タローの乙女<クラスター・サーガ②> ピアズ・アンソニイ

クラスター・サーガの第二巻。おもいきりネタバレです。

前作「キルリアンの戦士」のエピローグで、フリントとアンドロメダの刺客は、体中が楽器となっていて音楽により会話をするミンタカ人に転移し、そこで子供を産んでおり、そこから千年後、再びアンドロメダからの脅威に対抗すべく、彼らの子孫であるミンタカのメロディが選ばれるくだりまで触れられていた。メロディのオーラは223。ミンタカの尺度ではもう中年に達する気性の激しい女性である。

今回は、前作から千年後、アンドロメダが宿主強制法を開発、天の川銀河の主要な政府や役所の高官に強制転移を行い、内部から崩壊させることをたくらんでいた。

それが発覚し、決定権を持つ高位の人間に知らせないように、キルリアン分析でお互いが強制転移されていないと判断した中級将校たちが、その時点において天の川中でもっともオーラが高い、ミンタカのメロディを呼び寄せたのだった。

このころは宿主も職業となっており、主要惑星には必ず多くの宿主が常駐しており、それらの権利は宿主協会が保護していた。その中でソル人の若い美女に転移したメロディは、宿主の意識と会話し、助けられながら、ソル星圏宇宙艦隊の旗艦へ向かう。この艦隊がその気になれば、一つの星圏をあっとい午に壊滅させることができるからである。

乗り込んだメロディは、その肉体的魅力を駆使しながら乗組員に接近し、タローカードによって彼らが強制転移された「人質」かどうか見極めていく・・・。

そして、自分の艦だけでなく、各星団の艦隊旗艦それぞれの上位者数人が全て乗っ取られていることが判明し、転移による捨て身の作戦を始めるのだった・・・

今回の主人公、ミンタカのメロディはタローカードを半ば専門に研究している学者でもあり、前作以上にタローの存在が重要なファクターとなっている。また、メロディ自身が結婚をしていないオールドミスであり(ただ、ミンタカ人女性は一度結婚をすると男性に性転換してしまうのだが)、宿主が無邪気で知性の高くないソル人美女という組み合わせから、「交配」に関するコンプレックスが浮き彫りになっており、この辺も前作と変わらず。

最終的には、やはり古代種が残した遺跡がキーとなっており、完全なキルリアン文化を築いたと思われる古代種のエネルギー制御法を発見すべく、敵のアンドロメダ銀河へ転移し、クライマックスを迎えるのだが、これがまた途方もない終わり方で、許されるぎりぎりの範囲か、もしくはちょっとアウトだろう。

まあでも、面白いのでよし。