連帯惑星ピザンの危機 クラッシャージョウ・シリーズ (1977 高千穂遥)

 中高生の頃、夢中になって読んだシリーズ第一作にして、作者である高千穂遥のデビュー作。

22世紀、人類はその版図を宇宙へと伸ばしていた。数多の惑星にテラフォーミング(惑星を人が住めるような環境に改造すること)が行われ、人類が移民していき、8000にも及ぶ独立国家による銀河連合を形成していた。
新しい国が次々と作られる際に重用されたのが何でも屋である「クラッシャー」。かれらは宇宙船を駆り、チームで依頼を引き受けて、惑星改造からトラブルシューターまで何でもこなす宇宙の荒くれ者である。
その中でもトップクラスの実力を持つクラッシャー・ジョウとそのチームは、反乱の起こった惑星ピザンの王女から依頼を引き受けて向かうことになった・・・

この「クラッシャー」という概念がとにかくかっこいい。自分の宇宙船を持ち、そこで生活しながら、何でも屋として宇宙をまたにかけて疾駆する。元々はテラフォーミングが主な仕事で、それがもとで壊し屋=クラッシャーと呼ばれるようになったが、危険な宇宙空間で様々な作業を行う、各分野の高度な専門知識を身に着けた宇宙のエリート集団であるとも言える。
ジョウの父親であるクラッシャー・ダンがこの「クラッシャー」という概念を創出し、現在は引退してクラッシャー評議会の議長である。ジョウは反発しているが、いくつかのエピソードではダンの手の平の上で転がされている様子が垣間見える。

クラッシャーは「クラッシュジャケット」という制服のようなスーツを身に着けている。各メンバーごとに色違いを着ていて視認性を高めている。ヘルメットをかぶれば簡易宇宙服になる気密性を保ち、防弾耐熱など耐衝撃性能が高く、胸のボタンは引きちぎって投げれば閃光弾になったりと様々なギミックが隠されているあたりが非常にワクワクさせる。また、胸についている流星のマークがクラッシャーのシンボルとされている。
ジョウたちの宇宙船は飛行機型で大気圏航行能力があり、戦闘力もあるミネルヴァ号。普段は船内で生活しており、依頼を受けるとそのまま飛び立っていく。

クラッシャーは多くのチームが存在しているが、ジョウのチームはその中でもトップクラスのレベルである。ジョウはまだ19歳なのだが、まだ幼児の頃から父ダンの仕事を手伝っており、クラッシャーの仕事に習熟したという設定。頭文字Dみたいだ。もちろんそっちの方が後の作品だが。

そして表紙の安彦良和の絵がとにかくかっこいい。今でこそラノベと言えば小説以上に絵師の力で売れ行きが左右されるのが当たり前の世の中になったが、絵で見せる小説の先駆と言えるであろう。

中高生の頃にこのシリーズをむさぼるように読んでいたが、当時はまだライトノベルという呼称がなく、ジュブナイル小説と言っていた。その中でも群を抜いたカッコよさで厨二心をくすぐったものだった。
高千穂遥のもう一つのシリーズであるダーティーペアは、このクラッシャーの時代より少し前の時代で、まだ宇宙がフロンティアだったころを描いているのだが、「ドルロイの嵐」で、ダーティーペアのエージェント、ケイとユリが、クラッシャーダンのチームと共闘する様子が描かれており、非常に胸熱であった。
当時はソノラマ文庫で読んでいたのを覚えているが、11巻以降はハヤカワ文庫で続刊。まだ全部読んでいないので、読みつつ順次別巻もここで取り上げていきたい。