観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

用心棒(1961)

元旦のBS映画でやっていたのを撮り貯めしていた。ネタバレ注意。

刀を携えた一人の浪人が、宿場町・馬目宿へやってきた。この町では二つのヤクザの勢力がしのぎを削っていることを飲み屋の権爺に聞いた浪人は、酒代の代わりにこの町を平和にすると嘯く。
丑寅の子分を挑発して、瞬く間に3人を切り捨てた浪人は、請われるまま対抗勢力の清兵衛一家へ足を向ける。そこで名を尋ねられた浪人は、窓の外の桑畑を眺めながら「桑畑三十郎、いやもうすぐ四十郎だがな」と堂々と偽名を名乗る。
丑寅との決着をつけるために三十郎を雇い入れた丑寅だったが、払う報酬惜しさにあとで殺す算段をしていたことが三十郎にばれる。三十郎は決戦の場において報酬を地面にたたきつけ、自分は降りると宣言して火の見やぐらにあがり、両者の戦いを見物するのだった。
そこへ見回りの役人がやってくることがわかり、一時休戦となる。
丑寅は役人を追い払うため隣町で殺人事件を起こし、さらには清兵衛たちとの手打ちをすすめる。思惑が外れた三十郎は、殺人事件の下手人を探して清兵衛に売りつける。
お互いに人質を取ったり取られたりした挙句、清兵衛がとった人質おぬいとその家族を不憫に思った三十郎は、おぬいを警護していた清兵衛の手下をあっという間に切り伏せ、お縫いとその家族に金を握らせ逃がす。
それが丑寅一家にばれ、三十郎は捕らえられひどい拷問を受けボロボロになる。逃げ延びて権爺に助けられた清兵衛は、町はずれの墓地にあるお堂で体力を回復させる。
清兵衛一家が三十郎を匿っていると誤認した丑寅一家は清兵衛一家を焼き討ちにして皆殺しにする。
体力の回復した三十郎は事の次第を知り、丑寅一家との戦いに赴くのだった・・・

桑畑三十郎を演じる主演の三船敏郎がとにかくかっこよくて、男の色気を感じる。この時三船敏郎は41歳だが、同じ年の頃、僕自身ががどれだけみすぼらしかったかを考えると驚異的である。これだけの魅力あふれるキャラクターが成立しているのは、三船敏郎自身のポテンシャルに加え、黒澤明の演出によるものであろう。登場人物たちが荒々しくぶっきらぼうでありながら、舞台っぽい演出で楽しく面白く観ていられる。
また、テレビ時代劇にありがちな、チャンバラの音が特に入っていないのは逆に好感が持てた。あれがあると様式美・お約束過ぎて萎える。
やはり今の時代と比べると登場人物が圧倒的におっさんだらけなのだが、この時代の主役はおっさんだったのだなぁと改めて思う。今は若者文化がメインであるように感じるが、それもまたおっさんの僻みであろう。
初めて観た黒澤映画だったが、面白かった。機会があれば別の作品も観てみたい。