観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

少林寺(1982)

気がついたらPrimeVideoにあった、昔ほんとに好きだった映画。さっそく観た。

中国・隋朝末期。東都では帝王を自称するワン将軍が暴政の限りを尽くし、人々が虐げられていた。武術家・張は仲間を救おうと将軍たちに立ち向かうが、多勢に無勢、叩きのめされる。
張は殺される寸前に息子・小虎を逃がす。小虎は満身創痍になりながら少林寺にたどり着き、気を失う。
少林寺では猛威を振るうワン将軍と因縁がありそうな者を受け入れるのに難色を示す高僧もいたが、受け入れられ、名を「覚遠」に変え、タン師匠の下で少林拳を学ぶ。
少林寺付近の山の中で知り合った美しい少女・白無瑕の飼っていた犬を不注意で死なせてしまい、彼女の怒りを買うが、その中で白無瑕がタン師匠の実の娘であることを知り、二人は徐々に惹かれあっていく。
白無瑕が羊を放牧しているところに、ワン将軍の手下が現れ、彼女は拉致される。それを追って現れた覚遠はワン将軍と一騎打ちを演じるが、すんでのところで造園が現れ、白無瑕と逃亡する。その際同様にワン将軍から追われていたリー将軍を助ける。
リー将軍を助けたことで、ワン将軍たちと少林寺の武僧たちの戦いが始まった・・・

冒頭の、日本の少林寺拳法やその創始者宗道臣との交流のあたり、まったく見覚えがない。これを見たのは中学生くらいの頃でテレビ放映されていたものだったので、ひょっとしたら当時はカットされていたのかな?
そして今なら絶対に映像化しないであろう、知り合ったばかりの女の子の飼い犬を、不注意で死なせてしまったとはいえ「もったいない」と丸焼きにして、女の子の父親である師匠やその教え子たちとみんなでワイワイニコニコしながら食べるシーンが、なかなか壮絶。物騒な仏僧たちである。
この「少林寺」という作品で一番の見どころは、主人公以外にも多くの僧が様々な中国武術、当時で言うカンフーの達人である点にあったが、演者自体がみなそれぞれ実際にその武術の熟達者で、完全スタントなしというところも売り物で、当時も話題になっていた。いわゆる拳を武器にして戦う少林拳以外に、刀術や槍術、棒術、縄鏢術などの美しい武技の数々は、今見てもウットリしてしまう。ほんとかっこいいなぁ~!
主演のリー・リンチェイ英語圏へは「ジェット」で売り出しており、それが「ジェット・リー」という後年の名前になっている)も中国武術大会で連続優勝していたことが売りで、その達人の技をいかんなく発揮している。
ただ、本作でもう一つ興味深いのは、本来であれば争いごとや殺生に一番遠いはずの仏の僧が日々武術の鍛錬を行い、殺人技を高めているというその点にある。僧として厳しい修行を行うことと、武術家として鍛錬を行うこと、一見すると遠いところにありそうな両者が一体化しているのが妙にマッチして説得力があるのだが、よく考えるととんでもない話である。その禁断の修行と鍛錬の昇華として少林寺が存在するというのがワクワクの源泉なのかもしれない。
いろいろな武術が出てくる中で、酔拳だけ異彩を放っている。作中では酔拳使いの僧・色空以外にワン将軍も使ってるし、それと戦う覚遠も酔拳で対抗している。そんなに強いのこれ? 初出はジャッキー・チェンの「酔拳」の方が先だが、酔拳自体は中国では以前から存在した拳法で、様々な伝説があるとのことなので、その少林拳バージョンということなのだろう。

それにしても主演のリー・リンチェイの笑顔がキラキラまぶしいこと。やはりスターは笑顔が違うわ。