観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

シン・ウルトラマン(2022)

言わずと知れた庵野秀明監督作品。アマプラで観た。ネタバレ注意。

なぜか日本にしか現れない未知の生物「禍威獣」(かいじゅう)。通常の戦争兵器は彼らには聞かず、対応に苦慮した日本政府は、それぞれの道の専門家たちを集め、禍特対(カトクタイ)を設立。禍威獣への対策に追われていた。
その中で突如あらわれた銀色の巨人。正体不明の巨人は禍威獣を倒し、飛び去って行った。
新たに禍特対に配属された浅見は、銀色の巨人対策をメインに、禍特対のメンバーである神永とバディを組むことになった。しかし、神永は意味不明な質問を繰り返した後、禍特対メンバーの前から姿を消した。
その頃、外星人であるザラブ星人が日本政府と接触し、日本に限りなく不平等な条約を締結する。そしてニセウルトラマンを用い、ウルトラマンの立場を危うくしようと画策する。
そしてウルトラマンの変身体であることが世の中にバレてしまった神永は姿をくらます。
その後、別の外星人であるメフィラスが登場、浅見を巨大化させ、またしても日本政府と交渉し、ウルトラマンにも手を出すなと警告に来る・・・

正直、ウルトラマンはオンタイムでは見ていないのと、そこまで入れ込んでもいなかったので、本作にまつわる元ネタがあまりわからないまま見た。
ウルトラQへのオマージュや、当時の子供向け雑誌に出ていた嘘情報「ゾーフィ(元はゾフィー)が現れ、ゼットンを地球にけしかける」をそのまま盛り込んだりとか、コアなオタクの抜かりないインサートが随所にみられるようで、それを知っていたら面白さももっと強かったのかもしれない。
しかし、個人的にはとにもかくにも、最初に出てきたウルトラマンがあまりにもリトルグレイっぽすぎてひたすら気持ち悪い。もうほんとにグレイ大嫌いなので、やめてくれ~!と叫びたくなる。
当時、矢追純一のUFOスペシャル的なテレビ番組が人気を博しており、その影響を受けまくってしまい、お化けも幽霊も全く怖くないのに、宇宙人だけは、その中でもグレイ系は本能から恐怖を覚える。UFOに連れていかれてグレイがワラワラと群がってきて、体の中に何かをインプラントされる的なことを想像するだけで気がふれそうな気分である。
もちろんそういうのを敢えて想起させる目的があのデザインにあったのかもしれないが・・・。
その後、人の意思が入り込むことを表すかのように、血管的に赤のデザインが入って従来のウルトラマンらしい見かけになった時はホッとした。
アクションはCGだが、違和感なく作りこまれていて、大変な迫力。
当時は着ぐるみしか選択肢がなかったわけだが、敢えてその懐古趣味に浸らずに妥協しない姿勢が感じられてとてもよかった。

従来はあまり触れられなかったベータカプセルが技術力の象徴としてストーリーに取り上げられていたのも印象的。ちょっと「正解するカド」っぽかったけど。

また、ウルトラマンの意識と、変身体となる人間の意識の交流については、元の方ではかなりあいまいに都合よく描かれていたが、本作では人間・神永の意識はほぼなく、ウルトラマンオンリーで(記憶は神永のものを使えるらしいが)行動している。そのパターンもあるとは思うが、二つの意識が顕在で、相互に協力してほしかった。もちろんその方がダサいのはわかっているけれども。

あと、メフィラスは相当知的で策謀家として描かれているのに、最後いろいろうまくいかないと、結局は巨大化してウルトラマンと肉弾戦になるのね。まあ元作がそうだから仕方がないけど、知性が感じられない解決法だなぁ。もうちょっとスマートに撤退する方法があったと思うが、みんなもちろんアクションが見たくてウルトラマンを観ているので、そこはもう予定調和ということで。

それにしても日本政府は本当にだらしなく描かれている。もちろん実在の政府に対する当てこすりであり、現実の日本外交を皮肉っているわけで、だいたいこんなもんだよなぁという諦めの念が湧いてしまう。
最後は日本もちょっと頑張っていたけど。現実でもそうあってほしいものだ。