観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは(歌野晶午 2016)

「葉桜の季節に君を想う」の流れで、こちらも有名なので読んでみた。ネタバレ注意。それぞれ江戸川乱歩の作品のオマージュではあるが、内容はオリジナル。 [椅子? 人間!](元作品「人間椅子」)人気女流作家にメールで付きまとうストーカーは元パートナ…

十角館の殺人(綾辻行人 1987)

35年前に読んだが、一番大きなトリック以外ほとんど忘れてしまっていたので再読。ネタバレ注意。 1986年、大分県K**大学の推理小説研究会のメンバーが、角島(つのしま)という孤島にやってきた。ここは過去に、建築家・中村青司とその妻、および使用人の北…

葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶午 2003)

推理恋愛小説、というおじさんには耳なじみのないジャンル。久々にミステリを読んだ。ネタバレ注意。 警備やその他の仕事をしながら、それなりに女遊びもしつつ、フィットネスジムで体を鍛えることに余念がない成瀬将虎。ある日、普段つるんでいる高校生の弟…

帝国という名の記憶(2019 アーカディ・マーティーン)

ヒューゴー賞受賞と聞き、Kindleでポチった。 銀河に人類が数多進出している世界。共和国ルスエル・ステーションでは、帝国テイクスカラアンへ、若い女性の大使:マヒート・ドズマーレを派遣しようとしていた。以前の大使・イスカンダーが死んだとの報告があ…

定年物語(2024 新井素子)

「結婚物語」シリーズ。「銀婚式物語」の次に読んだ。 「結婚式物語」で若い夫婦だった陽子さんと正彦さんももう60代。正彦さんは定年後も雇用延長で働いていたが、コロナ禍に差し掛かり、陽子さんの要望もあり、会社を退職。晴れて自由の身となったた。陽子…

銀婚式物語(2011 新井素子)

新井素子の「結婚物語」から続くシリーズ。出ているのを知らずにいたのだが、なんとなくネット検索していたらたまたま目に留まり、これは読まねばなるまいと思い手に取った。 「結婚物語」から早25年。陽子さんと正彦さんは夫婦で元気に暮らしている。振り返…

デューン 砂丘の子供たち〔新訳版〕 上・下(新訳2024・初出1976)

だいぶ前にKindleでポチっていたが、やっと読み終えた。ネタバレ注意。 砂漠に消えて行った、皇帝にしてフレメンたちのムアッディブ=ポール・アトレイデ。残された妹アリアが銀河帝国の摂政として取り仕切る。しかしポールの遺児であり後継者でもある双子の…

カラフル(1998 森絵都)

ご高名はかねがね伺っていたので、機会があり手に取った。ネタバレ注意。 死んで魂となった主人公の「ぼく」は、天使・プラプラに「おめでとうございます!」と言われる。前世の罪を償うため、下界の現世に行き、人の体に乗り移って一定期間生活する「ホーム…

デューン 砂漠の救世主(新訳版)上・下(1969 新訳2023 フランク・ハーバート)

小説「デューン 砂の惑星」(新訳版)の続編。Kindleで読んだ。ネタバレ注意。 ハルコンネン男爵、および皇帝との戦いに勝利したポール・アトレイデ。彼は同時にベネ・ゲセリットが数多の世代を操作し作り上げた男性版ベネ・ゲセリットであるクイサッツ・ハ…

流浪地球(2022 劉慈欣)

2022年にKADOKAWAから出版された劉慈欣の短編集。ネタバレ注意。 流浪地球-太陽が近年中に赤色巨星となり地球軌道を飲み込むことが判明、地球地表に核融合エンジンを取り付け、地球ごと移動して新天地を目指す。表題作であり、本短編集の中で一番派手な話。…

円(2021 劉慈欣)

「三体」の劉慈欣による13編の短編集。ネタバレ注意。 1.鯨歌 鯨を運び屋に使う。2.地火 炭鉱から巨大エネルギーを取り出そうとする。3.郷村教師 過疎の村で病気になった教師、教え子たちと、宇宙間戦争を行っている知的生命体の関わり。4.繊維 細い…

旅をする木(星野道夫 1994年)

友人に借りっぱなしのまま四半世紀読まずに本棚の肥やしにしていた。久しぶりに思い出し、読んでみることにした。 中学生のころから海外への憧れがあった星野は、高校生の頃に一人で海外を旅した。大自然への思いが強く、大学はアラスカ大学を受験する。点数…

三体X 観想之宙(2011)

劉慈欣のSF三部作「三体」の熱狂的なファンだった宝樹が、二次創作としてネットに発表した小説。のちに劉慈欣の公認を経て、公式二次創作として出版された。ネタバレあり。 不治の病に侵され、脳だけの状態で三体世界へ送り出された雲天明。三体世界では取り…

1日1分で腹が凹む(2019 植森美緒)

中年以降の男性諸氏であれば高確率でポッコリお腹に悩んでいることであろう。僕もそうである。それなりに毎日ウォーキングし、食事制限して、筋トレもまあまあ行っており、他の部位はそこそこ絞れてきているのに、お腹だけポッコリしてしまい凹まない。なん…

プロジェクト・ヘイル・メアリー(2021 アンディ・ウィアー)

「火星の人」のアンディ・ウィアーのSF小説三作目。がっつりネタバレしているので未読の方はご注意を。 主人公は宇宙船の中で目覚める。しかし自分が何者なのか、どうして宇宙船の中にいるのか、記憶がない。傍らには二体の死体があり、死亡してから何年か…

愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1(佐々木良 2022)

何かで話題になっていたので気になっており、手に取った。 本作は万葉集の抜粋だが、ただ現代語訳を付けるだけではなく、今どきの若者がSNSで使う奈良弁で訳されているところがユニーク。令和奈良弁の訳、原文、原文の解釈、そして誰から誰に対して歌われた…

三体III 死神永生 下(2010 劉慈欣)

※三体III 死神永生 上(2010 劉慈欣) - 観たり読んだり備忘録 を先に読んでこちらへ来てください。ネタバレ最注意! 地球側ではその解読に成功し、地球が生存するには3つの方法があることを知る。「掩体計画」は、木星などの陰に宇宙ステーションを建造す…

三体III 死神永生 上(2010 劉慈欣)

三体三部作の第三部。あらすじがすべてネタバレなのでご注意を。 また、興に乗って書いていたら長すぎて「HatenaBlog」に受け入れてもらえなかった。何か技があるのかもしれないがよくわからないので、上巻と下巻に分けて投稿する。こちらは上巻。下巻は以下…

三体II 黒暗森林(2008 劉慈欣)

三体三部作の二作目。盛大なネタバレに注意。 前作で地球三体組織は大きな打撃を加えられ、リーダーの葉文潔は逮捕された。葉文潔は逮捕される前、娘の同級生である羅輯に、宇宙社会学の概念と、猜疑連鎖・技術爆発というキーワードをヒントとして伝えた。地…

三体(2008 劉慈欣)

中国のSF作家・劉慈欣(リウ・ツーシン)の「三体」三部作の一作目。ネタバレいっぱいするので注意。かねがねすごいという噂は聞いていたが、ドラマ化が日本でもリリースされるという話を聞いて、これは読まねばなるまいと思ったのが昨年末。ちょうどBLACK…

秘める恋、守る愛(2019 高見澤俊彦)

THE ALFEE 高見沢俊彦の小説2作目。 ミュンヘンを訪れた夫婦、直樹と有希恵。ドイツに留学している二人の娘・一恵を日本へ帰るよう説得するという目的だったが、直樹は若き頃にこの地へ留学しており、ドイツ人のアンナと恋に落ちた思い出に囚われていた。一…

音叉(2018 高見澤俊彦)

THE ALFEE 高見沢俊彦の処女小説。「特撮家族」が面白かったので読んでみた。 雅彦は親元から東京の大学に通いながら、グッド・スメルというダサい名前のバンドを組んでおり、デビューの話が持ち上がっていた。カッとなりやすく、でもいい加減な雅彦の性格も…

特撮家族(2023 高見澤俊彦)

THE ALFEEの高見沢俊彦が書いた3作目の小説。小説作者の場合は「澤」なのね。 THE ALFEEは中学生の頃から好きでずっと聞いていたが、最近は最新の音楽をチェックすること自体が億劫になり、彼らのCDも2~3年ごとに気がついた時まとめて買うくらいのペースに…

地獄の田舎暮らし(2021 柴田 剛)

生まれも育ちも現在地も結構な大都市で、ごみごみした風景にげんなりしている。どこまで行ってもアスファルトで、ちょっと高いところから見渡しても地平線まで人工物が埋まっている。コンサートや演劇、展覧会などに足しげく通うこともないし、お酒が飲めな…

いのちの車窓から(2017 星野源)

ダ・ヴィンチで連載中のエッセイの書籍化。 これまで数冊の星野源エッセイを読んだ中で、一番今の星野源というか、スターになってからの星野源の様子が垣間見れた気がする。もちろん元々の陰キャで卑屈で遠慮がちな性格も垣間見えるのだが、直接的には語られ…

同志少女よ、敵を撃て(2021 逢坂冬馬)

今年に入ってからAmazon Audibleを聴き始めた。デブ防止のために毎日行っている散歩の時、ただ黙々と歩くのに飽きてしまうので、最初は音楽を聴いていた。が、それもあっという間に飽き、次にオードリーのオールナイトニッポンをRadikoのタイムフリーやPCで…

そして生活は続く(2009 星野源)

2013年版の文庫版で読んだが、元は2009年。「よみがえる変態」と一緒に読んだ。こちらが初のエッセイ集とのことで、またしても観る順番を間違えた。こっちから読むべきだったが、致し方なし。 日々の生活がとても苦手でつまらなくて、でもそれを面白がれたら…

よみがえる変態(2019 星野源)

原題「蘇る変態」(2014)が、文庫化された際に改題とのこと。文庫で読んだ。正直、楽曲もドラマもあまり触れる機会がなく、たまにオールナイトニッポンを聞く程度の接触度合いだったのだが、オードリーの若林さんつながりで気にはなっていた。たまたま何か…

横浜駅SF(2016 柞刈湯葉)

WEB小説サイト「カクヨム」のコンテストでSF部門大賞を受賞し、カドカワBOOKSで書籍化。日本SF対象候補にもなり、話題にもなったので存在は知っていたが、当時はあまりピンとこず、今になって読みたくなって読んだ。 冬戦争と呼ばれる世界大戦から200年…

火星の人(2014 アンディ・ウィアー)

2035年の近未来。火星探査に赴いたNASAの一行。メンバーの一人である、宇宙飛行士:マーク・ワトニーは予測できないような突風を受け、パラボラの一部が腹部に刺さり吹き飛ばされた。彼を探すも見つからず、生体反応も見受けられなかったことから、残るメン…