釣りキチ三平(1973)矢口高雄

 70年代から80年代にかけて10年にわたって少年マガジンに連載された伝説の漫画で、当時の釣りブームを巻き起こした。

三平三平(みひらさんぺい)は秋田の山村におじいさんと二人で暮らしている少年。無類の釣り好きで、周りでできるあらゆる釣りを毎日のように楽しんでいる。
当初は渓流釣り、鮎釣り、ヘラブナ釣りなど身の回りの淡水の釣りがメインだったが、巨大コイ釣り対決で日本全国を釣り行脚している鮎川魚紳と知り合ったことから釣りの幅が広がり、海の釣りやフライフィッシングなども行っていく。

秋田の豊かな自然の中で、四季折々その時だからできる釣りを楽しみつつ、地域独特の風習、伝統、秋田弁などを織り交ぜた釣りを描いているところが自然派漫画とも称される所以。

祖父の一平じいさんは和竿作りの名工で、「一平竿」はこの業界では知らぬ者はいないスーパーハイブランドな釣り竿。
三平はその高級品を使いたい放題で使いまくっているという、ある意味うらやましい存在でもある。
魚紳さんは最初おっさん設定だったが、女子ファンが急増したことからだんだん若返って青年設定になったらしい。
「釣りキチ」の「キチ」は当然ながらキチガイから来ているが、ある時期は言葉狩りの対象になっていたらしい。これくらい許してくれよ~、と言いたいところだが。
当時は小学生だったが、とにかく三平くんと同じようなことがやってみたくていろいろ試した。
実家は港が近かったので毎週のように海釣りに行き、三平くんのやっていた回転投法や、ライバル・シャークの仁がやっていた「シャークキャスティング」みたいな投げ釣りの真似をしたり、「おら、ドキがムネムネするだぁ!」などのセリフを真似したりしていたのを思い出す。
カナダのサーモンフィッシングや、トローリングでのカジキ釣りまで制覇した三平くんだが、意外とバスフィッシングにはほとんど手を出していない。魚紳さんがアメリカの大会で優勝した、というエピソードが語られるのみ(この大会はアメリカで最も権威と伝統のあるバスマスタークラシックと思われる)。
おそらく作者の矢口高雄があまりバス釣りに詳しくなかったからと思われるが、のちに日本でも大流行したバス釣りを三平くんにもやってみてほしかったなぁ。最近はすっかりブームも下火になってしまったが。
三平くんのやっていた釣りの中で一度やってみたいのが、ススキの茎を釣り竿にしてハヤを釣るという方法。ススキの茎は弱くてもろいので、強く振り回したりするとすぐ折れてしまうが、それをうまいこと技量を駆使して折れないように魚を釣るというワビサビの利いた釣り方。余裕と遊び心が感じられて、子供心にすごく憧れたし、今でもそう。
もちろんそのためにはハヤがバンバカ釣れるような場所がないと成立しないし、たぶん値段の高い普通のカーボンロッドを使っても数えるほどしか釣れないのが現実なのだが・・・
定期的に読み返しているが、買ったのは最初の連載版ではなく、釣りの種類ごとに再編集された愛蔵版なので、初期の三平くんと後期の三平くんの顔が違いすぎて結構つらい。長期連載された漫画によくある話なので仕方がないが。下に張ったアマゾンのリンクの画像も第1巻なので、なじみのある三平くんの顔ではなくて違和感があるなぁ。