ枚数は減ったし、ここ数年でつながった人とはオンラインでのやり取りがメインで出していないが、それでもまだ昔懇意にしていた方々には年賀状を出している。PCで年賀状を作るようになってからしばらくの間は「筆休め」というソースネクストの中でも…

デューン 砂の惑星〔新訳版〕(原作1965年 新訳版2016年)

旧訳は中学生の頃に読んだが、新訳は読んでいなかった。今回の映画新作封切りに伴い、装丁が一新されKindleでお目見えしたので買って読んだ。時系列としてはデイビッド・リンチの映画→旧訳→長尺版→ドラマ版→新作映画→本作ということになる。 あらすじはもう…

「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 (2018 武田友紀)

HSPについて日本人が書いた本。 もともとは「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」というエレイン・N.アーロンの本で取り上げられたHSPという概念が元ネタ。HSPとは、生来の性質として感受性が強く敏感な気質を持っている人とい…

連帯惑星ピザンの危機 クラッシャージョウ・シリーズ (1977 高千穂遥)

中高生の頃、夢中になって読んだシリーズ第一作にして、作者である高千穂遥のデビュー作。 22世紀、人類はその版図を宇宙へと伸ばしていた。数多の惑星にテラフォーミング(惑星を人が住めるような環境に改造すること)が行われ、人類が移民していき、8000に…

<物語>シリーズ(小説2006・西尾維新、アニメ2009)

絶大な人気を誇る西尾維新・作の小説シリーズだが、最初に観たのはアニメから。小説は30作近く出ていて、そのうちの3分の2くらいアニメ化しているのだろうか。 小説もアニメも全部観たり読めたりしていないので、本当はここで語ってはいけない気もするのだが…

海外ブラックロード 危険度倍増版(2005 嵐よういち)

危険度の高い海外の町へバックパック旅行に行き、そこで見聞きしたことだけを書くというスタイルの旅行記的ノンフィクション。 ケニアのビーチ・モンバサでは路上で強盗に会い、リュックサックを奪われる際にウンコを漏らし、アメリカではビザがなくイミグレ…

スカイラーク3号(1930 エドワード・エルマー・スミス)

E・E・スミスの「宇宙のスカイラーク」シリーズ第2弾。 前作でスカイラーク2号を駆り、オスノーム国と友好な交流を行うことができたシートン一行。地球に帰ってからしばらくすると、オスノームのデュナーク皇太子とシタール皇太妃が宇宙船でやってきた。…

宇宙のスカイラーク(1928 エドワード・エルマー・スミス)

今から100年近く前に発表された、レンズマンシリーズの作者のもう一つのSFシリーズ小説。 アメリカの研究所で働く物理化学者リチャード・シートンは、自分の研究室で、プラチナを生成したあとの残滓に含まれていた金属を分離する作業を行っていたが、突然…

老人力(1999 赤瀬川源平)

物忘れが激しくなったり、頑固になったりするのは老化によるデメリットというのが通常の感覚だが、それを「物忘れが激しくなることによってイヤなことを忘れ、前向きになれる」「頑固というのは意志が強固になったということ」というプラス方向に変化してい…

オーラの王者<クラスター・サーガ③> ピアズ・アンソニイ 1978

クラスター・サーガの最終巻。 今回の主人公は、一巻でフリントを狙う暗殺者であり、最終的には結ばれた斜線人の末裔。彼は時代を通して銀河最高の236という高いオーラの持ち主で、それを生かした職業から「癒し手ヘラルド」とも呼ばれている。前作「タロ…

タローの乙女<クラスター・サーガ②> ピアズ・アンソニイ

クラスター・サーガの第二巻。おもいきりネタバレです。 前作「キルリアンの戦士」のエピローグで、フリントとアンドロメダの刺客は、体中が楽器となっていて音楽により会話をするミンタカ人に転移し、そこで子供を産んでおり、そこから千年後、再びアンドロ…

キルリアンの戦士<クラスター・サーガ①> ピアズ・アンソニイ 1977

「魔法の国ザンス」シリーズで有名なピアズ・アンソニイのSFシリーズ。全三部作の第1巻。 時は24世紀。天の川銀河ソル星圏に、中心部のナイフ星圏からオーラ転移による使者が訪れる。アンドロメダ銀河の星圏が、天の川銀河のエネルギーを全て自分たちの…

グイン・サーガ(1979 栗本薫)

日本で初めて書かれた本格ファンタジーにして日本最長の連続小説。作者の栗本薫が書いた分だけで130巻あり、彼女が膵臓がんで惜しまれつつ世を去った後も、別の作家によって書き続けられている。 新興国モンゴール軍の奇襲により陥落したパロ王国。パロの真…

銀河英雄伝説(1982 田中芳樹)

日本SF界では知らぬ者のいない大ヒット作。 数百年先の未来、銀河中に版図を広げた人類は、ゴールデンバウム王朝による銀河帝国によって支配されていたが、それをよしとしない共和主義者たちは帝国領を脱出し、その支配の及んでいない宙域に「自由惑星同盟…

Fate/Zero (小説は2007、アニメは2011)

アニメファンの間では一般常識的な一大シリーズの外伝的な位置づけに当たる作品だが、一般人からするとこのシリーズはかなりなじみが薄い。原作がゲームだからというのが一番大きなポイントだが、それ以外にも専門用語や独自の概念が多すぎて理解しづらいと…

PC-8001はるみのプログラミング・レッスン (1982 高橋はるみ)

強烈に懐かしい。当時のベストセラーパソコンであったPC-8001の主要言語であるN-BASICを使ったプログラミングの勉強本。 と言ってもただの勉強本ではなく、著者が女子高生なのである・・・どど~ん! そもそも女子高生が講師という時点でちょっとソワソワし…

トリガーマン!I(1987 火浦功)

まだ今のようにラノベが一般的ではない時代、「ライトSF」というジャンルが1980年代の日本の世の中にはあった。その中でも印象深い二人が、火浦功と岬兄悟である。岬兄悟の本は手元にないし、今どき図書館にもないので、残念ながら取り上げることができな…

最後のアジアパー伝(2004 鴨志田譲)

鴨ちゃんのアジアパー伝、最後の章。 前半は師匠であるジャーナリスト、ハシダさんとの出会いの頃のエピソード。ゲリラに脅されてカメラを取られてしまった話、ハシダさんがお手伝いさんに金盗まれて逃げられた話など。戦場カメラマンと言えば聞こえは良いが…

渦動破壊者(1960 エドワード・エルマー・スミス レンズマンシリーズ)

レンズマンシリーズ第7弾だが、主人公はレンズマンではなく、外伝のさらに外伝的な扱い。この時代でも原子力エネルギーは主要な発電力として使用されていたが、突如制御不能となり、破壊できないエネルギー過流として新たな公害化していた「原子渦動」。こ…

三惑星連合(1934 エドワード・エルマー・スミス レンズマンシリーズ)

レンズマンシリーズ第六弾。 といっても書かれたのは本編第一弾の「銀河パトロール隊」より前で、レンズマンシリーズの元となる前日単の中編が「三惑星連合」であり、それ以外にアリシアとエッドールの邂逅の話、そしてキニスンの血筋とマクドゥガルの血筋が…

もっと煮え煮えアジアパー伝(2003 鴨志田穣)

アジアパー伝の第四弾。 本作のハイライトは中国。最初は北京に渡り、そのあと父親のルーツがあるというハルピンへ。ハルピンでは度数の高い酒を飲み、極寒の外を歩き、耐えられなくなってまた酒を飲むという毎日。辛いだけの50円くらいのラーメンをすすり、…

煮え煮えアジアパー伝(2002 鴨志田譲)

鴨志田譲のアジアパー伝シリーズ第三弾。 本作のハイライトは何といってもミャンマーで出家するところだろう。出家と言ってもだいそれたことではなく、ミャンマー人は一生の間に数か月、誰もが一度は一時的に出家するとのことで、鴨志田も3週間ほど体験出家…