テレビ初放映を見た。ネタバレしかしないので注意。
東京在住の少年、眞人は、病院の火事で母親・ヒサコを亡くしてしまう。
ほどなくして父親が母の妹・夏子と再婚し、その実家へ、父の稼業の工場とともに疎開する。
大きなお屋敷にはお手伝いのばあやたちが何人もいて、異様な雰囲気を醸していた。
転校先の学校でガキ大将にいじめられ、喧嘩をしてボロボロになる眞人。
ふと思い立ち、帰り道に自分の手で石を頭に打ち付け、血をダラダラ流して帰宅。
激高して「仇を打ってやるから本当のことを言いなさい」という父に「転んだだけです」と言い訳するが、思った以上に傷は深く、医者に患部の髪の毛を剃られ、手当てされる。
眞人の周りには「覗き屋の青サギ」と呼ばれている鷺がいつもウロウロしており、明らかに知性がある風で眞人に絡んでくる。
青サギを倒そうと木刀で立ち向かうが粉々にされる。
そこは変わり者の大叔父が建てた塔であった。
青サギを倒すべく弓矢を自作して試し打ちしていた眞人は、矢羽根に青サギの羽を使い、まっすぐ飛ぶように調整していたが、そこでヒサコが眞人のために残した本「君たちはどう生きるか」を見つけ、読みふけり涙を流す。
そこへ夏子がいなくなったとばあやたちが一斉に捜索しているのを見る。
そういえばお昼に夏子らしき人が森の奥へ歩いていくのを観ていた眞人は、夏子が消えた森へ、ばあやの一人キリコと探しに行く。
そこで例の塔があり、青サギの声で誘われた眞人は嫌がる霧子とともに中に踏み入っていき、青サギと戦い下の世界へ落とされていく。
下の世界では海と草原が広がる異世界であった。そこでペリカンの大群に襲われた眞人は、偉丈夫な漁師の女性に助けられ、家に招かれて巨大魚をさばくのを手伝う。
そこでワラワラが昇天する様子や、それを食うペリカン、ペリカンを焼くためにワラワラもろとも花火でそれらを焼き焦がすヒミの存在を見る。
夏子を探すため、キリコのもとを去った眞人と青サギ。眞人が矢で空けた青サギの上くちばしの穴を、木を削って埋めてやった眞人は、復活した青サギの飛行能力を使い、旅を進める。
ヒミを救うにはあそこの鍛冶屋に入らなければならないという青サギ。しかしそこは大量のカラフルで大きなインコたちが守っていた。
危うくインコたちに食べられそうになった眞人であったが、ヒミの日の力で助けられ、ヒミの家で食事をふるまわれる。
ヒミに案内され、夏子のいる産屋の間に入り、一緒に帰ろうと言う眞人。しかし夏子に激しく拒絶され、インコの大群に取られられてしまう。
夢の中でこの塔を作った大叔父に会い、「この世界を継いでほしい」と言われる。
ヒミはインコ大王に捕らえられていた。インコ大王はヒミを出汁に使い、この世界を作った眞人の大叔父に会いに行った。
青サギに救出され、そのあとをつけていった眞人は、大叔父から「この世界を継いでほしい」と言われる・・・
ストーリーはほぼないと言ってよい。
観念的な世界が脈絡もなく続いていて、登場人物たちのセリフや行動も終始一貫していない。
冒頭から、「母の病院が火事」という情報はあるものの、実際はどうだったかは描写されないし、眞人は唐突に石を頭にぶつける。
青サギは中にハゲのおっさんが入っているし、ばあやたちは異様にキモい。
それらがどういうことなのか、彼ら彼女らは本当は何なのか、一切説明はなく、その答えは自分で感じろ、「Don't think. Feel…」ということなのだろう。
宮崎駿がそもそも理解されることを拒否しているというか、理解するのはいいけどこっちから手助けはしないよ、というスタンスを取っている感じ。
作品がわかりやすくなるようなサービスやネットの考察など、視聴者本人が観て感じて考えることを辞めてしまっている昨今のエンタメ事情に辟易していることへの主張であるように見える。
眞人は現実世界で、母を火事で失い、戦争で疎開し、いつの間にか叔母が新しい母になり、母のお腹には子が宿っており、新しい学校へ通わねばならず、と心の準備ができないままに新しい環境への適応を余儀なくさせられるが、そう簡単にはなじんでやらないぞという子供ならではのまっすぐな拒否と意固地の意志を持っている。
自分の事を理解してくれないし、自分も人のことなんか理解しない、と頑なになっている心に楔を打ち付けたのが塔の存在であり、好むと好まざるにかかわらず、人は世界とコミュニケーションしていかなければならない、そしてそれは案外いいものだということを塔の観念世界が眞人へ伝えているようだ。
原作の「君たちはどう生きるか」を読んでいないので、その辺を宮崎駿が伝えたかったのかどうかはわからないのだが、僕はそう感じた。
きっとこの映画はそれでいいのだろう、と思う。
過去のジブリ作品のオマージュなのかパロディなのか、「これと似たシーンを観たことがあるなぁ」というシーンが随所にある。トトロとかハウルとか千と千尋とかカリオストロとか・・・
その世界について大叔父が「この世界を継いでほしい」と言い、眞人が断り、大叔父と共に世界が崩壊する。あまりにもベタなので触れるのも野暮だが、「自分のジブリ作品なんか大したことないのだから、これから若い人たちがもっといいのを作れや!」ということであろう。
しかし、正直に言わせてもらうと、説教臭いよな~。
あと、父親役のキムタクの演技が相変わらずキムタクで、子を理解しているつもりでまるで理解できていない父の描写として案外ハマっていたのが笑ってしまった。一貫して難解な世界観に、ある意味一石を投じていた。
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