観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

エキストラ・バージン -世界一のオリーブオイル-(2019)

オリーブオイルに関するドキュメンタリー映画。Huluで見たがAmazonでもプライム公開されている。
そんなに詳しくはないがオリーブオイルは大好きで、パンを食べる時は必ずつけるしアヒージョもよく食べるので、前から興味は持っていた。

スペインのアンダルシア州ハエンは、オリーブオイル生産高世界一を誇っている。
この地域は古代フェニキア人によってオリーブが伝えられ、ローマ帝国へ属領としての税金としてオリーブオイルを収めており、大きな甕に入れて遠くローマまで運搬されていた。
当時は甕は非常に安価で持ち帰る手間賃の方がかさんだため、すべて現地で廃棄されており、その跡は貴重な遺跡になっている。
1000年以上の歴史を持つオリーブオイルの産出地ではあるが、長年の間この地のオリーブオイルで優先されたのは「量」であり、どれだけの量を生産できたかで関係者の懐が潤うかどうかが決まっていた。
現在ではオリーブオイルと言えば便で売られているが、つい20年前まではプラスチックのボトルに入れて売られており、それほど価値の高くないオイルの一種類としての地位しかなかった。
しかし、ハエンの若い生産者を中心として、ピクアル種という種類のオリーブを使い、質にこだわった究極のオリーブオイルを生み出していった。
また、料理界や流通業界もこの試みから食文化の広がりと価値の向上を追いかけるようになっていった。

イメージ的にはやはりオリーブオイルと言えばイタリアだと思うが、スペインのハエンが生産量世界一なのは全く知らなかった。
また、以前読んだピーター・メイルの「南仏プロヴァンスの12カ月」でも取り上げられていたので、フランスでも作られているんだろうなくらいの知識しかもっていなかった。
ハエンでは6千万本のオリーブの木が植えられているそうな。とてつもない量である。
映像で観ても見渡す限り全部オリーブの木で、山も谷も全部オリーブ。なんというか異世界な風景であった。
生産されるうちほとんどが、最高品質のエクストラ・バージン、およびその次の品質のバージンになる。それ以外はランパンナと呼ばれ、食用には適さず灯り用の油として用いられたとのこと。
ランプ用の油ということでランパンナ。なるほど~。
オリーブの実が緑だったり黒だったりするのが以前から謎だったが、その点も説明されていた。黒は完熟の色で、従来はこの状態になった実を急いで収穫し、絞っていたとのこと。
しかし最近になって、この完熟の前の状態、まだ色は緑だが熟す直前の身を収穫する方が、劣化が遅く、味も十分に良くなっていることが分かったそうな。
劣化が遅いということはそれだけ作業に時間がかけられるということで、より商業ベースに乗せやすくなる。大規模農園に適した収穫方法なのだろう。
本作では生産者や加工工場の人などが、皆真剣かつ楽しそうにオリーブ栽培にかかわっており、観ていて非常にうらやましくなった。これだけ生涯の情熱を注ぎこめる仕事ってなかなかないよなぁ。
そしてその成果として、あのおいしそうな最高品質のオリーブオイルができるなんて素敵すぎる。
このピクアル種のオリーブオイル、一度も食べたことはないが(食べたとしても気づいていないが)、一度手に取って、バゲットにたっぷりつけて食べてみたい。

www.hulu.jp

エキストラ・バージン -世界一のオリーブオイル-(字幕版)

エキストラ・バージン -世界一のオリーブオイル-(字幕版)

  • スペイン・アンダルシアのオリーブ農家たち
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