観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2023)

アマプラでトップページに出ていたので観た。テレビ版は一切見ていない。

東京都直轄の、大型車で救命室を丸ごと移動して救命活動を行う組織TOKYO MER。
チーフドクター・喜多見の熱血過ぎる方針によって、関係各所から批判と波紋を呼びつつ、今日も精力的に活動を続けている。
横浜ランドマークタワーで火災が発生。TOKYO MERにも出動指示が下る。
しかし、そこには厚労省直轄のエリート集団、YOKOHAMA MERのメンバーも駆けつけており、協同活動を申し出る喜多見に対し、YOKOHAMA MERのリーダー鴨居チーフはそれを拒否する。
救命活動の方針にも意見の食い違いがあり、現場へ急行するべきと主張する喜多見に対し、医師が危険を冒してはならないとする鴨居。
そんな中、爆発は連鎖的に上層階へ向かい、最上階の避難者の中に重傷者が出始める。更には喜多見の妻・千晶が身重の体で最上階に取り残されていることが判明。TOKYO MERは東京消防庁のレスキュー隊と共に徒歩で階段を上がり、途中の火災を乗り越えて、最上階にたどり着く。
救護活動を行った後、重傷者をタンカで抱え、避難者と共に階段を降り避難を開始するが、途中で火災・爆発が発生し、喜多見と千晶が取り残される・・・

とにかく映像がすごい。横浜出身なのでランドマークタワーにはなじみがあり、ここはこうなっていたのか的な裏側がいっぱい見られてありがたく、それ以上にCGやセットを駆使した火災現場の迫力が満点。
そしてトレーラー型の救命室がとにかくスケールが大きくて、オープニングでいきなり走行しながらオペをやってしまうシーンから始まるので、グッと心を掴まれてしまった。これはすごそうだ~!
そしてその期待は裏切られることなく、怒涛のストーリー展開が続いて飽きさせず、最後まで疾走感が途切れないのは見ごたえがあった。
ただ、テレビシリーズを観ていないというハンデがいかんともしがたい。もちろん見ていなかった僕が悪いのだが。
映画だけだと喜多見さんがいつも「ですよね!」とニコニコしつつどうにも身勝手な行動で周りに迷惑をかけているように見えてしまう。
時々佐藤栞ちゃんの「亡くなった妹」シーンが入り、おそらくそのエピソードが喜多見さんの行動原理なのだと推測はされるが、短いシーンなので他人事感が否めない。テレビ見ていたら共感度が高いのだろうなぁ。
また、鴨居さんが非協力的過ぎて辛かった。もうちょっと大人の連携してほしかったな~。
ただ、やはり杏さんは美人できりっとしていて、リーダー然としていてとてもよかった。
喜多見さんの再婚相手である千晶こと仲里依紗がまた気が強くて、喜多見さんを尻に敷きまくっているのだが、医師同士の結婚となると「仕事が大変なんだよ」という言い訳も通用しないわけで、仕事に耽溺しがちな喜多見さんとしてはやりづらそうであり、またそれが見どころでもある。ググったらこの二人、離婚して再婚しているのか。味わい深いですなぁ。
クライマックスで千晶が喜多見へ行う提案はエグすぎると思った。魅せるな~。
並列して政治的な駆け引きが盛り込まれているのも興味深い。クールで熱い音羽賀来賢人や、裏でコソコソと糸を引く久我山=鶴見慎吾がいい味を出している。石田ゆり子都知事はちゃんとかわいさも盛り込んでおりよかった。

 

劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト(2003)

もちろん今まで何度も何度も観ているが、Vシネクスト「仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド」のプロモーションとして、Youtubeで期間限定公開されているのでまた観てしまった。盛大なネタバレあり。

世界は、人類の進化系であるオルフェノクの組織、スマートブレインが支配していた。わずかに生き残った人々は人類解放軍を結成し、この状況を打開しようと、スマートブレインが保有ファイズ以上の力を持つとされる「帝王のベルト」を奪取しようと画策するが、圧倒的劣勢により失敗に終わる。
解放軍の象徴となっている園田真理は、仲間やカイザのベルトを持つ草加雅人からたしなめられながらも、オルフェノクにとらえられたまま行方知れずの救世主:ファイズ=乾巧の帰還を信じていた。
真理は荒んだ人々の心を慰めようと仮面舞踏会を企画するが、その直後、オルフェノク側の量産型ライダー・ライトトルーパーや、2本ある帝王のベルトの1本であるサイガ=レオの猛攻を受け、人類解放軍は草加を始め多くの人間が命を落とす。
自分以外誰もいない仮面舞踏会の会場に立ち尽くす真理の元へ、一人の男性が姿を現し、二人はダンスを踊る。
そこにライオトルーパーの一群が現れる。男性の仮面が取れると、彼は乾巧であった。巧は一時的に記憶を失い、別の記憶を刷り込まれて、町はずれに住むミナと靴職人としてひっそり暮らしていたが、激しい戦いに巻き込まれ記憶を取り戻し、真理からファイズのベルトを受け取った巧はオルフェノクたちを退ける。
解放軍の味方である三人のオルフェノク、木場勇治・長田結花・海堂直也は、人々に根強く残るオルフェノクへの不信感に悩みながら、スマートブレインへ潜入し帝王のベルトの奪取を試みる。しかし結花と海堂は倒され、木場はスマートブレインによる情報操作で人類に絶望する。
サイガによって真理をさらわれた巧は、真理を取り戻すために一人スマートブレインへ乗り込む。そこはオルフェノクの大観衆が迎える闘技場であった・・・

とにもかくにも本作の見どころはたっくんこと乾巧が実はウルフオルフェノクであった、という点であろう。テレビ放映よりも先にこの事実が公開されたため、ファンは大いにどよめき「嘘だろ・・・?」状態になったものである。
当時は劇場版をいち早く観ようという気概はなく、円盤化したら観ようくらいで構えていたのと、特にネットでもこの辺の話題を拾っていなかったので、テレビ放映されるまでこの事実には気がつかず、とある日曜の朝に「え~~~っ!」と大変驚いた。
当時の職場に一人だけライダー好きの先輩がおり、翌月曜にこの話でもちきりになったのを覚えている。
本作はとにかくスケールが大きい。最後の大観衆は1万人のエキストラであり、一般応募に当選した方々が実際にさいたまスーパーアリーナを埋めている。
非常にうらやましく、応募しておけばよかったと悔やまれることしきりである。
このエキストラの方々演じる1万人のオルフェノクに囲まれた、絶体絶命のファイズと真理、というシチュエーションにシビレる。
ライオトルーパーも山ほど出てくる。量産型ライダーとはいえ、これだけ大人数のライダーが出てくることはなかなかなく、しかもほぼ全員バイクに乗って現れるので大迫力である。
また、闘技場に出てくる敵、エラスモテリウムオルフェノクは全長15mの超大型オルフェノク。ほんとに人間態から変化したのかこいつ・・・
解放軍のアジトは小山ゆうえんちで撮影されており、雰囲気がありつつファンタジックにできていてとてもよい。
まだ料理でブレイクする前の速水もこみちが解放軍の一員として登場するのだが、ほかの主要キャストと比べるとひと際すらっとして背が高い。改めてイケメン度の高い俳優だと思う。
サイガは初の外国人仮面ライダーとしてそこそこ話題になっていた。数少ない自力で空を飛ぶライダーでもある(マシンを使ったり、モンスターと合体するタイプは除く)。
木場役の泉政行さんは35歳で早逝されており、その姿を久々に見て切なくなった。ご存命であれば「パラダイス・リゲインド」に出られていただろう。観たかった・・・。
しかし改めて何度見てもファイズはカッコいい。歴代ライダーの中で一番デザインが好きだし、ライダーキック(クリムゾンスマッシュ)も一番素敵。何度見てもいいなぁ。

 

 

 

 

スパルタンX(1984)

当時映画館で観て、テレビ放映されるたびに観ている映画。たまたまBSでやっていたのでまた観てしまった。

スペイン・バルセロナで移動車による軽食屋を営んでいる中国人のトーマス(ジャッキー・チェン)とデヴィッド(ユン・ピョウ)。二人はパン屋の2階に下宿しており、ワゴンを改造した調理場兼屋台の「スパルタン号」で日々商売に精を出している。
心を病み精神病院に入院しているデヴィッドの父をお見舞いに訪れた二人。
デヴィッドの父はそこで知り合った女性・グロリアと恋に落ちており、会いに来た二人にグロリアを紹介する。その傍らにいるグロリアの娘・シルヴィア(ローラ・フォルネル)の美しさに二人は一目ぼれする。
しかし、夜の広場で商売をしていた二人は、娼婦として街角に立つシルヴィアを発見してしまう。シルヴィアは客から財布を摺り、二人の車へ逃げ込んできたのだった。
彼女を下宿に連れてきた二人は、怪しみながらもソファを提供して一晩泊めるが、まとまったお金はすべて盗まれていた。
シルヴィアを探し出した二人はなぜ盗みをするのかと問いただしたところ、彼女はグロリアが数年前から心を病み病院へ入ってしまったことで、生きるために何でもやってきたと話す。彼女の更生を手伝うため、二人は屋台の商売に彼女を雇い入れることにした。
太った中国人モビー(サモ・ハン・キンポー)は探偵見習だが、借金取りに追われ逃げ出した所長に代わり、探偵社を引き継ぐことになった。そこへ訪れた人探しの依頼人に応じ仕事を開始する。モビーが探しているのはグロリアとシルヴィアであった。
実はシルヴィアは伯爵の娘で、伯爵は死ぬ前にグロリアとその子に遺産を残すと遺言したが、2週間以内に弁護士の元へ出頭しなければ権利を失う。それを狙った伯爵の弟である現伯爵がグロリアとシルヴィアを拉致し出頭させないように企んでおり、二人は伯爵の手のものに攫われてしまう。三人はシルヴィアたちを救出するため、伯爵の城へ潜入するのだった。

感受性の黄金期である中学生時代にスクリーンで観た映画なので、観るたびに当時のワクワク感がよみがえってきて感慨深い。客観的にこの映画がよくできているかどうかはどうでもよく、ただただ主観的に最高に楽しくて面白い、人生ベスト3に入る作品。
オープニングで二人のモーニングルーティンから始まるが、そこからもう面白い。ちょいちょい笑い(ドアが二つある二人のそれぞれの部屋は実は間に壁がないとか、ジャッキーが木人を相手に型を1回しか決めないとか)を挟みつつ、準備運動としての二人の組手は素晴らしく、しなやかでありながら力強く、このあとの話への期待を膨らませる。
スパルタン号を屋台車として変形させるためのギミックが無駄に凝っていて楽しい。懐かしのグリーンディスプレイでワイヤーフレームで描かれる変形がかっこいい。むしろ実車の変形がいかにも手動で野暮ったく見え、それもまたよい。
バルセロナの街並みの中で二人のカンフーが冴える。異国の地であっても強くいられるというのが頼もしく、なんか嬉しい。
ジャッキー映画におけるド派手なカーアクションをこの作品で初めて観たかもしれない。高速道路の上空を飛び、大量のオレンジが詰まったトラックの中に飛び込む三菱のワゴン。ふつう無事では済まないわけだが、これをワンシーンで終わらせてさっさと次に行く潔さが素晴らしい。
しかし何と言っても注目すべきは終盤の戦いにおける、ジャッキー・チェンと、敵のギャングの一人ベニー・ユキーデとの格闘であろう。
ベニー・ユキーデはアメリカンキックボクシング(当時はマーシャルアーツと呼んでいた)の実戦経験豊富な格闘家であり、ド素人の中学生が見ても他と全然違うのが一目瞭然なくらい迫力があった。現在に至るまで、素手の格闘シーンでこれ以上のものを観たことがない。実際ジャッキー・チェンも自分の歴代のベストファイトとしてこのシーンをあげているとのこと。
当時のカンフー映画ではサモ・ハン・キンポージャッキー・チェン、ユン・ピョウが有名で人気があったが、「プロジェクトA」で三人が主演級の共演を果たして、ファンは大いに沸き、その面白さに歓喜したのをなんとなく覚えている。本作はプロジェクトA後の三人共演作品で、前作ではクールで冷たい印象の役だったユン・ピョウがお人好しでちょっとだらしなくて、でも強いという役柄を演じたのがとても好印象だった。
(あれ?「五福星」も三人共演だったっけ?と思ってwikiを見たら、「五福星」ではサモ・ハンとジャッキーがメインで出ており、ユン・ピョウは出ていたが端役だった。日本での公開は「プロジェクトA」「五福星」「スパルタンX」の順で、全て1984年に公開された)
映画は字幕で観たが、その後のテレビ放映は吹替版で観た。吹き替え版は2種類あるようだが、ジャッキー・チェン石丸博也、ユン・ピョウ=古谷徹サモ・ハン・キン・ポー=水島裕は共通。ユン・ピョウはあまり日本のテレビでの放映が多くなくそんなに印象は残ってないが、ジャッキーの石丸博也サモ・ハン水島裕は、むしろこっちの声が本物なんじゃないかと思うくらい頭に刷り込まれており、懐かしさしかない。

今回観てみて、シルヴィアの美人さ加減が改めて心に沁み渡った。昔はただ美人だと思っていたが、若い頃にしかないたおやかな美が含まれていることを、おっさんになるとしみじみ感じる。
そして今更だが、グロリアと恋に落ちたデヴィッドの父ちゃんは、そのまま順調に結婚したらグロリアの相続した遺産で悠々自適であり、デヴィッドは屋台で働かなくてもいいんじゃないか、とふと思ったが、まあ、野暮だあね。
あと、当時ファミコンゲーム「スパルタンX」を友達の家でプレイした記憶をうっすらだが思い出した。あれも楽しかったな~。

 

 

少林寺(1982)

気がついたらPrimeVideoにあった、昔ほんとに好きだった映画。さっそく観た。

中国・隋朝末期。東都では帝王を自称するワン将軍が暴政の限りを尽くし、人々が虐げられていた。武術家・張は仲間を救おうと将軍たちに立ち向かうが、多勢に無勢、叩きのめされる。
張は殺される寸前に息子・小虎を逃がす。小虎は満身創痍になりながら少林寺にたどり着き、気を失う。
少林寺では猛威を振るうワン将軍と因縁がありそうな者を受け入れるのに難色を示す高僧もいたが、受け入れられ、名を「覚遠」に変え、タン師匠の下で少林拳を学ぶ。
少林寺付近の山の中で知り合った美しい少女・白無瑕の飼っていた犬を不注意で死なせてしまい、彼女の怒りを買うが、その中で白無瑕がタン師匠の実の娘であることを知り、二人は徐々に惹かれあっていく。
白無瑕が羊を放牧しているところに、ワン将軍の手下が現れ、彼女は拉致される。それを追って現れた覚遠はワン将軍と一騎打ちを演じるが、すんでのところで造園が現れ、白無瑕と逃亡する。その際同様にワン将軍から追われていたリー将軍を助ける。
リー将軍を助けたことで、ワン将軍たちと少林寺の武僧たちの戦いが始まった・・・

冒頭の、日本の少林寺拳法やその創始者宗道臣との交流のあたり、まったく見覚えがない。これを見たのは中学生くらいの頃でテレビ放映されていたものだったので、ひょっとしたら当時はカットされていたのかな?
そして今なら絶対に映像化しないであろう、知り合ったばかりの女の子の飼い犬を、不注意で死なせてしまったとはいえ「もったいない」と丸焼きにして、女の子の父親である師匠やその教え子たちとみんなでワイワイニコニコしながら食べるシーンが、なかなか壮絶。物騒な仏僧たちである。
この「少林寺」という作品で一番の見どころは、主人公以外にも多くの僧が様々な中国武術、当時で言うカンフーの達人である点にあったが、演者自体がみなそれぞれ実際にその武術の熟達者で、完全スタントなしというところも売り物で、当時も話題になっていた。いわゆる拳を武器にして戦う少林拳以外に、刀術や槍術、棒術、縄鏢術などの美しい武技の数々は、今見てもウットリしてしまう。ほんとかっこいいなぁ~!
主演のリー・リンチェイ英語圏へは「ジェット」で売り出しており、それが「ジェット・リー」という後年の名前になっている)も中国武術大会で連続優勝していたことが売りで、その達人の技をいかんなく発揮している。
ただ、本作でもう一つ興味深いのは、本来であれば争いごとや殺生に一番遠いはずの仏の僧が日々武術の鍛錬を行い、殺人技を高めているというその点にある。僧として厳しい修行を行うことと、武術家として鍛錬を行うこと、一見すると遠いところにありそうな両者が一体化しているのが妙にマッチして説得力があるのだが、よく考えるととんでもない話である。その禁断の修行と鍛錬の昇華として少林寺が存在するというのがワクワクの源泉なのかもしれない。
いろいろな武術が出てくる中で、酔拳だけ異彩を放っている。作中では酔拳使いの僧・色空以外にワン将軍も使ってるし、それと戦う覚遠も酔拳で対抗している。そんなに強いのこれ? 初出はジャッキー・チェンの「酔拳」の方が先だが、酔拳自体は中国では以前から存在した拳法で、様々な伝説があるとのことなので、その少林拳バージョンということなのだろう。

それにしても主演のリー・リンチェイの笑顔がキラキラまぶしいこと。やはりスターは笑顔が違うわ。

 

用心棒(1961)

元旦のBS映画でやっていたのを撮り貯めしていた。ネタバレ注意。

刀を携えた一人の浪人が、宿場町・馬目宿へやってきた。この町では二つのヤクザの勢力がしのぎを削っていることを飲み屋の権爺に聞いた浪人は、酒代の代わりにこの町を平和にすると嘯く。
丑寅の子分を挑発して、瞬く間に3人を切り捨てた浪人は、請われるまま対抗勢力の清兵衛一家へ足を向ける。そこで名を尋ねられた浪人は、窓の外の桑畑を眺めながら「桑畑三十郎、いやもうすぐ四十郎だがな」と堂々と偽名を名乗る。
丑寅との決着をつけるために三十郎を雇い入れた丑寅だったが、払う報酬惜しさにあとで殺す算段をしていたことが三十郎にばれる。三十郎は決戦の場において報酬を地面にたたきつけ、自分は降りると宣言して火の見やぐらにあがり、両者の戦いを見物するのだった。
そこへ見回りの役人がやってくることがわかり、一時休戦となる。
丑寅は役人を追い払うため隣町で殺人事件を起こし、さらには清兵衛たちとの手打ちをすすめる。思惑が外れた三十郎は、殺人事件の下手人を探して清兵衛に売りつける。
お互いに人質を取ったり取られたりした挙句、清兵衛がとった人質おぬいとその家族を不憫に思った三十郎は、おぬいを警護していた清兵衛の手下をあっという間に切り伏せ、お縫いとその家族に金を握らせ逃がす。
それが丑寅一家にばれ、三十郎は捕らえられひどい拷問を受けボロボロになる。逃げ延びて権爺に助けられた清兵衛は、町はずれの墓地にあるお堂で体力を回復させる。
清兵衛一家が三十郎を匿っていると誤認した丑寅一家は清兵衛一家を焼き討ちにして皆殺しにする。
体力の回復した三十郎は事の次第を知り、丑寅一家との戦いに赴くのだった・・・

桑畑三十郎を演じる主演の三船敏郎がとにかくかっこよくて、男の色気を感じる。この時三船敏郎は41歳だが、同じ年の頃、僕自身ががどれだけみすぼらしかったかを考えると驚異的である。これだけの魅力あふれるキャラクターが成立しているのは、三船敏郎自身のポテンシャルに加え、黒澤明の演出によるものであろう。登場人物たちが荒々しくぶっきらぼうでありながら、舞台っぽい演出で楽しく面白く観ていられる。
また、テレビ時代劇にありがちな、チャンバラの音が特に入っていないのは逆に好感が持てた。あれがあると様式美・お約束過ぎて萎える。
やはり今の時代と比べると登場人物が圧倒的におっさんだらけなのだが、この時代の主役はおっさんだったのだなぁと改めて思う。今は若者文化がメインであるように感じるが、それもまたおっさんの僻みであろう。
初めて観た黒澤映画だったが、面白かった。機会があれば別の作品も観てみたい。

 

仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド(2024)

仮面ライダーを視聴してきた中で平成一期が一番好みで黄金期だったが、その中でも一番キラキラしていたのが555(ファイズ)だった。
その20年ぶりの劇場版が昨日封切られたということで、さっそく観てきた。

真理と草加、海堂、啓太郎の甥の条太郎たちは、クリーニング屋を経営しながら、オルフェノクの保護を行っていた。しかし北崎率いるスマートブレイン社は政府により企業再生され、オルフェノク撲滅のための組織と化していた。
スマートブレイン社の仮面ライダーミューズが率いるライオトルーパー軍団がオルフェノクに襲い掛かる中、草加仮面ライダーファイザとオルフェノクたちが対抗する。
両者が対峙する中、乾巧が帰ってきた。仮面ライダーネクスファイズとして・・・

まだ封切られたばかりのホヤホヤ映画なので、極力ネタバレはしたくない。
しかし、ネタに触れないと書けないことが多すぎてどうしたらよいか・・・もちろんしばらく時を置いて上映が終わり、何なら円盤の販売が開始されてから書けばよいのだが、この感動だけは残しておきたいので、無理やり書く。

巧、草加、真理の変わらなさにまず感動した。
巧=半田健人草加村上幸平はいろんなところで絡みや対談を観てきたこともあり、なじみがあったはずなのだが、555という媒体を通してみると「帰ってきた~!」感が強くて泣ける。
真理=芳賀優里亜はほかのライダーシリーズに出ていたし、牙狼にも出ていたし、他の映画等でも出演されているのは見かけていたが、やっぱり555で観ると胸が熱くなる。
海堂=唐橋充も他のライダーや戦隊で出演されていたし、奥様=水野美紀Youtubeはキングオージャー関連でよく見ていたので、出演された回もありがたく拝見していたが、この映画でも海堂節がいっぱい聞けて嬉しかった。
北崎=藤田玲は個人的にはもう既にドラゴンオルフェノクの人というより銀牙騎士絶狼の涼邑零なのだが、ちゃんと北崎君になっていてよかった。というか北崎って望っていう名前だったのね。本作で初めて名字だけではなく名前がついたとのこと。まだ幼く見えた(そう見える演技をしていた)当時と比べて、本作では敵としてだいぶ大人で抑えめな役どころ。それもまたよかった。
テレビシリーズでは数話しか出てこなかった廉価版のモブ的ライダー、ライオトルーパーの皆さんもいっぱい出ていたのはよかった。
さすがに20年たつとガラケー変身はできないということでスマホになったようだが、スマホの画面内でボタンをタッチする形に。今どきだったら事前登録した番号を呼び出すんじゃないだろうかと思ったが、あの「ぴっぴっぴ、スタンバイ」が聞けなければ555の変身じゃないわけで、苦心された様が垣間見えて滋味深い。
新ライダーのミューズはギリシャ文字の「M(ミュー)」を由来としているようで、顔がMをモチーフにしたデザインになっている。今どきなエッジが立ったデザインながら、色使いが控えめで平成に寄り添った印象で好感が持てる。
ストーリーはかなり突き抜けており、いくつかの「それ気になってた!」がきちんと描かれているのには泣きそうになった。
Vシネなので尺が65分と短いのだが、あっという間なのに満足感はいっぱい。テンポよくお話が進んだからこそであり、スタッフの皆様に御礼申し上げたい。

グランドシネマサンシャイン池袋で観たのだが、近くにあるサンシャインシティバンダイナムコ Cross Store 東京で映画と連動したイベント「仮面ライダー555 20th EVENT ~My Mission Memories~」をやっており、スーツやフィギュアが展示されていた。
朝一の上映だったので、ショップ開店と同時に入店し、人が少ない中でじっくりと観ることができたのでよかった。あ~フィギュア購入しようかなぁ。悩み中。

今日は魂の洗濯ができたなぁ。

 

www.toei-video.co.jp

不死身の保安官(1958)

正月のBSで観た西部劇映画の一つ。ネタバレ注意。

19世紀半ば、ロンドンで叔父の銃器店を手伝っていたティブスは、アメリカに販路を広げようと一人大西洋を渡った。
馬車で西部へ向かう途中、先住民に襲われるが、話せばわかると馬車を降りて先住民の一人に背後から話しかける。
肝をつぶした先住民が立て続けにまくしたてるティブスの迫力に圧倒されて勝手に降参し、ティブスは先住民を追い払うことに成功する。
目的地の町についたティブスは、全て偶然ではあるが荒くれ者たちに恐れ入らせることに成功し、町長から請われ保安官となる。また、ホテルの女主人ケイトと恋仲になる。
早速町で銃器を売ろうと町はずれの家に訪問販売へ向かうが相手にされず、たまたま付近にやってきた先住民たちに銃を売りつけようと向かうものの、あっという間に捉えられて彼らの居住地へ連れ去られる。
しかし、彼らの酋長は西部へやってきた際に降参した男であり、彼はティブスに命を救われたと思い込んでいて、ティブスは酋長の義理の息子として試練を受けさせられる。
初めて乗った馬で、とんちを聞かせて先住民たちの喝さいを浴びたティブスは無事認められて酋長の義理の息子と認められ、3人の美女と3人のふくよかな女性を妻に迎えるように言われるがそれを固辞する。
無事戻ったティブスをケイトが迎えるが、彼はSとTという二つの荒くれ者ガンマンのグループの抗争を引き起こしたとして町長になじられ、ティブスは戦いをやめさせるべく彼らの元へ向かうのだった・・・

西部劇と言いつつ、だいぶコミカルで笑える話に仕立てられている。こういうパターンは初めて観たな。
主人公のティブスは口が立つだけで特に銃の腕前がよいわけでもないのだが、世間知らずで能天気なイギリス紳士としてどこにでも首を突っ込みたがり、それがなぜか全部相手に過大評価されて成功するという、今となってはよくある笑いのパターン。
西部劇でそれを最後まで通したのは、当時としてはかなり画期的だったのかもしれない。
ヒロインのケイト役が、あまり詳しくない僕でもちょっと小耳にはさんだことのあるジェーン・マンスフィールド。金髪でグラマーという典型的なハリウッド美女であり、マリリン・モンローと双璧をなしたと言われている。金髪グラマーはちょっと頭が弱いというアイコンとして描かれがちだが、ジェーンはクレバーで5か国語を操り、楽器の演奏も巧みな才人であったとのこと。
実際、この映画でもティブスを演じたケネス・モアを食ってしまっており、圧倒的存在感を放っていたように感じた。
最後までハッピーでオシャレなエンディング。素敵な映画だった。