オーラの王者<クラスター・サーガ③> ピアズ・アンソニイ 1978

クラスター・サーガの最終巻。

今回の主人公は、一巻でフリントを狙う暗殺者であり、最終的には結ばれた斜線人の末裔。彼は時代を通して銀河最高の236という高いオーラの持ち主で、それを生かした職業から「癒し手ヘラルド」とも呼ばれている。前作「タローの乙女」でアンドロメダを裏切った斜線人リューメの行為により、その当時から千年がたとうとしているのに、未だ両銀河からは蔑まれている星圏でもある。自星圏の汚名をすすがせたまえと祈った遠祖リューメに答えるべく、ヘラルドは孤軍奮闘する。

今回は前作から更に千年たっており、天の川、アンドロメダ以外にも近くの銀河と連合し、大きな知性体の銀河団を形成していた。そこを狙う膨大な数の艦隊。彼らは物質転送によって艦隊を次々と高速移動させ、この銀河団へ接近していたのであった。

一方、ヘラルドは自らのオーラで傷ついたオーラを持つ者を癒すことを職業とし、その依頼の一つとして砦星のソル人ケイド伯爵の娘プシュケの「憑依」現象を治す依頼を受け、転移した。彼女の母親もその「憑依」によって人格が変貌し、悪女となって死んでいたことにより、娘にも同様の現象が起きたと憂慮されていたのであった。しかしそこでプシュケが憑依ではなくあるきっかけによってオーラが最高300近くまで上昇する特異体質であることがわかり、その後二人は恋に落ち、結婚する。

しかしあくまでもプシュケが憑依されているとするこの星の皇太子たちは、ケイド伯爵領へ軍を進め、戦争が起きる。その結果、プシュケは火あぶりとなり、それがきっかけでケイド伯爵館の地下にあった古代種遺跡が爆発することになった。

この現象から、プシュケが古代種遺跡とリンクしていたこと、プシュケ自身のオーラはどこかの古代種遺跡で生きていることを確信したヘラルドは、プシュケのため、銀河アメーバを攻略する方法を見つけるため、自分のクライアントであった高オーラの持ち主、ウィーウ人のホウィーと共に生きている遺跡を探す旅に出るのであった・・・

最終的には、ヘラルドが銀河政府から半ば強制的に交配を指示されていた炎星の「竈」の協力を得て、宇宙アメーバの知性体の正体をあばくのだが、そこに至るまでにはまたしてもタローの力を活用している。投影によってタローの始祖であるパウロ修道士、ミンタカのメロディ、さいはてのフリントの力をも借りることになって、三部作の集大成の趣が強い。

しかしこのヘラルド、高オーラの持ち主とはいえもてすぎ。この世界では高オーラの者は高オーラに惹かれる設定になっているとはいえ、回転する刃のボディをもつ斜線人とソル人(いわゆる地球人)で結ばれるというのは(物理的にはヘラルドはソル人の宿主に入っているわけだが)、なかなか強引な設定。

とはいえ、その辺には疑問を持つ余地を与えず、物語が疾走する感覚はさすがピアズ・アンソニイ。番外編としてタローを創始したパウロ修道士の話もあるらしいが、訳されているのかな?