狼のレクイエム 第一部(1982)(ウルフガイシリーズ)平井和正

 ウルフガイシリーズの「狼の紋章」「狼の怨歌」に続く第三弾。

犬神明の血清を打ったCIAのエージェント・西城恵は、CIAが不死鳥計画という有色人種絶滅計画を狼人間の特性を利用して実施しようとしていることを知り、CIAと決別し、内閣情報操作室へ寝返り、整形手術によって顔を変えた。彼は狼人間の血清によって超人的な体力を手に入れており、その力でCIAの目論見を阻止しようと画策する。
犬神明はCIAのアジトから青鹿晶子を救出したが、彼女は麻薬付けになっており、さらに妊娠していた。羽黒獰か、CIA室長ドランケに凌辱されており、どちらの可能性もあったが、犬神明は彼女をずっと保護することを決め、麻薬の解毒剤を手に入れるためにCIAへの潜入を試みる。
しかし、狼人間の彼でも互角の戦いとなってしまうほどの護衛が何人もいて、潜入はおろか倒される寸前まで行ってしまった。彼らブーステッドマンは、犬神明の血清をもとに開発された賦活剤で人工的な狼人間となった兵隊たちであった。
犬神明に惹かれていた虎部隊の虎4は彼に協力し、共同生活を送りながら占有計画を立案し、地下道を掘り進めてCIAの極東センターへ潜入する方法を実施する・・・
西城はもともといかつい系のごっつい男だったが、整形によってだいぶイケメンになったという設定。性格は全く変わらないので、虫のように人を殺す冷酷さはそのままなのだが、コンビとして組まされる女性・沢恵子も、犬神明に遭遇した際に動揺させるためという目的で、整形によって青鹿晶子そっくりになっており、西城が結構ドキドキしているのがなんとも。
そして虎4があまりにもけなげすぎて泣ける。彼女はもちろん虎人間であり超常的なパワーの持ち主であり、容赦なく敵を殺す冷酷非情さの持ち主でもあるので、敵対する諜報機関からは大変恐れられているが、犬神明に対してだけはデレデレにデレておりベタ惚れ状態。ガキで不器用でナルシストな犬神明がちゃんと答えてあげていないのが歯がゆいが、彼は彼で青鹿先生に生涯を捧げた気になっているのでそれに応えられない。青春じゃのう。
また、同じ狼人間として、歳はだいぶ離れているが同族意識のある神明もなかなかかわいそう。犬神明は全然いうこと聞かないんだもんなぁ。もうちょっと先輩の言うことを聞けよなぁ。
話は次の第二部で大きく動き、事実上第一幕完、な感じなので、その嵐の前の静けさというか、つかの間の平穏な回。

狼のレクイエム 第一部 虎精の里

狼のレクイエム 第一部 虎精の里